奄美の自然の豊かさを、こどもたちの心の豊かさに繋げたい

センター事業団 結の島地域福祉事業所 森の家くっかる (鹿児島県奄美市)

自然の中で過ごして欲しい

古くて小さな家と大きな庭と畑。 裏山には多種の鳥が生息し、庭にはたくさんの虫が生きています。 奄美の自然の豊かさをこどもたちの心の豊かさに繋げていって欲しい。 私たち大人は、安全の見守りと子どもの気づきの共感者でいたい…

くっかるに約束事はあまりありません。その日の事もみんなで決めます。雨が続くと山すその庭は一面水たまりになって子どもたちは大喜び。雨の中でもざぶざぶと入っていきます。どれだけイモリを捕まえるか、水しぶきを高く上げれるのか、頭はフル回転。「 気持ちよすぎる~!!」 とよく叫んでいますが、気持ちいいこと・楽しいこと・自分でした行動で感じることの積み重ねは、彼らを強く育ててくれます。

 

目的地がわからないから、楽しい

大人が主導権は握らないこと。価値観の押し付けはしないこと。子どもたちは本来、感性が豊かで、気づきの天才です。この子たちの感性を潰しているのが大人のおせっかい。先回りして言葉にして教えてしまいます。

子どもたちは目的地がわからないことを楽しみに来ています。今日のわくわくに出会ったとき、子どもたちが徹底的に満足するまで見守れるかが、大人たちに試されます。その子がその子の心で感じたとき、飛び切りの満足が身体に広がるのを気づけたときが私の幸せです。

 

奄美初の病児病後保育施設も

森の家『くっかる』は2009 年10 月に無認可保育所・学童保育・生活総合支援などの複合事業所として、郊外の古民家を借り開所しました。当時、 奄美群島も含め奄美 には『病児保育』『病後児保育』を行う施設が1 カ所もありませんでした。そこで訪問による病児保育事業を開始するとともに、病児保育施設の早期開設の嘆願署名を集めました。

そして活動から2 年半後、奄美市や奄美医療生活協同組合の尽力もあり、同組合が運営する奄美中央病院に病児保育・病後児保育施設が設置されたのです。

 

鳥の声と虫の息づかいの中で、みんな仲間になる

「くっかる」は島の方言で「くっつく」という意味を持ち、「みんなが仲間になれたらいいな」という最初の願いが今 少しづつ形になり始めてきました。8年前、子どもと繋がってから、高齢者、求職者と手をつなぎ、そして障がい者の方とも出会え、みんなが平等に学ぶ機会をと学習支援も始まり小さなコミュニティーが出来てきました。

山から聞こえる鳥の声と虫たちの息づかいがくっかる全体の時の流れをつくっています。初年度に預かった5 歳の子どもは中学生になりました。成長し大きくなっても生きづらさや困りごとを感じた時に「居場所」になれる事業所でありたいと思っています。

(所長 越間聡美)