センター事業団 横浜戸塚地域福祉事業所 であいの家(神奈川県横浜市)
「最後は施設」ではない選択枝が欲しい
横浜にある介護事業所「であいの家」では、利用者の方やその家族の方から、「住みなれた場所で最後まで生活したい」「施設に行きたくない」「終の棲家がないだろうか」といった声を聞いていました。利用者の方が困っているだけでなく、働く組合員自身にとっても、人ごとではありません。「地域のみんなでそういう場所を作れないかな?」と実行委員会を立ち上げると、参加者は総勢130人までふくれあがりました。
話し合っていくと、「地域にはいろいろな人がいるのだから、高齢者のためだけでなく、いろいろな人が住める家、多世代型の共同住宅を作ろう」と方向が決まっていきました。物件探しには苦労しましたが、「であいの家」の大家さんが所有する元社員寮が全室空室であることがわかり一気に構想が具体化。2017年3月に「だれでも、安心して、暮らせる、集える場所づくり」を目指した多世代型住宅「戸塚の里」を開所しました。
いろんな人が集う里
開所半年で14室すべて満室になりました。現在高齢者、若い夫婦、障がいのある人などが暮らしています。障がいのある人は、もともと近くのアパートに一人暮らしをしていて、「であいの家」を利用していました。近所の人との交流が少なく不安があったところに、「いろいろな人と交流できる」ことを聞いて入居を決めました。
若い夫婦は、家賃も安いしキレイだったから決めたとのこと。福祉の仕事をしているのもあり、「戸塚の里」の想いに共感しているそうです。高齢の方々は、食堂があり、見守ってもらえる安心感から、子どもたちに薦められて入居されたそうです。
自分たちの居場所をつくるのは、自分たち!
地域食堂「みんなの郷(さと)」では、近隣の方でも安全安心な家庭料理が楽しめます。入居者の家族の方をはじめ、近所のサークルや、タクシーの運転手さんが常連になってくれたりもしています。誰でも出入り自由。食事をしていると、新たな交流がいろいろ生まれてきます。他愛のない会話で、ゆるやかなつながりが作られています。
昔は当たり前だった、お互い様の助け合い。「一緒に食事をして、お互い知り合って、支え合っていけば、地域で最後まで暮らしていくことができます」と、立ち上げ責任者の平山さん。近所で何かあれば、声をかけ合います。具合が悪い人がいると、誰かが助けを呼びます。住民が横につながって、支えあいながら暮らしています。
(協力:戸塚の里立ち上げ責任者 平山みつ子さん)