やさしさを培う、助け合いの職場

 

センター事業団 本庄出張所(埼玉県児玉郡美里町)

 

 本庄出張所は川本物流センター時代を合わせると30年以上の歴史があります。委託を受けて商品の仕分け・積み込み・片付けの作業を行っています。

 

困ったときは、お互い様!

 本庄の物流センターで働く仲間は、ほとんどが主婦です。長く働いている人は20年を超える人もいて、ベテランぞろいです。私がこの職場に入ってきたときは、みんなの働く仲間に対する思いやりの大きさに驚きました。子どもの学校行事などで急な休みになったときも、嫌な顔をせず対応してもらました。絶対誰かにしわ寄せがいくはずなのに、「みんな、子育てのときはそうやってお互いカバーしてきたから!」と言ってもらえて、なんと居心地のいい職場なのだろう、と思ったものです。

 長い歴史の中で、みんなの優しさが働きやすい職場をつくり上げてきました。働く仲間の体調の変化、家族の介護など、多くの大変な場面を助け合いで乗り切ってきたこの職場を、私も大事にしていきたいと思っています。

 

就労支援から、なくてはならない仲間に

 あるとき、10年間ひきこもりをしていた若者が紹介で職場にやってきました。一日おき2時間の作業から始めて、徐々に仕事量を増やしていきました。ひきこもっていた期間を取り戻すかのように、懸命に仕事を覚えて、汗びっしょりになって働くその姿は、まぶしく思えるほどでした

 彼は今では大きな戦力となり、なくてはならない仲間となっています。よく気がつくし、みんなが困ったときは彼に声をかけるほど頼りにされています。朝から夕方の片付け作業まで、幅広く活躍しています。若者の世代へバトンをつなぐためにも、誰でも一緒に働ける職場づくりを心がけていきたいです。

 

障がいのある人も一緒に

 昨年、ジョブセンターの利用者で発達障がいのある方が見学に来ました。時間が限られる中で効率的な作業が必要になる積み込みの仕事において、同時に複数の作業をこなすのが難しいなど、困難もありました。でも、お互い様の精神で乗り切ります。職場のみんなで発達障がいについて学び、その方も沢山の仕事がこなせるようになってきました。

 誰もが働きやすい環境をつくること。困ったときにお互いを頼れること。これは仲間のためでもあり、自分のためでもあったりします。

 

職場から地域へ

 職場の目の前に、利用されていない畑がありました。食に関係する現場でもあるので、何かできないかな、という思いがずっとありました。

 そこで2012年からその畑を借りて、菜の花や大豆の栽培をやってみました。種まきや草取り、刈り取りまでやりました。菜の花は、花を観賞して、そのまま土にすきこみ畑の緑肥にしました。大豆は100kg近く収穫できて、枝豆を生協まつりで提供したほか、仲間の事業所の深谷とうふ工房(埼玉県深谷市)に味噌の原料として活用してもらいました。あわせて味噌づくり教室も開催しています。

 農業を始めて、色々なつながりが広がりました。そして地域資源の活用で人とお金がまわります。まだ事業とまでは行っていませんが、今後のかたちを色々と模索しています。

 

(所長 村田典子)