NEWS RELEASE
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
2019年6月5日
ワーカーズコープ連合会とみんな電力が提携
コミュニティエネルギーで、自然エネルギー100%を目指します
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会(※1)は、このたび「みんな電力株式会社」(※2)と、自然エネルギーの普及を目的とした全面的・包括的な提携を締結しました。まず2019年より全国の加盟事業所拠点約700箇所の電力契約を「みんな電力」に切り替え、就労者約13,000人にも自然エネルギー利用を促します。
2019年4月より「働き方改革関連法案」が施行されました。しかし経営・雇用・労働の利益相反によって、現在でも様々な議論を呼んでいます。ワーカーズコープは40年にわたり、「資本・経営・労働」を一体にし、「労働者自らが労働条件を決定できる」働き方を追求してきました。働き方を会社から与えられるのではなく、自分たちで民主的に決め、その責任をもつ。新しい働き方のあり方として広がり、こうした協同組合の法制化の検討も進んでいます。
現在はエネルギーを含めた公共サービスも政府や企業から与えられるものになっています。ワーカーズコープは、市民自らが事業を起こし、地域課題解決の主体となって協同の力で地域を変えていく、そのような新しい社会づくりを40年間にわたり広げてきました。「FECH自給コミュニティ(※3)の創造」というコンセプトのもと、地域で必要とされる物事を自給・循環させ、次の世代も皆が安心して暮らせる「持続可能な地域づくり」を目指しています。
その活動の一環としてワーカーズコープは2012年からバイオディーゼル燃料事業を行ってきたほか、発電事業(※4)も開始しています。そして企業の再エネ100%にコミットする「RE100※5」の動きに賛同し、2050年までに加盟組織の事業活動に関わるすべての電力消費を自然エネルギーにすることを目標に掲げます。
そこでは市民が主体となり、生活を支えるエネルギーと、地域の環境・社会・経済、そして持続可能性について対話を重ねます。エネルギーに関わる環境への影響、防災機能や地域経済循環を鑑みながら、コミュニティエネルギーによる発電所の設立を推進します。そのために2019年5月、市民主体のエネルギー自治を支援する「一般財団法人 協同労働くらしとしごと」を設立しました。
提携先のみんな電力は、電気の生産者がわかる「顔の見える電力」サービスを展開し、独自の電力取引システムによって、購入した電力の由来(生産者や産地)証明を実現可能にしています。今後は2019年11月より発生するFIT切れ太陽光の積極的な活用など、市民主体の電力による取り組みをサポートしています。
市民が暮らしとエネルギーについて自ら「考える、つくる、選ぶ」エネルギー自治を、ワーカーズコープは推進していきます。
※1 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
労働者協同組合の連合会(東京都豊島区)。現在28の組織が加盟しています。介護・福祉・子育てから食・農・林業分野まで、就労者は14,000人、事業高は330億円(2017年度)。事業開始から約40年。コミュニティの断絶、少子高齢化、格差社会の広がりなど、地域を取り巻く状況がますます厳しくなる中、地域課題の解決の担い手として地域住民が自ら出資して事業資金を作って事業を起こし、そこで自ら働く点に特徴があります。社会的課題の解決と雇用創出を同時に行う事業形態として、ヨーロッパでは長い歴史と高い認知を受けています。「FECH自給圏(※3)」形成を掲げ、環境問題にも取り組んでいます。
※2 みんな電力株式会社
みんな電力株式会社(東京都世田谷区)は、2011年設立。再生可能エネルギー発電所からの電力調達を主とした販売を行う新電力事業、電源開発事業等を手掛けています。再生可能エネルギー(FIT電気)の電源構成比は2018年度計画値で75%(みんな電力ホームページニュースリリースより)。再生可能エネルギー100%で企業経営を行う「RE100」(※4)への企業ニーズにも応えています。
※3 SDGsにも通じる持続可能な地域づくり「FECH自給コミュニティ」
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、協同組合がステークホルダーのひとつとして位置づけられ、17の目標の達成に重要な役割を果たしうることが、国際的にも認識されています。倫理的で包摂的、そして誰一人取り残さないというSDGsの原則は、協同組合の理念と重なります。SDGsという概念が生まれる前から、協同組合は人々の暮らしに根ざし、持続可能な社会の実現を目指してきました。
ワーカーズコープでは、SDGsに通じる持続可能な地域づくりを「FECH自給コミュニティの創造」と考えています。F=フード(食)、E=エネルギー、C=ケア、H=ホーム(住まい)を地域で自給し、循環させる取り組みです。例えば、荒れた山林や農地を借りて、若者たち皆で出資と労働を担い、次世代に遺す森や里づくりへの挑戦。貧困や格差の問題に対処し、環境保全にも寄与しながら多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる地域を目指しています。
ワーカーズコープはエネルギー分野においても、以前から全国で廃食油から作るバイオディーゼル燃料を製造・供給しているほか、太陽光発電も開始するなど、循環型エネルギー事業にとりくんでいます。
※4 発電事業
ワーカーズコープ連合会加盟組織である地域協同組合無茶々園では、2014年より運営施設の屋根に太陽光パネルを設置する形で発電事業を開始しました。地域づくりの一環として地域のエネルギー自給を目指しており、現在3箇所に拡大しています。
※5 RE100
事業運営に使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にすることを目標に取り組んでいる企業が加盟する国際的な企業連合「Renewable Energy 100%」の略称。アップル、マイクロソフト、ジョンソン・エンド・ジョンソン、スターバックスなど152社(2019年4月末時点)が加盟。日本企業としては、現在、株式会社リコー、積水ハウス、アスクル、丸井グループ等18社が加盟しています。