ずっと社会から逃げていた―障害をもつ私が自尊心を持って社会に関わるまで

センター事業団 松戸地域福祉事業所あじさい
(千葉県松戸市)

 松戸地域福祉事業所あじさい(以下、あじさい)の所長の小林文恵です。
 あじさいでは、障がいがある人、高齢の人、ニートや引きこもり経験のある若者が、それぞれ自分の役割を持ち、一緒に働いています。

 2006年に通所介護をスタートし、様々な背景を持つ仲間と共に働く中で、「介護の現場では、自分らしく働くことが、誰にだってできる!」ということに気づきました。そこで千葉県に「公的訓練を作ってください」とお願いをし、2013年に「精神障がい者の介護初任者研修デュアルシステムコース」を立ち上げました。

 しかし、訓練を修了し、資格を取得しても、すぐに介護の現場では働けません。「どうしたら自分らしく働けるのか」。さらにみんなで考えました。県の担当者にも相談をしました。そしてついに、2015年10月、就労継続支援B型事業と自立訓練(生活訓練)事業をあわせもった多機能型訓練事業所を立ち上げることができたのです。

 今回は、あじさいで一緒に働いている熊本真理子さんの話を聞いてください。

 熊本さんは、14歳の時に統合失調症を発症し、ほとんど学校に通えず、ずっと「デイケア」と病院に通っていました。そんな生活も、あじさいに出会い少しずつ変わっていきました。職業訓練を受講して資格を取得し、現在は多機能型訓練を利用しています。

熊本真理子さんのお話し

10年間、社会との関わりを避けて生きていた

 私は14歳で統合失調症と診断されて、それから10年間は学校にも行かず就職活動もせず、社会から逃げていた状態でした。一般常識などは分かるけど、空気を読むことや忖度ができず、誤解されることもありました。ずっと社会に自分の居場所がないという劣等感やひがみの意識を抱えて、社会と関わりを持たずに生きてきました。