であいから旅立ちまで ー 誰もが安心して暮らせるように

センター事業団 横浜戸塚地域福祉事業所 であいの家
(神奈川県横浜市)

 地域福祉事業所 であいの家(以下、であいの家)は、ヘルパー講座を受講した主婦たちによって立ち上げられました。そして、2017年、ワーカーズコープで初めての多世代型住宅「戸塚の里」をオープンしました。

 今回は、であいの家の歩みと実践について、設立者の一人であり、現在は戸塚の里の相談員をされている平山みつ子さんからお聞きしました。


写真右、平山みつ子さん

「その人らしくいられるケア」を目指して

 私はこの仕事に就く前は、専業主婦をしていました。子育てが一区切りして、何かの資格が取りたいと思っていたところ、ヘルパー講座のチラシを見て、受けることに決めたんです。その講座を開講していたのがワーカーズコープでした。

 実は、その講座自体は当時の私にはちょっと難しくて、向いてないなって思ったんですね。
でも、卒業を迎えた時に一緒に講座を受けた仲間と「ここで学んだ『その人らしくいられるケア』をここでなら自分たちでもできる。やりたい」という話になったんです。

 その思いから訪問介護事業所「横浜戸塚地域福祉事業所であいの家」(以下、であいの家)を立ち上げました。メンバーは私のような専業主婦や、パートで働いている方、福祉に興味がある方などがいて、年齢も40代から60代と、いろいろでした。

「施設」ではない選択肢を

 であいの家の利用者やその家族の方から「住み慣れた場所で最後まで生活したい」「施設に行きたくない」「終の棲家がないだろうか」という声をたくさん聞きました。

 そのお話を聞く中で、「最期は施設」以外の選択肢を作りたいと思いました。

 2011年、住まいづくりを考える実行委員会を立ち上げました。地域の人にも声をかけ、ワーカーズコープの神奈川事業本部も入り、総勢130人にも及びました。

 実行委員会では、構想のイメージを出し合い、議論を重ね、20件以上の物件を見て回りました。しかし、何年探しても物件が見つからず、「もう無理かも……」と頓挫しかけたこともあります。

戸塚の里 ― いろいろな人が住める家をつくる

 そんなときに、であいの家の大家さんが、所有している元社員寮を紹介してくださいました。そのことが転機になり、一気に構想がひろがりました。

 当初は「サービス付高齢者専用住宅」を考えていましたが、話し合いをしていくうちに、「地域にいろいろな人がいるのだから、いろいろな人が住める家がいい」ということになり、多世代型の共同住宅を目指す事にしました。

 そしてついに、2017年3月、多世代型住宅 戸塚の里(以下、戸塚の里)がオープンしたのです。