東京から長野の過疎の村へ ――よそ者だからできるサポートがある

長野県中川村。山々に囲まれ、天竜川が流れる自然豊かなこの村に、「一般社団法人ソーシャルファームなかがわ」があります。
今回はワーカーズコープから「ソーシャルファームなかがわ」へ出向し、昨年(2021年秋)からここで働いている神田李野さんにお話を聞きました。

――地域活動センター「くらしごと」(以下くらしごと)は、どんな場所なんですか?

障がいや生きづらさがある人が地域で安心して暮らせるよう支える場所です。本が読めるスペースやゆっくり休める休憩室、オープンキッチンがあります。中川村から私たちが委託を受け、運営しています。障がい者手帳がなくても利用できるのがくらしごとの特色です。

くらしごとの仲間たち

――ほかに特色はありますか?

これは偶然そうなっただけなのですが、職員が全員中川村出身者ではなく、移住者というところも特色かもしれません。私も東京出身です。

「地元のしがらみがない人」がこうしたスペースにいるということが、地元在住で生きづらさがある利用者さんにとっては良いみたいですね。

7月。実をつけた梅の木

有機野菜に山菜、野鳥…村の暮らしは天国

―中川村の暮らしはいかがですか。

小学校時代のボーイスカウトなどの経験からもともと自然が大好きなので、楽しんで暮らしています。昨年この村に来てから、農家さんからおいしい有機野菜や絶品の漬物を分けて貰いましたし、東京にはあまりいないブッポウソウという鳥を見ることもできたし、猿にも会えました…

仲間や利用者家族から頂いた山菜を天ぷらに

――野鳥について詳しいんですね。

中・高校と理科部で野鳥観察をしていました。くらしごとで利用者に体験してもらうプログラムは組合員が考えるんですが、私は野鳥観察プログラムを提案しました。当日は10種類ぐらい、東京では見ない鳥が見れました。

姿は見えなかったんですが、オオルリの鳴き声も聞こえました。私が聞き分けたんじゃなくて、私以上に山の鳥に詳しい仲間が「あれ、オオルリだよ!」って教えてくれたんですが…(笑)。

子どもの頃の神田さん。

「じゃあ、こうしてみよう」を誰にでも

――ワーカーズコープに入った動機は何だったのでしょうか?

大学を卒業し、「人の役に立ちたい」「環境に関わる仕事がしたい」という気持ちで就職先を探していたとき、ワーカーズコープと出会いました。環境に興味をもったのは、中学二年生のときです。東日本大震災での福島第一原発事故がきっかけでした。「こんな危ないものを使って生活していいのか?」とエネルギー問題に目が向くようになりました…