わたしたちは、様々な事業活動・社会連帯活動を通して、
地域のみんなで意見を出し合い、話し合いをして、
みんなの「協同の力」によって、
誰もが自分らしく幸せに暮らせる社会を創ることを目指しています。
私たちが描く「未来の地域社会」を紹介します。
誰ひとり取り残されない社会・持続可能な地域
私たちは困難にある人ととも共に働く、協同労働による持続可能な地域づくりを目指します。
1944年、ILO(国際労働機関)のフィラデルフィア宣言で「労働は商品ではない」「一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である」と警鐘が鳴らされてから、すでに半世紀以上が経過しました。
非正規雇用や派遣労働、コスト削減や長時間労働・・・ 私たちの“働く”環境は、改善されていくのでしょうか。
最近は、“貧困” “孤立” “社会的排除”などの言葉を日常で耳にするようになりました。
私たちの活動が、こんな社会の課題を解決できる力になれるかどうかは分かりません。
それでも、失業・病気・家族のこと・障がい・高齢などさまざまな理由で困難にある人たちと、地域で出会い、「働くこと」を通して、安心した暮らしができる地域になるような取組みを、全国に広げたいと思っています。
2015年4月に、「生活困窮者の自立と尊厳の確保」「生活困窮者支援を通じた地域づくり」を目標に掲げた「生活困窮者自立支援制度」が始まりました。
この制度は、生活困窮者を経済的困窮のみならず、社会的孤立の状態にある人も対象としています。
社会と繋がれない理由はさまざまです。しかし、多くの人が社会の一員として暮らしたい、人と繋がりたいと望んでいます。
私たちは、生活困窮者の自立支援を重要な取組みと位置づけています。
現在、全国の約80の自治体で、“相談支援” “就労準備支援” “家計相談” “一時生活支援” “こどもの学習支援”などの事業をおこなっています。
全国で100を超える事業所が、“就労訓練事業所”として認定されています。
この事業をとおして、地域のつながりを深め、地域の活性化に繋げていくことを目標としています。
北海道恵庭市や篠路地域では、「地域のたまり場」をつくり、そこに集う住民たちが主体的に地域の課題を解決する取組みが始まっています。出会いの場から、地域の活性化のためのアイディアが生まれています。
千葉県佐倉市では団地の自治会の高齢化が課題でした。地域の高齢化とともに地域活動が難しくなっていました。私たちは、そんな自治会のみなさんと出会い、交流の場をつくり、自治会再生の活動を始めました。この取組みは、住民立のワーカーズコープ立ち上げへと向かっています。
山梨県西桂町では、福祉センターの仕事を通して出会った町のみなさんと、地域おこしの準備が進んでいます。伝統文化や豊富な自然。その地域にあたりまえにある宝物を掘り出しています。
こども食堂や地域食堂、フードバンクの取組みも全国に広がっています。私たちだけで運営するのではなく、地域の人たちや自治体、町内会の人たちと一緒に活動しています。
私たちは、「一人じゃない」「そこに行けば何とかなる」「困ったときに相談できる」と感じられるような居場所を地域の力を合わせて多様に創り出すことが必要だと考えています。
「あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」「誰一人取り残されない社会を創る」ことを目指す、「持続可能な開発目標(SDGs)」が2015年に国連で採択され、労協連としても取り組みを進めています。
私たちも「今、ここに、ともに、生きる」みなさんとよりよい地域と暮らしを創ります。
困難にある人と協同労働で「ともに働く」
ワーカーズコープでは、社会的困難にある人びとや就労が困難な若者たちがさまざまな事業所・現場でともに働いています。
「ともに働く」協同労働の取組みは、みんな対等・平等な仲間としての連帯性や信頼関係を深め、個人が持つ力や能力、可能性を最大限発揮することができる場所を創ることです。
いろんな仲間と経験を共有し、それに関わる人たちが人間的にも成長することができる就労現場へと変化しています。
さまざまな場面で排除され、主体性を奪われた人びとが、協同労働を通して職場で人間関係を築き、社会に参加し、主体性と人間の誇りを取り戻していく。そんな協同の実践が全国に生まれています。
社会的困難のある人びとの自立・就労の支援と居場所づくりとして農業の取組みが始まりました。
休耕農地を活用した農業実習や就労体験です。自然の中で「働くこと」を経験し、作物を育て、出荷します。こども食堂や地域食堂の食材にもなります。
神奈川県足柄郡で活動する「報徳ワーカーズ」では、近隣の小学校に栽培した小松菜を提供しています。また、養護学校の学生たちとの米作りや農業体験教室もおこなっています。
少しずつですが、「農福連携」の取組みが広がっています。
また、千葉県芝山町での「若者自立塾」の経験を経て、全国20数カ所で「地域若者サポートステーション」の制度を活用した“若者の自立・就労支援事業”、障害者自立支援法による”就労継続支援A型、B型”や“就労移行支援”などをおこなっています。
ひきこもり生活や長期の未就業状態を経験した若者たちや障がいがあり就労が困難だった人たちが、自分らしく働ける場所を探すこと。単なる就業支援だけではなく、そこで働き続けられるようにサポートします。
支援期間が終われば、ワーカーズコープの事業所でともに働く仲間もいます。いろんな経験をしてきた人たちと出会い、支援をする・されるという関係から、“ともに働く仲間”になります。
多様な仲間とともに働く職場作り。 これを全国で実践しています。
コミュニティケアを創る-地域再生の総合福祉拠点「地域福祉事業所」
私たちは、「新しい福祉社会の創造―労働の人間化と地域の人間的再生」をテーマに地域のあらゆる課題の解決をめざすことを目的に総合福祉拠点「地域福祉事業所」づくりに取り組んでいます。
要介護・要支援の高齢者に対する在宅ケアを中心に、障害のある人の自立就労支援、小規模・多機能の共生型ケア施設や高齢者住宅など、全国に300カ所以上の事業所を設立してきました。
私たちが目指すケアは、ケアの利用者も家族も地域の人たちも一緒に創る地域福祉「コミュニティケア」です。
「制度」の枠を超えて、ケアサービス提供者と利用者という制度の枠に抑え込まれた関係を超えて、みんなが「地域と生活」の主体者となり、「共生」の居場所と出番や役割を地域に創り出すケアをめざしています。
貧困の連鎖を止める-子ども・若者が地域づくりの主体者に
格差と貧困・社会的孤立の広がりがは、子どもたち暮らしにも影響を与えています。
子どもの相対的貧困率は16.3%。これがひとり親世帯では50.8%(2014年)。虐待により3日に1人の子どもの命が失われています。
不登校や引きこもり、学校中退などの経験が若者の社会的自立をより困難にしています。
子どもの豊かな成長・発達をどう護り、育てていくのか。
見守られ、助け合いながら子どもが育つ地域を創り出していくことが求められています。
私たちは、多種多様な子育て支援事業をおこなっています。
学童保育や児童館、保育園(認可・認可外・認証・院内)や一時保育、放課後子ども教室、親子ひろば、子育てホームサポート、放課後等児童デイサービス、子育て見守り訪問員派遣など、全国200カ所の事業所を運営しています。
私たちはこのような子育て拠点を「子ども・保護者の必要と地域の必要に応える仕事おこしと社会連帯の拠点」と位置づけ、子育てを通して親も育ち、親と共に運営する子育て事業をめざしています。
現在、生活保護や生活困窮家庭の子どもたちを対象にした学習支援の取組み(全国30カ所)、子ども食堂・地域食堂(全国50カ所)で進めています。
長野の児童館では、自主的活動として地域の人びとがボランティア講師になって学習支援の取組みを行っています。
鹿児島県霧島では地域づくりの主体者として成長できるように、農業や食などの活動に参加、「仕事ができる子どもたち」の取組みを進めています。
人と自然が共生する豊かな社会連帯経済
今のグローバル経済のしくみの下では、人が生きていくためにあるはずの労働・人びとが暮らしていくための経済・いのちの根幹である自然環境が、すべて商品化され、本来の機能を失っているように思います。
わたしたちは地域の人たちと協同して、わたしたちの命の基盤への自治を取り戻し、食・エネルギー・ケアを自給し、それを循環させることで、誰もが地域における役割を実感できるような、地域の必要を身近に支えあう本来の経済を取り戻すことを目指しています。
地域の人たちが自分たちで地域を運営する社会
地域をどうしていきたいか、どうありたいか、という「未来の地域像」を地域のみんなで分かち合う。
そして、そのためにはどうするかを“自分たち”で決めて、力を出し合い、わたしたちが地域を創ってゆく。
そんな社会を目指しています。
わたしたちは、地域のあらゆるモノ・コトの交差点となり、地域の人たち自らが「協同労働」を通じて地域づくりを運営するための拠点「協同総合福祉拠点(みんなのおうち)」を全国に広める取り組みをしています。
自分たちで自分の暮らし方を決められる、そしてそれを実感できる社会を創ることを目指しています。