新しい福祉社会の創造・完全就労社会の実現へ、3つの制度の確立を
働きたいと願う誰もが安心して働くことができる「完全就労社会」の実現、そしてその働きがディーセント(人間らしい生きがいのある労働)であるような「新しい福祉社会」の創造に向けて、三つの制度の確立を求めています。
労働者協同組合法の成立
私たちは2000年に「協同労働の協同組合法の制定をめざす市民会議」を結成し、950を超える地方議会で早期制定を求める意見書採択などの法制化運動を展開してきました。
2008年2月に結成された超党派の「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える」議員連盟が、2010年の総会で「協同労働の協同組合法案(仮称)第一次要綱」を提出。しかし、議員連盟は政権交代などの政治的激変を経て休止。
2012年の国際協同組合年に協同組合憲章の国会決議を目的に設立された「協同組合振興研究議員連盟」が2016年7月に「『協同労働の協同組合法』の制定を先行課題とする」と確認した上で、超党派議連として2017年4月に再編強化され、また2017年5月には「与党協同労働の法制化に関わるワーキングチーム」が政府与党の中に設置され、ワーカーズコープ、ワーカーズ・コレクティブネットワークの当事者団体も入り協議を繰り返し法案作成を進めました。
2020年3月に議員連総会で法案を承認し、2020年12月4日第203回臨時国会にて与野党全会派一致で成立しました。
法第一条(目的)には「この法律は、各人が生活との調和を保ちつつその意欲および能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状を踏まえ、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織に関し、設立、管理その他必要な事項を定めること等により、多様な就労の機会を創出することを促進するとともに、当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする」と掲げられました。
2021年4月6日には、超党派の「協同労働推進議員連盟(ワーカーズ議連)」が発足し、「労働者協同組合の設立と施行をサポートする」ことを目的に73人の議員が参加しています。2022年10月1日施行。
- 組合の基本原理に基づき、組合員は、加入に際し出資をし、組合の事業に従事する者とする。
- 出資配当は認めない(非営利性)。余剰金の配当は、従量分量による。
- 組合は、組合員と労働契約を締結する(組合による労働法規の遵守)
- そのほか、定款、役員等(理事、監事・組合員監査会)、総会、行政庁による監督、企業組合またはNPO法人からの組織変更、検討条項(施行後5年)等に関する規定を置く。
- 設立手続きは準則主義(届出制)とする。
「コミュニティ事業・就労支援条例」の制定
非営利・協同セクターによる「公共的社会サービス」を創造するコミュニティ事業の創出と事業者の発展を支援することを通して、コミュニティにおける就労の促進をめざす条例案です。
「公的訓練・就労事業制度」(仮称)の創設
コミュニティにおける新たな産業の創出や従事する就労分野の変更を制度的に支える研修・訓練制度と、公的に就労を保障する制度を組み合わせた制度として提起しています。