郡司彰参議院議員
協同組合振興研究議員連盟初代会長
2020年3月31日に協同組合振興研究議員連盟総会が開かれ、労働者協同組合法案が 示され、議論されました。出席した議員連盟初代会長の郡司彰参議院議員(無所属)に、労働者協同組合法 制化への思い、期待などをあらためて伺いました。
■誰かがというより
-協同組合振興研究議員連盟は2012 年 6月に発足。
初代会長の郡司さんは、労働者協同組合法案が示された先日の総会、どんな思いでしたか。
議員連盟は民主党政権の時に、衆議院議員だった小山展弘さんらと、体系的に協同組合を勉強しようと始め、そのうちに日本にも協同組合基本法があってもいいのではという話になりました。
労働者協同組合法については、ワーカーズコープの皆さんなどの協同労働法制化市民会議や、公明党の坂口力さんが会長をされていた「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟」が活動されていたわけですが、振興研究議連でも、市民会議会長をされていた元連合会長の笹森さんからお話を聞くこともしました。
4年前、私が参議院副議長になったこともあり、振興研究議員連盟は与党の方に代表をやってもらった方が法制化を目指す上で現実的だと考え、小山さんと私とで、自民党の河村建夫先生にお願いに伺い、快く会長を受けていただけました。事務局長は国民民主党の篠原孝さんが引き受けてくれました。
その後、振興研究議連も労働者協同組合法にしぼっていこうとなり、協同労働法制化に関する与党ワーキングチームもでき、法案が練られてきました。
ですから、誰かが、というよりも、いくつかの伏流水のようなものがどんどん一つの大きな流れになって、今、ようやく大海に漕ぎ出すところまできた、という感慨があります。
今回の総会は、各党から、しかるべき責任を持って今後の方向をつけられるような方々がお集まりいただきましたが、事務局の方々のたゆまぬ歩みが、実を結んできたんだなと感じました。
また、ワーカーズコープやワーカーズ・コレクティブなど、実際に運動してきた方々の話も聞けて、たいへん良い集まりでした。
■地域社会に活力
-法案の中身については
農協法や生協法など今までの法と違うのは、届出によって設立できることです。認可を待たず、間を置かずに設立できることは大きなことです。
「出資・意見反映・事業従事」が「基本原理」とされた点などは画期的だと思いますし、ICA(国際協同組合同盟)の7つの原則に含まれる内容がおおよそ入っています。協同組合の理念が、世の中にひろがっていく新しい流れになればと期待しています。
それと、「地域における多様な需要に応じて事業が行われることを促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資する」ことが「目的」とされたこ
とは大きいですね。それぞれの地域とかコミュニティがしっかり成り立つように、自立・自主を原則として行政とも連携していくことだと思います。
■法制化1日も早く
-労協法で社会がどう変わるか楽しみだ、という声もあります。
今までの日本は、ほとんどが国の税金を使った事業と民間活力の2本足で立っていました。ヨーロッパが意外としぶといのは、もう一つ、協同組合という社会的な力・連帯経済セクターがあるからです。3本あるから1本がおかしくなってもなんとか倒れないですむ社会バランスをつくってきました。
日本社会の中で、3本柱の1つとして協同組合が大きくなっていくことは、この国全体にとって大事だと考えてきましたが、労働者協同組合法はそういう日本社会を切り拓いていく力になると思います。
たとえば、グローバル社会になって、企業は存立のために、短期雇用、非正規雇用を増やしています。安定した将来設計ができない、結婚できない、子どもがつくれない社会になってきました。
地域の人たち自身が労働者協同組合をつくり、生活と地域が必要とする事業を起こしていくことが広がれば、世の中全体が変わっていくと思いますね。
一日も早く法制化するために、私も引き続き努力したいと思っています。
インタビュー記事は、日本労協新聞4月25日号に掲載しています。
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