議員インタビュー(3) 篠原孝議員(国民民主)
協同組合振興研究議員連盟事務局長の篠原孝議員(国民民主)に「協同労働」という働き方の意義、労働者協同組合法の必要性などについて聞きました。
■強さは地域社会に
-先生は「労働者協同組合法」の意義について、どのように捉えておられますか。
篠原 人と人のつながりが弱まり、バラバラにされ、ギスギスしてきた社会の潤滑油にピッタリだと思います。
日本社会の安定、日本社会の強さの根拠は地域社会にあった。同じような生活をしている人たちが助け合う。農村、漁村が典型的です。
林業の世界では、誰のものでもない集落の森林をみんなで手入れし、漁業では協同組合をつくり、禁漁期などを設けて資源を枯渇させないようにしてきた。

都会でも落語に出てくる、江戸時代の長屋の八さん、熊さんのような人たちが助け合って生きてきた。ところがみんなの生活も仕事も違うようになり、バラバラになって、安定した地域社会が失われてきた。
いつもフラフラしている寅さんをちゃんと迎えてくれるような、あたたかい地域社会があればいいけれど、それがなくなって、子育て、介護、障がいといった悩みや、お店がなくなってどうしようもないとかの問題を、なんとかしたいという人たちが協同して担うようになり、地域に必要なことはなんでもやろうという労働者協同組合も広がってきた。

この法は、いろんな分野、業種で使える。一番美しい「トータルな協同組合」というわけにはいかないけれども、労働者協同組合という取り組みでつながりが生まれ、ギスギス感がなくなり、みんなの居場所ができあがることになれば、「みんなのもの」「みんなでやる」という日本人のもともと持っている理念を見直し、崩れかかっている社会を立て直すことにつながるのではと期待しています。

■当たり前のこと
-先日、長野市にある労働者協同組合の現場を視察されました。
篠原 どこがモデルなのか、よく分かりませんでしたが、働く人たちの協同組合が待ち望まれている、早く法制化し、ダメな部分があれば直していけばいい、と思いました。
私のイメージは、たとえば、「社長が会社を畳むという。でも5人か6人か、働いている俺たちみんなでやろうとする」…… それが端的な労働者協同組合だと思います。そうすれば技術も伝承される。
労働者協同組合は、声高に叫ぶまでもなく、共同体でやってきたことだから当たり前のこと。しかも、この仕組みに乗っかりたいという人は、ゼロからではなく、すでにやっている人の協力を得られる。きっとうまく回っていくと思います。議連として早期成立に全力を尽くします。

