インタビュー

地方の疲弊これ以上看過できぬ 地域課題解決にもこの法が役割

議員インタビュー(2)  桝屋敬悟議員(公明)

 「与党協同労働の法制化に関するワーキングチーム」座長代理の桝屋敬悟衆議院議員(公明党)に「協同労働」という働き方の意義、労働者協同組合法の必要性などについて聞きました。


■イメージつかめず

-私たちワーカーズコープ(労働者協同組合)は「協同労働の協同組合法」を制定してほしいと、20年以上にわたって運動してきましたが、先生がこの課題に取り組まれるようになったきっかけは。

桝屋 皆さんの運動を受けて、2008年に超党派の「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟」(坂口力会長、仙谷由人会長代行、長勢甚遠幹事長)が結成されましたが、法制化はなかなか実現しない。そのうち、元厚生労働大臣の坂口先輩が引退されることになり、公明党の中では、私が引き継ぐように言われたのです。 


長野県高齢者生活協同組合が運営する
小規模多機能居宅介護事業所「たわわ善光寺下」を訪問


しかし、協同労働、労働者協同組合のイメージをつかむことがかなり難しかった。現場を回ってみて、組合に参画する方たちが主体的で、よく議論し、地域のためにと働いておられた。その姿に胸を打たれ、これは頑張らねばと思って、今日までやってまいりました。


■地方創生特別委で

-「法案骨子」がまとまるまでの経緯を。

桝屋 2017年3月7日、「与党協同労働の法制化に関するワーキングチーム」を与党政策責任者会議の下に設置していただき、8回の会合を開催。実務者会議も設け、ワーカーズコープやワーカーズ・コレクティブの皆さんとも率直に意見を交わし、折り合いもつけていただきました。 
昨年12月20日のワーキングチームにおいて骨子をとりまとめ、今年2月4日、与党政策責任者会議で「これでいい、あとは各党の中でしっかり固めてもらいたい」となり、2月27日の協同組合振興研究議員連盟役員会でご説明しました。


センター事業団 Next Greenひろしま・木こり屋 Bun Bun Baum を訪問



-国会でも質問をされましたね。

桝屋 3月19日、衆議院地方創生に関する特別委員会で質問しました。 
「地方の疲弊をこれ以上看過できない。自分らしい主体的な働き方、多様な就労機会の創出のため、さらに地域課題解決のために、新たな法人制度、働く者のための協同組合を」と訴えました。片山さつき大臣は「地方創生の観点からも非常に有意義な取り組みだ」と答弁されました。 

この法は、志を立てて自分たちで取り組もうという方たちが、地域でもっともっとご活躍される状態をつくりだすものです。 
限界集落といわれているようなところでは、地域の皆さん方が自治組織で新しい働き方を模索しておれる。ただ、自治体の端末組織としての自治組織では、経営という観点からも課題が残る。労働者協同組合という法人格ができれば、そういうところにも役に立つと思います。 
農村では、農協組合員の女性たちが中心になって、女性ワーカーズという考え方で、小規模の直売、レストランなどを1万カ所くらいやっていると聞いています。

沖縄高齢者協同組合本部にて竹森鋼理事長(左)と懇談・配食事業「配彩」を訪問


■設立は準則主義で

-ところで、法案の名称は、仮称ですが、「労働者協同組合法」となりました。

桝屋 これまでは「協同労働の協同組合法案」「就業協同組合法案」「労働協同組合法案」などいろいろ出ました。 我が国では個別分野ごとに協同組合法制ができ、農協など事業主のための協同組合法、生協のように消費者のための協同組合法はありますが、働く人、労働者のための協同組合法はない。そこで労働者の協同組合、「労働者協同組合法」にしたら、ということで整理できたものです。


-法案のポイントを。

桝屋 組合基準で、「組合員は、組合の事業に従事するに当たっては、組合と労働契約(=雇用契約)を締結する」としました。最低賃金、労働災害、その他労働者としての保護が及ぶ働き方をとる。黎明期には最賃も出せない、ということがあると思いますが、そこを乗り越えて発展していただきたい。
「総組合員の5分の4以上の数の組合員は組合の行う事業に従事していること」「組合の行う事業に従事する者の4分の3以上は組合員であること」としました。

この組合の事業は何でもできる。悪用するケースを防ぐ意味もあってです。 
設立については準則主義。また、出資配当は認めず、非営利性を明確にしました。 

坂口先輩からも先日ハッパをかけられてました。全力を挙げます。

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