映画紹介 ドキュメンタリー「食の安全を守る人々」 子どもたちを大切にしているのか問われる
映画は、米国では発がん性が認められている農薬グリホサートの使用禁止を求める運動のシーンから始まる。世界の趨勢に反して、この農薬の残留濃度を緩和してしまった日本の食の安全を問う人々の姿がそこにある。

この映画には、理不尽な現状に立ち向かっている人たちを、元農林水産大臣の山田正彦さんが訪ねた記録が収められている。
米国では、NON︲GM運動を立ち上げたマムズ・アクロス・アメリカのゼン・ハニカットさんや、グリホサートを製造・販売する巨大化学企業モンサント(バイエルが買収)を相手に健康被害を訴えて一審で320億円の賠償金が認められたドウェイン・ジョンソンさん。日本国内でも農薬の危険性や子どもの発達への障害を指摘する医学博士や研究者、有機農業を推進する実践者などが登場する。すべての人が印象的であり、その言葉には突き動かされるものがある。
私にとって特に印象に残ったのは脳発達の権威であり医学博士の木村―黒田純子先生のグリホサートなどの農薬が、子どもの脳に与える影響を話されているシーンだ。子育て中に、毎年のように増える発達障害児のことや、そうした子どもを抱える保護者の悩みに付き合う度に、「なぜこのようなことが起こっているのか!」と悩み続けた。すべてを農薬問題にするつもりはないが、いつも原因を探っていた私にとっては、霧が晴れるような気持ちだった。
民間稲作研究所の稲葉光圀さんの言葉も印象的だ。ぜひ、映画で確かめてほしい。

稲葉さんが以前、「本来ね、小麦なんて輸入してはいけないものなんだよ。輸送する間にカビがでたり劣化が激しくなる。それを防ぐために収穫後の小麦に農薬(ポストハーベスト)をかけて乾燥させるんだよね。これが本当によくない」と話してくれた。
この農薬がたくさん使われている小麦が学校給食に使われている。さらに、農薬混入の基準を緩くして、小麦の輸入を拡大している政治のあり様に怒りがこみ上げる。
食をめぐる危機は農薬だけではない。遺伝子組み換え、ゲノム編集など食物の種子や魚などの遺伝子操作が行われる中、その食品表示がされない方向で行政施策は進んでいる。まさに消費者の知る権利、選ぶ権利は奪われようとしていること。
私たちは本当に子どもたちを大切にし、守っているのだろうか。自分にも周りにも問いかけたくなる映画だ。
作品の終盤、学校給食の有機食材化が訴えられている。学校給食が有機野菜に変わることで、地域に有機農業が広がることも韓国の例から分かってきた。
消費者の意識が変われば社会が変わるという。私たちの心で、行動で変えていきましょう。(日本社会連帯機構 飯沼潤子)
映画データ
監督・撮影・編集 原村政樹
プロデューサー 山田正彦/語り 杉本彩
7月2日よりヒューマントラストシネマ有楽町、ア
ップリンク吉祥寺にて公開。以後全国順次公開
公式HP https://kiroku-bito.com/shokuanzen/
配給 きろくびと/製作 心土不二