特集 期待の声と施行へ向けての国、自治体の動き
国・自治体 労協法活用し地域活性化

昨年12月に成立した「労働者協同組合法」は来年10月1日施行。地域活性化にどう生かすか、全部局合同勉強会、市民への研修会などが始まっています。期待の声を含め、全国の状況をまとめました。
各自治体で予算化、市民研修 100万円前後で多大な成果期待

法周知活動の予算化など準備が進んでいます。
◎鳥取県 「多様な雇用機会創出促進事業」(141万円) を予算化、行政書士会に事業委託。
◎京都府京丹後市 「『新たな地域コミュニティ』組織づくり事業」に「地域協同活動事業研修会経費」(64万円)を予算化。各地で「協同労働」の研修会。10月24日の第1回は労協連古村伸宏理事長が登壇します。
◎徳島県 法の周知、協同労働の活用事例紹介セミナー開催、「相談窓口」設置、「専門家派遣」実施などの「協同労働サポート事業」(予算100万円 )。
県としてこう取り組む
鳥取県 平井伸治知事・全国知事会会長
あいさつ 手取り合い新しい社会へ

「労協法は素晴らしい法律。一人ひとりが大切にされながら、地域で求められる仕事をしていく貴重な制度になると思う。すでに県の予算を組んでPR事業を行い、労協法の指定を受ける法人支援について行政書士会に委託を受けてもらった。私たちは手を取り合って新しい仕事のやり方、社会をつくっていけるのでは。労協法で新たに生まれる運動が広がっていくことを願っている」(労協法YEARキックオフイベント 10月)
徳島県 飯泉嘉門知事・全国知事会会長=当時
あいさつ 協同労働という希望に魂を

「労働者が出資をし、経営に参画する協同労働という概念はこれまでなかった。SDGs実現にも貢献し、地域包括ケアシステムにも新たなヒントが生まれてくるのでは。地方創生第2幕に必要不可欠な制度でもある。所管行政庁である知事がこの法律の成り立ち、効用、運用についてしっかりつかみ対応していく」(協同労働推進議員連盟設立総会 4月)
「協同労働という一つの希望が生まれた。労協法を活用してどのように仕事を起こしていくのか。勝負の時だ。多くの県民に協同労働を知ってもらい、皆さんの知恵と工夫でこの働き方に魂を入れてほしい。共に頑張ろう」(労協法キックオフ集会in徳島 5月)
埼玉県 大野元裕知事
議会答弁 本来の労協の役割発揮へ

「国会議員時代、法制化に取り組んだが、隔世の感がある。県としては、新しい働き方となる労働者協同組合について、まずは地域課題の解決に取り組む県民に説明会などを開催し周知を図る。また、組合の設立に関する相談に対応するほか、庁内横断的な会議を立ち上げ、市町村向けに研修会も実施する。広島市などの先進事例についても情報を収集し、県の支援策を検討する。多くの労働者協同組合が設立され、その活動を広げ、 地域課題解決の担い手から多様な役割を担える本来の労働者協同組合の役割が果たされるよう取り組む」(12月定例会で)
滋賀県 三日月大造知事
あいさつ どんな事業…一緒に考えて

「働く方々が主体性を持って、協力して社会のため、地域のために活動していくということは、とても意味がある。どんな社会的事業を担っていただけるか一緒に考えていきたい。気候危機克服も頑張ろう」(労協法成立記念フォーラム 1月)「部局横断協議体等の設置を検討する。市町村への学習会等は実施方法を検討。映画『Workers』を職員研修に」(懇談4月)
高知県 濵田省司知事
懇談 究極の経営参加、事業継承にも

「地域活動の新しい容れ物ができた。この働き方は究極の経営参加だ。ソーシャルビジネスや、若い方々の課題解決型のビジネス、中・小企業の事業承継などにも活用しやすいのではないか」(6月)
鹿児島県塩田康一知事
懇談 "地域共同企業法〟のような

「労協法は"地域共同企業法〟のような感じだ。ソーシャルビジネスのようで、全部にまたがる融通の利くものだと思う」(7月)
市、区としてこう取り組む
(労協法成立記念フォーラムでの発言 1月)
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広島市 松井一實市長
郷土愛育む協同労働を広く

「元気で意欲に溢れ豊かな知識と経験を持った人が、他人に命じられることなく自ら発起して働けるなら、納得度の高い働き方、生き方を可能にする。2014年度から協同労働の仕組みを活用したモデル事業「協同労働プラットフォーム」(※)を実施。最近では協同労働団体の立ち上げを相談する方が増えており、社会福祉協議会や町内会、地域包括支援センターが連携し、協同労働を地域コミュニティ再生に役立てる検討も進められている。
協同労働の取り組みは、郷土愛を育む新しい働き方、地域コミュニティ再生のツールとして大きな可能性がある。協同労働の実践が地域全体に広がるよう積極的に取り組む」
(※コーディネーターによるサポートや、立ち上げ費用の半額=上限100万円=補助を受けられる)
東京都世田谷区 保坂展人区長
沢山ワーカーズ生まれるよう

「昨年、重層的支援体制整備事業が改正された。高齢福祉、若者支援などを一括した制度を要望する中から生まれた。こうした制度を活用し、地域の中での相互扶助、住民の力で地域の課題を解決する事業体の姿として、労協法が威力を発揮してくれると期待している。また、再生可能エネルギー事業推進の仕事の可能性も大きく広がった。さらにたくさんのワーカーズコープが生まれるよう、バックアップしていきたい」
高知市 岡﨑誠也市長(全国生活困窮者ネットワーク共同代表)
今こそ活用すべき時

「コロナ禍で貧困、格差が拡大し、ひとり親家庭をはじめさまざまな方々の労働の機会が失われたり労働時間が短縮され、収入に大きな影響が出ている。労協法でみんなが助け合いながら、いろんな仕事の展開ができる可能性が大きく広がった。地域共生社会の構築を目指し、今こそ活用すべき時だ。
兵庫県尼崎市 稲村和美市長
法成立、ここからが本番

「阪神淡路大震災でのボランティア体験から自治に関心を持った。働くことで誰かの役に立ち役割がある。そこに手応えを持ちたいとやってきた。法成立、ここからが本番だ」
埼玉県北本市 三宮幸雄市長
市議会でも勉強会など

「北本市議会は、この法の早期制定を求める意見書を最初に決議した。地域における働く環境の拡充は喫緊の課題。市議会でも勉強会を実施するなど取り組んでいる」
埼玉県桶川市 小野克典市長
活用可能な分野を研究

「職員研修などを実施し、法律の活用可能な分野について研究を進めている。誰もが生きがいを持ち、夢と希望をもって地域で活躍できるまちづくりを進める」
京都府京丹後市 中山泰市長
真に豊かな「持続発展」へ
(協同労働推進議員連盟設立総会でのあいさつ)

「限界集落も広がり財政も厳しい我々のような地域にとって、労協法は住民を地域の救い手に変えていく。住民が地域の救い手になって、本物の地方創生が動き出す。そんな期待を感じる。
元気ならいろんなことに挑戦したいという方はたくさんいる。こうした方々が自律的・主体的にさまざまな活動に参加していくきっかけになる。シニア層だけでなく女性や若者やみんなが働き、活躍する場が広がれば、雇用のフィールドが多彩に広がり、地方移住を引き入れていく魅力にもなる。田舎が直面する社会課題が解決され、行政の財政負担が押し下げられていく。
『持続可能』というより『持続発展』、真に豊かなまちづくりへのきっかけにしていく法制だ」
政府全体で、自治体と連携し取り組む
菅総理(当時)、加藤官房長官(当時)答弁

2月8日の衆議院予算委員会で公明党の桝屋敬悟議員の質問に、当時の菅義偉総理、加藤勝信官房長官は、労協法に政府全体で、自治体とも連携し取り組みたい」と答弁しました。

菅総理は労協法についての認識を問われ、「労働者協同組合は組合員が出資をして、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織である、と理解している。労働者協同組合により、多様な就労の機会を創出するとともに、地域における、さまざまな需要に応じて事業を行うことで、地域の問題を地域の皆さんで助け合いながら解決していくことを大いに期待したい」と答弁。

桝屋議員が「政府を挙げて御努力を」と問うと、加藤官房長官が「主たるは厚生労働省の行政分野とされているが、各省が行政を進めていくことが重要。何より地域の課題を最もよく分かっている自治体において、労働者協同組合の活用も選択肢の一つとして対応を検討していくことも大事だ。単なる周知だけではなく、この新たな制度をいかに地域社会の活性化につなげていくか。政府全体、そして地方自治体とも連携しながら取り組んでいきたい」と答えました。
厚労省 概算要求1億円
相談窓口設置、フォーラムなど
厚生労働省が8月31日、財務省に出した来年度予算概算要求に、「労働者協同組合設立支援1億円」が盛り込まれました。
「円滑な法律の施行のため」に、労働者協同組合立ち上げ等に関する相談窓口の設置、フォーラムの開催、ポータルサイトの開設・運用保守、法に関する周知広報などの事業が予定されています。
また、来年度の税制改正要望では、労働者協同組合及び同連合会が、期待される機能を適切に発揮するために、「税制面での措置を検討している」とし、「事項要求」しました。
「骨太方針」にも明記
6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)に「労働者協同組合法の円滑な施行を図る」と明記されました。
国連総会事務総長報告書でも紹介
9月の国連総会で出された、国連事務総長による報告書「社会発展における協同組合」に労協法が取り上げられ、「日本は2020年に『労働者協同組合法』を採択した。この法律は持続可能な発展の概念を法文に明示的に取り入れ、障がい者を含む社会的弱者を包摂するために組織された協同組合など、新たな分野に協同組合の範囲を拡大している」と紹介されました。
「時の法令」誌に労協法
政府刊行物『時の法令』(令和3年5月30日号)が「労働者協同組合法の制定」(衆議院法制局第5部第1課執筆)を掲載しました。
「地域づくり」誌に労協
総務省外郭団体の一般財団法人「地域活性化センター」が発行する『地域づくり』9月号が「ワーカーズコープで活性化する地域コミュニティ」を特集。全国12カ所の労協の取り組み事例などが紹介されました。
懇談 市町村長の思い
市民の新たな選択肢/コミュニティバス運営を/地域課題みんなで解決/地域自治区を労協で/農福連携を/小さな挑戦重ねて/商店街活性化に/持続可能な地域づくりに
北海道苫小牧市 岩倉博文市長(3月)
「少子高齢化時代に入り、働き方の改革が求められている。協同労働もその答えの一つ。持続可能な地域づくりに向けて積極的な提案を持ってきてもらいたい」
千葉県 佐倉市西田三十五市長(7月)
「(中志津自治会とワーカーズの取り組みに)ワーカーズと高齢者が一緒に活動され商店街活性化にもつながる。協同労働プラットフォームの旗振り役となっていきたい」
千葉県印西市 板倉正直市長(8月)
「みんなで支え合いながら働くことはよいこと。日本の農業は非常事態だ。労協法を使って農業をどうにかできないか」
埼玉県所沢市 藤本正人市長(4月)
「農業・林業や観光などの地域資源を掛け合わせ、地域の人々が活力を高めていけるよう、市民に知らせていきたい」
東京都墨田区 山本亨区長(8月)
「せっかく立ち上げても活動が停滞している居場所もある。さまざまな人が関わることが必要。みんなで小さな挑戦を重ねながら成果を積み上げることが大事。区民にわかりやすく労協法を伝えていこう」
東京都日野市 大坪冬彦市長(9月)
「高齢者の居場所づくりに力を入れてきたが、広島市の協同労働プラットフォームのような、高齢者の力と経験を地域課題の解決にいかす方法も必要だと認識している。労協法は良い仕組みだと思う」
山梨県甲府市 樋口雄一市長(7月)
「労協法をさまざまな方法で周知をしていく。発展を願っている」
長野市 加藤久雄市長(4月19日)
「時代のニーズに合った法律。農福連携の分野で労協法が活用できるのでは。どのように施策に反映させることができるか研究していきたい」(2日後、労協ながの来訪)
長野県南相木村 中島則保村長(8月)
「退職後の高齢者の仕事をと開設した人材開発センターをワーカーズで運営できないか。カラマツ伐採や介護などの仕事を通じた村おこしに協同労働を活用できるのでは」
長野県小谷村 中村義明村長(8月)
「農福連携や福祉交通(交通弱者向け)などの村おこしを、村民が主体となってワーカーズコープ方式でできないか」
愛知県新城市 穂積亮次市長(5月)
「市民自ら地域課題解決や特色ある地域づくりを行う『地域自治区制度』を導入している。これを労協として運営できないか」
滋賀県草津市 橋川渉市長(3月)
「地域課題をみんなで解決する法律がようやくできた。貧困や格差を解消する一助としてこの法は大きい。既存の市民活動団体にもよい刺激を与えてくれたら」
大阪府和泉市 辻宏康市長(4月)
「この法が活用されるためには、市が積極的に法と市民をつなぐ必要がある。対応する職員の配置、担当窓口の設置が必要。モデル事業や啓発活動もやっていきたい」
奈良県桜井市 松井正剛市長(3月)
「市の生活支援体制整備事業に活用できるかもしれない。地域住民との、さらなる協同が楽しみ」
奈良県大和高田市 堀内大造市長(4月)
「地域課題を何とかしたいという、同じ目的を持つ人同士が活用するのに適している。市民の選択肢の一つになる働き方」
岡山市 大森雅夫市長(3月)
「中山間地域のまちづくりの担い手に、労協法が活用できるのかもしれない。おおいに検討していかなければ」
岡山県笠岡市 小林嘉文市長(8月)
「ピンとこない」から始まったが、実践紹介後、「市でもひきこもり支援は喫緊の課題。市役所を活用した居場所づくりなどで連携できるのでは。笠岡はメロン栽培が盛ん。農業分野での活用も考えられる」
徳島県三好市 高井美穂市長(8月)
「この法をどう知らせ、促進するか、市としても検討したい。高齢で運転免許を返納すると移動手段がなくなる。ワーカーズコープが地域ごとに立ち上がり、コミュニティバスの運営を委託できれば」
福岡県北九州市 北橋健治市長(9月)
「地域活動の担い手として新たな選択肢ができた。地域ニーズに合った事業や多様な就労機会の創出にもつながる。積極的活用に取り組む。相談窓口の設置についても前向きに検討する」