大分・臼杵 就B「なのはなクラブ」(おおいた地福) 自販機の焼き芋加工場を開始
就労継続支援B型事業(就B)を運営する、なのはなクラブ(ワーカーズコープおおいた地域福祉事業所、大分市・臼杵市(うすき))は、事務所を幹線道路沿いにあり車椅子の人も利用しやすい段差の少ない建物に移転し、自動販売機用の焼き芋加工場を併設。加工を3月からスタートしました。5月2日には加工場のお披露目式を行い、仲間や焼き芋自動販売機を展開する株式会社農福産業(宮崎県日向市)の児玉雄二社長らが、新しい門出を祝いました。(本紙 本田真智子)


「持続可能な働く場がある就Bを」
企業開拓から
おおいた地福は、学童保育や生活困窮者就労準備支援事業も行っており、就労準備支援のために、認定就労訓練受け入れ企業開拓で回る中で、農福産業と出会いました。2019年のことです。
20年11月には、農福産業から「大分の高速道路のパーキングエリアに焼き芋自販機を置きたいので、管理をしてくれる就Bを探している」と連絡がありました。
なのはなクラブを訪れた農福産業の児玉社長らは、障害者の賃金を上げる仕事をつくりたいと、お祭りで焼き芋販売に挑戦するなど試行錯誤。社員が自販機で缶ジュースを買ってきたことにヒントを得て、焼き芋を缶に入れて自販機で売ることを思いついたことなどを話しました。
「持続可能な働く場がある就Bをつくりたい」と、新しい作業を探していた、なのはなクラブの責任者小野智恵さんたちは「願ってもない」と快諾。
利用者がセールス
管理の作業は、空き缶と自販機の売上金の回収、焼き芋の入った缶の補充、清掃。回収した空き缶の洗浄と焼き芋を詰めるなどです。管理委託料は月12000円プラスガソリン代などの実費。
21年3月から管理の仕事を始めましたが、テレビなどで紹介されたこともあり焼き芋が売れて、休日には朝5時に補充に行くなど、焼き芋を切らさないように配慮しました。
外出する作業は利用者に好評で、中には作業中に自販機の側で「美味しいですよ」「いかがですか」とセールスする人も。
管理する自販機も2台になり、対応も評価され、委託料は月50000円にアップ。
「これならできる」
6月には、「自販機設置箇所が増えて、焼き芋の製造が間に合わない。大分工場を作らないか」との打診があり、田中秀昭所長、鎌倉かおるエリアマネージャーと小野さんが農福産業の工場を見学に行きました。
工場を見た3人は、機械がシンプルで、場所も取らないことや、2、3人で作業をしていた様子から、「これならできる」と確信。
機械を置ける物件探しに苦労しましたが、やっと3月から加工場がスタートしました。
「フランチャイズであっても、農福産業は自社で全て抱えるのではなく、各地の障害者施設と提携し、その土地の芋を使い、それを売りにしていいと言ってくれている」と、小野さんは全国のワーカーズの就Bに焼き芋加工と自販機管理を広げたいと考えています。「そのためにも、自分たちが基盤をつくらなければ」と意気込んでいます。


お披露目式
「もっと飛躍したい。次は気軽に集まれる場所を」小野さん
お披露目式では、九州事業本部の竹森鉄本部長が、「昨年、宮崎県の農福産業に小野さんらと訪問し、児玉社長から焼き芋自販機に対する熱い思いを聞かせていただいた。私たちは焼き芋加工場を絶対実現させようと語り合い、今日の日を迎えることができた。児玉社長や農福産業と思いを共有しながら、障害があっても、高齢やいろんなハンデキャップがあっても、働き暮らしていけるような社会づくりの一助になるように、努力していきたい」とあいさつ。
農福産業の児玉社長も、障害のある人の工賃を上げたいという思いや、いろんな障害者施設と連携して展開したいという構想を話しました(別掲)。
協力者の漁師で磯端会議代表の薬師寺正治さんも「ワーカーズといろいろ取り組んでいる。北海道から移住してきた福島さんを紹介して、ワーカーズで働き出し、結婚もできた」と話しました。
なのはなクラブの福島伸哉さんは「臼杵に来て、人との縁をすごく感じるようになった。これから発展していけばいい」。
責任者の小野さんは「今後、もっと飛躍したい。私たちは地域の中で生きていきたいと思い、誰でもが気軽に集まれる場所を目指している。就労準備支援となのはなクラブ、学童の現場が協力して、おおいた地福をもっと盛り上げたいので、引き続き皆さんの協力をよろしくお願いします」と力を込めてあいさつしました。
児玉社長から「デモ用の自販機を貸してあげるから、この事務所の前に置いたらいい」といううれしい申し出もあり、「ぜひ」と小野さんたちは大喜び。
就労準備支援現場の仲間も、引き続き協力を力強く約束。また、就労準備支援の利用者で、翌週から認定訓練でなのはなクラブに入る方も「今日は手伝いに来ただけなのだが、いろんな話が聞けてとてもいい経験になった」と明るく話し、訓練開始を楽しみにしています。
その後、振る舞われたできたての焼き芋に、「甘い」「ほくほくしているね」などと舌鼓を打ちました。
内覧には、お世話になっている市議、社会福祉協議会の方、内職をくれる企業の人、大家なども訪れました。
臼杵市福祉課の反応も良く、「焼き芋を売ってください」と言ってくれる人もいます。
「賃金が上がるように支援したい」 農福産業 児玉雄二社長

建設業と不動産業の和光産業を経営し、障害のある人の賃金が上がるように支援したいと、焼き芋自販機を始めた。2年半前には焼き芋関係の営業を担当する農福産業を設立。
障害のある人のために、加工場を作って仕事を作る、住むところを作る、食べるところを作るの、3つを考えている。
今、焼き芋自販機を全国で60台くらい設置。しかし、自販機だけが増えても、加工場がないと困る。そこで、障害者の働く施設と提携して、加工場を増やしていきたい。
さらに、加工場を持つところが、自販機も少しずつ増やすと、加工場自体が潤う。そんな形を、共同しながら増やしていきたい。
焼き芋加工場を持つことで、他の施設と差別化できる。内職などのように企業に左右されず、農作業のように天候に左右されず、毎日作業がある。
焼き芋加工は、切るところから仕上げるところまで、8工程に分解できる。その人の特徴を活かして、工程ごとの『計量のプロ』『真空パックのプロ』などの、プロを育成してほしい。そうすると、障害のある人が楽しんで過ごせるのではないか。