東京 国分寺ふじもと地福 保護者と生活介護「あっぷ」開所 

本紙 炭谷

 東京都国分寺市のワーカーズコープ国分寺ふじもと地域福祉事業所は、生活介護事業所「あっぷ」を5月に開所しました。ワーカーズコープKWC(国分寺ワーカーズコープの略)福祉事業所放課後等デイサービス「すてっぷ」の設立に関わった保護者らと一緒に立ち上げたものです。(本紙 炭谷)

働く保護者のニーズに応え、放デイから

 5年前、ワーカーズコープは国分寺市内で放デイ「すてっぷ」(当時は福祉の杜とくら地福)をオープン。

 準備段階から保護者らと計画を練り、仕事を持つ保護者のニーズに合わせ、平日の営業を夜7時までにするなど、「働く家族も支援する」をコンセプトに立ち上げたものです

 次に保護者とワーカーズが向かったのは、児童の卒所後の居場所づくり(放デイは18歳まで)。子どもの就労先や職場環境を心配する保護者の声を受け、就労継続支援B型を目指すことに。また、近くの小学校区で学童の待機児童が問題になっていたことから、民設民営の学童クラブも併設することにしました。2019年、新築した建物を借り、1階で就B、2階で学童を行う「ふじもと地域福祉事業所」を立ち上げます。

 ところが、就Bで予定していたカフェや製菓事業の計画が諸般の事情で頓挫。自主事業でカフェや食関連のイベントなどを開いていましたが、コロナ禍で休止。ふじもと地福の事業は学童クラブのみになります。

 この間、「すてっぷ」を利用する児童も成長し、卒所を間近に控える子も。このままでは仕事を辞めなければならない保護者が出てくる事態が迫ります。

「すてっぷ」の実践あるなら

 一昨年の夏頃、卒所後の居場所づくりを諦めていなかった保護者たちから再び相談が寄せられます。「もう一度、立ち上げを目指しませんか」。

 「すてっぷ」でのケアの実践から、ワーカーズへの期待を捨てていなかったのです。ふじもと地福や、「すてっぷ」のメンバーも、「今度こそ実現させよう」と計画を再起動。「卒所後の居場所を考える会」が発足します。

 今回は「すてっぷ」を利用する児童の特性や経営のことを考え、まずは療育や創作、園芸活動などを行う生活介護事業所を目指すことにし、開所時間も「すてっぷ」と同じ夜の7時まで。保護者や事業本部組合員に呼びかけて増資や協力債約800万円弱を集め、1階部分を改装。

 施設の名前は、「すてっぷ」卒所後も、前向きにポジティブにという意味を込め、「あっぷ」と名付け、4月の1カ月間は日中一時支援で運営し、5月から生活介護事業を開始しました。

開所式には30人が参加。利用者や保護者、応援してくれた人たちが開所を祝った

 

「ワーカーズとならやれると信じて」

 「居場所を考える会」の東峰邦子さんは「立ち上げに3年。立ち上げから思い入れのある『すてっぷ』に、子どもが開所以来お世話になった。3月に高校卒業を控え、なんとしても卒所後の居場所をつくりたい、ワーカーズとならやれると思い、再度相談した。『あっぷ』がなければ仕事を辞めざるを得なかった」と振り返ります。

東峰さん

 今後について、「国分寺の地場野菜(こくベジ)の販売や、地域の方、学童クラブと一緒にさまざまなイベントもしていきたい。障がいのある子を持つ保護者が考えるのは、自分たちが老いた時や親亡き後のこと。子どもと入れる施設やグループホームづくりにも取り組みたい」。

 昨年1月から所長になった貝塚所長は、「正直、最初は自分もどこか人ごとモードだったが、保護者の悩みや思いを聞く中で、立ち上げの当事者としての意識が芽生えた。利用者は現在6人で、保護者の中には『あっぷ』で働く人もいる。早く経営を安定させたい」と、意気込みを語りました。

貝塚所長

 

開所式 「地域に根付いた事業所に」

 5月14日の開所式では、ワーカーズコープ東京統括本部大場寛本部長、来賓があいさつ。

 末松義規衆院議員は、「私も『あっぷ』の応援団の一人。協力していく」。

 高瀬かおる国分寺市議は、「立ち上げには苦労もあったと思うが、しっかりと地域に根付いた事業所になってほしい。私も近所の住人。力を合わせ地域の中から本当の共生を作り出そう」と激励。

 今年3月まで、「あっぷ」を利用する児童の担任だった、都立武蔵台学園の元教諭椹(さわらぎ)( 真幸さんも、「在職中、いつも気にかかっていたのが子どもたちの卒業後のこと。保護者から立ち上げの構想を聞き、これはすごいと思った。さまざま困難もあったと思うが。陰ながら立ち上げを応援してきた者として開所を本当に喜んでいる。私もみなさんの取り組みに学んでいきたい」と期待を寄せました。

 貝塚所長ら5人のスタッフが紹介され、貝塚所長が立ち上げまでの経緯を説明。さらなる協力を呼びかけました。

 「あっぷ」の利用者から、開所でお世話になった人たちに感謝状が贈られ、保護者を代表して東峰さんがあいさつ。

 ワーカーズコープ東京三多摩山梨事業本部扶蘓文重本部長が閉会あいさつ。「さまざまな困難もあったが、保護者の強い思いと熱意で立ち上げることができた。この期待を裏切らないよう、事業継続への決意を固めて運営に臨んでいく」と気を引き締めました。

ふじもと地福「あっぷ」。2階は民設民営の学童「ふじSUNクラブ」