鹿児島・奄美 くっかる こどものおうち つらさも苦しさも出せる場として  日本財団子ども第三の居場所助成活用

本紙 本田真智子

 「くっかる こどものおうち」(ワーカーズコープ結の島地域福祉事業所)開所式は、12月19日に行われました(既報)。終了直後、空に二重の虹がかかり、その場にいたくっかるや鹿児島の仲間たちが「祝福してくれている」「空からのプレゼント」と、心を躍らせていました。(本紙 本田真智子)

開所式の後、二重の虹。前列中央の越間さんは「祝福されている」と

 

子どもが1人でいる時間減るといい

 開所式では、代表理事の田嶋(田中)羊子さんが「思いを持って動いていけば、周りの協力があり、願いが実現できるということが信じられるような、今日の開所を嬉しく思う」と喜びを噛み締めながら主催者あいさつ。

 くっかる所長の越間聡美さんは自分で織った「大島紬」で登場。

 2009年にふるさと雇用再生基金を活用して、認可外保育所「森の家くっかる」から始まった事業所のあゆみを紹介し、「17年に学習・生活支援を市から受託。日曜日に友達と宿題をして、一緒にお昼ご飯を食べる。明日友達と会うために学校に行こうと思えるようにと始めた。21年8月末、市の学習支援担当から連絡をもらい、『日本財団子ども第三の居場所』助成事業に申請。子どもが1人でいる時間が減ると本当にいいなと、企画書を書いた」と思いを語りました。

 奄美市の安田壮平市長は「さまざまな家庭環境の子どもたちの、言葉にならない声を聞き逃さず、地域一体になった重層的な支援を積極的に行っていく」と来賓あいさつ。

安田奄美市長

 日本財団経営企画広報部子どもサポートチームリーダーの野本圭介さんは「第三の居場所は16年に始まった。実際に子どもや保護者、現場の方々と接する中で貧困だけではない課題があり、コミュニティでいろんな人が集まるハブを作っていきたいと捉え直した。その直後にくっかるから申請いただき、文句なしの採択」と経緯を紹介し、「子どもたちの集まっている様子も見たいので、くっかる(アカショウビン)の鳴く頃に再訪したい」とあいさつしました。

日本財団

野本さん

 駆けつけた学習・生活支援事業の担当、市保護課生活支援係主幹兼係長の重田浩史さんは「思いがあったのでできた。これからが本番。行政としてできることを支援していく」と目を細めました。

 コロナ禍でテイクアウトになっているくっかる食堂(子ども食堂)も、「広いからここで食べてもらえるね」と仲間たちも喜んでいます。

町内会に育てられた経験から

 越間さんは子どもの頃、両親が仕事で忙しく、帰りが遅かったので、町内会に育ててもらったそうです。

越間さん

 「町内会で相談してくれて、高校まで何軒かの家で面倒をみてもらった。その家で夕ご飯を食べ、お風呂にも入った。同じ年くらいの子がいたので、一緒に遊んで勉強して。だから寂しくなかった」

 そういう経験が、こどものおうちに反映されています。

 「お母さんがお迎えが遅くなり、『毎日遅くなってごめんなさい』と謝る。保護者の就労の形態、家族の形はさまざま。保育所や学童が決める時間と合わない家庭もある。私たちが合わせていくことで、お母さんたちの『ごめんなさい』を減らしたい」

 子どもについて、小規模保育や学童、学習生活支援を通じて「自分の境遇を受け入れる柔軟さと強さがあると気づいた。何歳でも親の力になりたいと思っているし、親の悪口は言わないし。だから、学習支援の中で『勉強したい』のひと言を聞いた時に、弱音も吐いてくれたと、こちらが受け入れられた気がした」と感じ、つらさや苦しさも出せる居場所にしたいと意気込んでいます。

 また、日本財団『子ども第三の居場所』事業について、「みんなのおうちは、これにはまる。ワーカーズと日本財団の見ている方向は同じだと思う。これからさらに一緒にやっていけるように、ここをモデルにできるように運営していく」と覚悟を話しました。

小学低学年を中心に夜8時まで利用

 「くっかるこどものおうち」は、家庭や自身に課題を抱えた小学校低学年を中心に定員20人。平日(14時~20時)と土曜日(8時半~12時半)の週6日、長期休みにも利用できます。

 施設には、食事・交流・学習スペース、キッチン、お風呂、相談室などを設置。ネット環境も整えます。

こどものおうちを見学する保育所を利用していた子どもたち。壁に沿って設置された机、奥には低学年用の低い洗面台、その右側にはお風呂も。左手にはキッチン

 活動内容は、学習支援、食事・入浴等生活支援、伝統文化体験、自然体験、社会体験、環境体験(「食事→コンポスト→たい肥作り→小農→収穫」の循環体験)など。くっかるがこれまで大事にしてきた、季節の行事や自然の中で体を思いっきり動かす体験なども行います。

 活用した日本財団「子ども第三の居場所」は、ひとり親世帯や親のとも働きによる孤立や孤食、発達による特性や経済的理由など、ざまざまな生きづらさを抱える子どもに放課後の居場所を提供するもの。さらに、地域子育てコミュニティのハブとしての機能も。

 ワーカーズコープでは、江戸川ベースnappa(東京都江戸川区)に続いて、「くっかるこどものおうち」が2カ所目。くっかるでは建設費や備品代の他、24年までの3年間、運営費(人件費や食費、光熱費など)も助成されます。