センター事業団東海事業本部岡田本部長報告 協同労働活かし、多様な労協法人が 法施行後の三重での動き

ワーカーズコープ・センター事業団東海事業本部本部長 岡田俊介

 三重県では、10月の労働者協同組合法施行直後に、2団体が相次いで労協法人を設立、労協連加盟の三重中高年雇用福祉事業団も2月15日に法人移行総会を予定。他にも労協法人設立の相談が寄せられている。三重の法施行後の動きをお伝えする。(ワーカーズコープ・センター事業団東海事業本部本部長 岡田俊介)

 好きなことで地域を元気に

 四日市市

 キャンピングスペシャリスト

 全国で設立第1号の四日市市の「キャンピングスペシャリスト労働者協同組合」(CSW)は、キャンプ好きの5人が立ち上げた。

 「本業ではできない、やりたいことを通じて、四日市を面白いまちにしたい」という思いから、不法投棄がすごかった山林・原野1万4千平方メートルの市有地を年間2万円で借り、2年かけて整備。キャンプ場を立ち上げ、NPO法人で運営してきた。

 メンバーの一人で、四日市市議の樋口龍馬(りょうま)さんは、「ボランティアだと無責任になりやすい。労働者協同組合にして、自ら出資をし雇用契約を結ぶことで一定の責任を持って、共に労働することができる」と話す。NPOは物品販売等で継続し、運営・労働を労協で、という仕組みだ。

岡田本部長(左)と樋口さん

 面白いと思ったのは、利用者がキャンプをしながら管理当番も行い(働き)、組合員にもなって、利用者目線で運営している点だ。

 もう一つは、皆さん本業を持っていて、副業的に労協を立ち上げていることだ。

 県外からの利用も増えており、近隣の店舗にお金を落としていくので地域経済にも貢献している。

県外からも利用者が。キャンプ場運営だけでなく、道具販売も

 いくつかの地域から「ウチでもやりたい」と相談があり、全国に労働者協同組合によるキャンプ場づくりを広げ、キャンプワーカーズ連合会(仮称)もと夢を広げている。

 一部門を労協法人に、放デイ運営

 鈴鹿市

 コモンウェーブ 

 鈴鹿市の「労働者協同組合コモンウェーブ」は、子ども食堂や不登校支援、フリースクール、プレーパークなどを行うNPO法人の一部門を切り離して労協法人にしたものだが、「独立して新しいことを仲間を募って始めている」印象だった。当事者主体で地域課題の解決に取り組むという点では、私たちの協同労働と何ら変わりはない。

 不登校の子どもを持つ理事長の山浦久美子さんは、「フリースクールの児童の中には、障がいのある子もいるので、放課後等デイサービスの必要性も痛感していた。しかし、スクールの経営は厳しく、別法人で立ち上げ、全体で経営を成り立たせようと考えていた」。

 そんな時、「人新世の『資本論』」(斎藤幸平)を読んだ夫から、労働者協同組合という組織があることを聞き、「一人ひとりが自分の能力を活かして働ける。目指している組織形態にピッタリ」と、「労協」を選択したそうだ。

 組合員は11人。放デイは1月にフリースクールと同じ敷地で開所した。昨年12月に訪ねた時は立ち上げ準備の真っ最中。子どもも組合員も一緒になって部屋の改装や掃除に取り組む姿に、「子どもたちが自分たちで、自分たちの居場所をつくっている」と感動を覚えた。

 流れに乗って県内で事業所を

 東海事業本部は三重県から「労協法に関する事業者向け説明会及び行政職員向け説明会等開催業務」を受託。昨年12月には説明会を開催し、市民活動ボランティアセンターなどの依頼で学習会も開いている。県地域づくり推進課でも、労協法の周知・広報の場を検討しており、連携しながら県内での普及促進をさらに強めていく。

 また、大学の先生から「三重県は名張(なばり)市や伊賀市に代表されるように、市民主体の地域づくりの先進を開く自治体が多く、市民自治が根付いており、協同労働との親和性がある」と言われた。伊勢志摩では、宿泊施設の従業員らが労働者協同組合をつくり、施設から業務委託のような形で仕事をすることを模索している。

 CSW、コモンウェーブ共に労協連への加盟を検討中。県内にセンター事業団の拠点はまだないが、仕事を起こして事業所をつくり、他団体と共に協同労働を広げていく。