埼玉西部地福 森のとうふ屋さんの手づくり菓子工房conomi開所 いつでも集える地域の居場所に

本紙 本田真智子

 労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団埼玉西部地域福祉事業所(所沢市)は、4店舗目となる森のとうふ屋さんの手づくり菓子工房conomi(このみ)開所式と10周年のお祝いを4月9日に行い、就労者と家族、地域の方、市議、町内会長、ワーカーズの仲間たちなど100人以上が参加し喜び合いました。(本紙 本田真智子)

一人ひとりにあった働き方を

102(とうふ)工房からスターし、11年目

 埼玉西部地福は、「障がいの有無に関係なく、誰もが安心して働き、暮らしていける地域づくり」をテーマに取り組み、60人(内組合員26人)が働いています。事業は、就労継続支援B型を活用しての菓子や惣菜の製造・販売、農作業、手しごと、清掃と、自前のとうふ製造・販売。

 2011年に開いた基金訓練の受講生ら8人が、12年に埼玉西部地福所沢森の102工房を開所。15年に、西所沢駅近くの小手指(こてさし)地区で、就Bを活用した「森のとうふ屋さんの手づくり菓子工房」をオープン。

 17年には菓子工房狭山ケ丘店(同市、狭山ケ丘駅前)を開店。さらに、生活クラブ生協などと農福連携地域協議会「カレイドスコープ」を立上げる他、地域の有志と「みんなで育てる畑プロジェクト」も開始。3反の畑で野菜作り。地域の人と武蔵野の雑木林の整備をし、落ち葉で堆肥を作り、畑に入れる循環型農業も。

 18年に移動販売車での販売、19年に医療生協さいたま老人保健施設「さんとめ」の清掃業務など、施設外就労も増やしてきました。

 しかし、経営改善のために、森の102工房を19年に一旦休止。現在は、自分たちで栽培した大豆で豆乳と湯葉を作り、菓子作りに利用するほか、細々ながら販売も復活。

 一人ひとりにあった働き方ができるのも事業所の強み。就Bで福祉就労していた者が組合員になったり、組合員から体調を考えて福祉就労に戻ったりと、柔軟に対応しています。

 町内会の活動にも参加し、障害のある人もない人も共に地域の一員として暮らす風景をつくっています。

 conomiでは、地域の方や就労者家族などから賛助金、協力債もいただいています。

開所式で家族が「快適な職場で感動」

「町内会ももっと盛り上げていく」

 開所式は、藤野海秀副所長の「4月5日の開店以来、多くのお客さまがいらして、つくるそばから売れていく。嬉しい悲鳴とはこのことなのか」の言葉でスタート。

 生活クラブ生協の北原修さんが店舗前のウッドデッキで獅子舞を披露し、門出を祝福。センター事業団玉木信博専務理事があいさつで森の102工房運営の苦労を交えて埼玉西部地福の歴史を紹介し「引き続きの応援を」と呼びかけました。

 15年からの付き合いの地元、小手指第1区町内会の宮澤正会長が「菓子工房の皆さんは町内会の活動にも積極的に参加している。町内会もこの菓子工房をもっともっと盛り上げていきたい」と力を込めました。

 生活クラブ生協の小山滋さんは「カレイドスコープは、ワーカーズコープと地域の人で、何ができるか模索しながら取り組んできた。ダウン症の子どもがいて、学校を卒業したらどうするのか、すごく不安がある。このような居場所や働く場があるのは、本当にいい。このようなモデルが他の市でも広がっていくのではないかと期待している」と保護者としての思いも込めてあいさつ。

 conomiと名付けた㈱フロントデザインの鈴木裕也さんは「内装や包装のデザインをした。雑木林を整備していることや、菓子に使われる木の実、地域の人たちの好みの場所と考えて名付けた」と紹介。

 須賀貴子所長代行のあいさつ(別掲)の後、事業紹介動画を流し、働く仲間が「これからも頑張る」とひと言。家族も「今日初めて店舗を見たが、快適な職場で感動。これからも楽しく仕事ができるのではないかと安心している。いい店舗をつくっていただきありがとうございます」と感謝を述べました。

仲間と家族の代表があいさつ


 その後、所沢に所縁(ゆかり)のあるミュージシャン3組が演奏し、商品試食会。おからサラダやハンバーグ、お焼きなどが振る舞われました。
仲間と歌手として活躍する家族が歌で開所を祝った。階段に陣取った仲間たちは拍手で大盛り上がり


 最後に、埼玉事業本部の藤谷英樹本部長が「ただのお菓子屋ではなく、地域のみんなのおうちになればと思っている」とあいさつしました。

 参加者らは、ビスケットやケーキなどを購入していました。

障害や困難関係なく共に地域をつくる存在に

埼玉西部地域福祉事業所 須賀貴子所長代行

須賀所長

 conomiをオープンして今まで以上に多くの人に来ていただいている。『お店、大きくなりましたね』と声をかけてくれた女性は、なんと小学生の頃から菓子工房に通っていたと。地域に根付いた店舗になってきていたのだなと実感している。

 森のとうふ屋さんの手づくり菓子工房は、15年に就Bを活用してオープン。障害があってもなくても関係なく、街の中のお菓子屋さんで働く姿が当たり前の風景になってほしいとの思いで立ち上げた。

 この地域で温かく見守っていただき、町内会の総会やお祭り、運動会、芋煮会にもお声かけをいただいている。

 昨年5月から始めた仕事おこしプロジェクトで何度も話し合い、仲間の「一人じゃないと思える場所にしたい」の言葉から、ここのテーマが決まった。

 販売スペースとは別に、コミュニティスペースとキッズスペースを設け、地域の方がいつでも集える場所にしたいと考えている。町内会の中で、ちょっとお茶が飲めるところや打ち合わせができるスペースがほしいの意見から、イートインスペースも。

 conomiが、食を通じて、障害や困難がある仲間が私たちの暮らしや地域を共につくっていく存在になってほしい。

conomi。「素朴で美味しい」が伝わるようにと、内装に古い建具を再利用(写真上)。大きな店舗(写真下)。2階には多目的室や静養室も。1階には地域の人が気軽に集えるようなコミュニティスペースとキッズスペースも設けた