「ケアリーバー」支援、ワーカーズが山陰エリアで  首都圏若者サポートネットワークの全国展開に参画

本紙 福本


 社会課題の解決を目的とする公益社団法人ユニバーサル志縁センターが2017年に設立した首都圏若者サポートネットワークは8月28日、児童養護施設や里親家庭など「社会的養護」から離れた若者を支援する対象エリアを、九州(沖縄含む)、広島・岡山、山陰にも広げたと厚生労働省の記者クラブで発表。山陰は、労協ワーカーズコープ・センター事業団関西事業本部と山陰開発本部が、同じ志をもつ団体のネットワークづくりや当事者の働く場の創出、行政への政策提言などを行います。(本紙 福本)

18歳以降の自立を「伴走支援」

 ユニバーサル志縁センター専務理事で首都圏若者サポートネットワークの池本修悟事務局長は、「理不尽な理由でつらく悲しい思いをしている子どもや若者を応援していきたい。社会的養護(ケア)から離れた(リーバー)当事者の伴走支援を行う団体を応援してきた首都圏での取り組みを全国に広げていく」と趣旨を説明。

 公募には6団体から応募があり、審査を経て「九州(沖縄含む)」「岡山・広島」「山陰」エリアの3団体が選ばれました。

 各地の活動を資金的に後押しするため、首都圏ネットを含む4エリア合同のクラウドファンディング(目標1000万円)を同日からスタート。

 山陰エリアを担う関西事業本部の高橋弘幸本部長は、「鳥取、島根、兵庫県北部でネットワークづくりを行っていく。山陰地域で若者サポートステーションや生活困窮者支援、子ども食堂のネットワークづくりに取り組む中で、社会的養護が必要な子どもや若者に出会う機会があった。今後はそうした人たちにアプローチし、暮らしやすい地域づくりにつなげていきたい。そのためにも、支援者同士をつなげる活動に取り組み、『働く場』も創出していく。ぜひご支援を」と呼びかけました。

 九州は、NPO法人おおいた子ども支援ネット、広島・岡山は、NPO法人どりぃむスイッチを選定。

努力できるのも環境次第

村木顧問
ポスターを手に「寄付」を訴える首都圏若者サポートネットワークの宮本運営委員長(右)と池本事務局長(左)。中央は、映画「REAL VOICE」の山本監督。画面下部に映るのが高橋

 宮本みち子首都圏若者サポートネット運営委員長(放送大学・千葉大学名誉教授)は、「幼少期に虐待やネグレクトに遭い、社会的養護の中で育った若者の多くは、18歳になるとその施設を出て自立を迫られるが、親にも頼れず一人で自立して生活していくのはとても大変。彼ら彼女らに対する日本の支援は極めて希薄で放置された状態にあり、課題を感じて2017年から活動をスタート。『若者おうえん基金』を立ち上げ、当事者たちが安定した生活基盤を築けるようになるまで伴走支援を行う団体の活動費用を助成している」と取り組みを紹介。

 元厚生労働省事務次官で同ネットワーク顧問の村木厚子さんは、大好きだという漫画「ブルーピリオド」第9巻に出てくるセリフ「努力できんのは環境じゃね? 貧乏だと努力するのもすっげえコスト高いからハードモードだっつうの」を借りながら、「本当にその通りだと思う。彼らの支援に力を貸してほしい」と訴えました。

命を落とす子も

 会見には、ケアリーバーの実態を伝えるドキュメンタリー映画「REAL VOICE」の山本昌子監督も同席。映画では、虐待経験者70人の声が紹介されています。

 山本監督は、「私自身、生後4カ月から19歳まで東京都の乳児院、児童養護施設、自立援助ホームで育ててもらった。17歳の頃から当事者として『親じゃない人に育てられても、血のつながりがなくても、人は幸せになれる』と発信してきたが、そんな私でさえも18歳で施設を出た後、孤独に苛まれ、22歳ぐらいまで死にたい思いを抱えていた。18歳以降が当事者にとっては勝負。中には過去と向き合う中で命を落とす子もいる」と自身の過去を振り返りながら話し、支援の必要性を訴えました。

 来年4月施行の改正児童福祉法により、児童養護施設など社会的養護の下で暮らす子どもや若者に対する自立支援の年齢上限が撤廃され、18歳(就学している場合は22歳)を超えても必要に応じて継続して自立支援を受けられるようになります。また、当事者に対する伴走支援を行うアフターケア事業が法律に基づく制度(社会的養護自立支援拠点事業)になります。首都圏若者サポートネットワーク、ユニバーサル志縁センター、アフターケア事業全国ネットワークえんじゅ、全国自立援助ホーム協議会の連名要請で実現しました。

 詳細は、クラウドファンディングサイト=https://readyfor.jp/projects/wakasapo。

 9月6日現在、147万3000円の寄付が集まっています。

※選ばれた各地の団体は、ネットワークの設立・運営、課題やニーズの調査研究、助成のための基金造成、地域若者応援基金助成、 支援を増やすアドボカシーの5つの活動に取り組みます。