映画 仕事・働くということ 福岡 中村哲さんの映画で生き方考える機会に 大野城市立大利中学3年の総合学習で

大野城事業所副所長 伊中志織、支援員 吉冨佐知子 本紙 福本

 映画「医師 中村哲の仕事・働くということ」(日本社会連帯機構企画・提供)が全国各地で上映されています。今回は、福岡の中学校と東京北区で行われた上映会の報告です。

 福岡県大野城市立大利(おおり)中学校は、9月1日に開かれた3年生対象の総合学習で、映画「医師 中村哲の〜」を上映し、NGOペシャワール会PMS(ピースジャパンメディカルサービス)支援室山下隼人さんによる講演会も行いました。労協ワーカーズコープ・センター事業団と日本社会連帯機構が協力しました。(大野城事業所副所長 伊中志織、支援員 吉冨佐知子)

学校からの要請に協力

 井上和俊校長が冒頭、「コロナ禍以降、体験学習が減り、今日のような外部の方との交流は貴重。中村哲先生は私が尊敬する人の一人。新聞の切り抜きなども大切に保管している」などとあいさつしました。

 映画の上映は、インターネットで“中村哲”“映画”などと検索してワーカーズにたどり着いた学校が社連に連絡。大野城事業所を紹介された3年部の柴田志保主任より、「始業式の日に行われる総合学習の授業内で映画『医師 中村哲の〜』を生徒たちに観てもらいたい。東京の日本社会連帯機構本部から紹介された」と連絡が入り協力することになりました。

 上映した教室では、生徒みんなが画面に集中。熱心にメモを取る姿が印象的でした。同じ福岡出身の中村さんを知っている生徒が多かったようで、興味をもって鑑賞してくれたと思います。映画を観た感想は、今後、発表会があるので待ってほしいとのこと。

映画を観ながら熱心にメモを取ったり、挙手して質問したりする生徒(下)

 大利中学は、不登校児童の支援で以前から連携していたので直接相談してほしかったところですが、担当の先生は私たちのことを知らなかったようです。

 伊中と吉冨は入団2年目で、自分たちの「研修」も兼ねて今回参加しました。

支援は用水路だけじゃない

ペシャワール会・山下さん

 講演したペシャワール会の山下さんは、中村哲医師と一緒に働き、アフガニスタンにも何度か足を運んでいます。映画の中では触れられていなかった耕作地や居住地、学校など「用水路の周りの部分」に対する支援についても学ぶことができました。

 また、ペシャワール会やPMS支援室が目指しているのは「村の復興」で、現地の人々が安心・安全な生活を送れるよう、住民自身が維持できる方法で、用水路の建設や農作物の栽培などを試行錯誤しながら行っていることも理解できました。

 20代の若さで国境を越えて活動されている山下さんへの質疑応答の時間には、「最初にできた診療所は今どうなっているか」「PMSやペシャワール会の活動は国からの補助があるか」「現地で危険を感じたこと、大変だったことは」「アフガニスタン以外の国ではどのような支援を予定しているか」「どうして日本の(最新の)技術を持ち込まなかったのか」「残された課題は」「印象に残っている中村先生の言葉は」等々、答えきれないほどの質問が。環境や貧困・国際貢献などさまざまな分野に対する関心の高さがうかがえました。

今後は中高生も対象にしていきたい

 生徒を代表した方からは、「命の不平等さから目を背けず、目の前の命のために行動する姿勢に感銘を受けた。現状に満足せず、人を想う気持ちを大切にしたい」などと感想が述べられ、私たち自身も、一人ひとりの行動には現状を変える力があり、人を想う気持ちが平和への一歩になるなど、多くの気づきを得ることができました。

 中学最後の夏休みが終わり、卒業後の道を考える時期に入る9月1日に映画を観てもらえた意義は大きかったと思います。中村さんの働き方や生き方が、自らのキャリアを考えるきっかけになったのではないでしょうか。今後は、中高生対象の上映会も検討したいと思います。

東京北部

赤羽上映会でJTSU関執行委員長

「地域づくりを考える労組でありたい」

 東京都北区の赤羽会館で9月3日に上映会が行われ、146人が鑑賞。労協ワーカーズコープ・センター事業団北区なんでも商会「みんなのお店」(カフェ、自然食品販売、路上清掃)や東京北部事業本部などが開き、北区が後援しました。

 上映後には、日本社会連帯機構会員のJTSU(JR東日本輸送サービス労働組合連合会)の関昭生執行委員長と藤田徹専務理事が対談を行いました。

JTSUの関執行委員長(上)と、対談を行った会場

そごう・西武労組のストライキに共感

 東京と千葉を結ぶ総武線の運転士をしながら労働組合の委員長も務めている関さんは、西武百貨店の労働組合が61年ぶりの「ストライキ」を行い、テレビなどで話題になったことに触れ、「労組のみなさんが訴えたかったのは、自分たちの雇用保障のことだけではなく、池袋の“シンボル”としてまちに溶け込み、地域の方たちから愛されているお店をなくすべきではないという思い。ストライキもせざるを得なかったんだと思う。“絶滅危惧種”とも言われる労組の存在を示せた点ではよかった」と感想を述べました。

 一方で、「だからといって昔のようにストを多発するのではなく、もっと未来志向に、地域と共にどうあるべきかを考える存在でありたい」とも。

ワーカーズの「地域づくり」参考に

 さらに、「『ワーカーズコープを目指すのか?』とよく言われるが、市販の卵からひよこが生まれないように、労働者協同組合にはならない。しかし、持続可能な社会づくりは労組にとっても大きな課題だし、ディーセントワーク(働きがいのある仕事)を掲げるSDGsを目指す意味で向いている方向は同じだ。私たちは雇用労働者だから悩ましい面もあるが、会社に要求するばかりでなく、どういう働き方や地域をつくっていくのか、もっと知恵を出すべき。ワーカーズの地域づくりは本当に参考になる」と強調しました。 北区の上映会は3回開催後、10月14日に地域懇談会を開きます。

労組の立場で地域共生フォーラム 

 同労組は10月13日に「これからの鉄道と輸送サービスを考える地域共生フォーラム」(10時〜。無料)を赤羽会館で開催。現場で拾った鉄道利用者の声をもとに、政府が進める赤字路線廃止に異議を唱えます。(本紙 福本)