東京 江戸川ベースnappa 「ヤングケアラー」支援者の輪広げる
労協ワーカーズコープ・センター事業団江戸川ベースnappa(なっぱ)(東京)は、区の「ヤングケアラー(YC)相談支援等補助事業」を活用し、ヤングケアラー支援者の輪を広げる活動をスタート。先行する支援者(団体)に学ぶ意味も込めた「支援者の集い」を11月1日に事業所で開き、YC専用「ひだまりcafe nappa」も開設しました。21日には、YCを取材した毎日新聞社会部の山田奈緒記者を招いて講演会を開き、45人が耳を傾けました。(本紙 福本)

区の相談等補助事業を活用
“居場所”の取り組みを通じてヤングケアラーの子どもたちと出会うことがこれまでに何度かあり、何か支援できないかと考え、区の事業に応募しました。
カフェは、毎週日曜日の12〜18時まで、ご飯を食べながら、気軽に悩みごとなどを相談できる「ヤングケアラーの居場所」として開設。
カフェのほかにも、当事者の家事負担を軽減する宅配弁当をスタート。「取り組みが広がりそうな手応えを感じる」と、組合員は話しています。
相談室(月2回)や英語、社会、数学などの教育支援、当事者と家族向けの軽食付き研修会(隔月1回)などにも取り組んでいく予定で、研修会やワークショップ、講演会などの取り組みも行っていきます。
「見えていなかった人たちに気づいた」
「集い」参加者
「支援者の集い」には、すでにつながりのある支援者や団体とnappaスタッフを合わせ13人が参加。

加藤留美子所長が「支援者の輪を広げ、連携を取りながら、多くの人たちで支えていく。支援の必要性を広く市民に呼びかけるだけでなく、草の根のような実践活動にも取り組む」と方針を語りました。
14日には、2回目の「集い」が開かれ、合計15人が参加。
新たに参加した医師は、「これまで医療の世界しか見てこなかったが、こんなにもいろいろなことで困っている人がいて、これまで見てこなかったところで支援を行っている人がいることに驚いた。nappaさんにはいつも支えられており、恩返しをするためにもできることは協力したい」。
地域包括支援センターの相談員は、「高齢者に関わる相談業務がほとんどだったが、今まで見えていなかった人たちの存在に気づいた。これからは利用者の娘や息子、孫にも目を向けたい。『集い』のような拠点を通じて見えてくる課題があると思った」。
nappaの加藤所長は「この分野で大先輩にあたるNPO東京ソテリアさん、ケアラーパートナー木の根っこさんなどからいろいろ学び、nappaの最寄駅「葛西」のエリアの子どもたちの『心の扉』を開ける仕事をしていく」と決意を述べています。
「家族の問題」 話しやすい環境を
毎日新聞社会部 山田記者が講演
山田記者の講演会は、江戸川区のタワーホール船堀で。「ヤングケアラー(YC)を取材して見てきたイメージと現実のギャップ」と題して行われました。
山田記者は、厚生労働省の調査(2021年公表)をもとに、「30人のクラスなら、1クラスにおよそ1〜2人のヤングケアラーがいるだろう。誰にも相談していない子どもの多さが特徴で、本人に聞いた理由で最も多いのは『相談するほどのことではない』。しかし、大人はその通りに受け取ってはならない。『言いたくない』『知られたくない』との思いが背景にあるはずで、だから見えにくく、声かけも難しい。家族の問題を話しやすい環境をどうつくるかが課題」。
また、「取材の前は、福祉や医療、教育などの制度が何のためにあるのかと思っていた。学校にイライラしていた。しかし、取材すればするほど学校も先生も忙しく、YCの存在に気づくのは容易でないことがわかった」とも。
さらに、「相談に来た子に役立つ情報をあげられないまま『またいつでも来て』と帰すのは残酷。助けを求めた時点で、その子は相当限界。すぐに具体的なサービスを提供できなくても、その子のプラスになることを何か一つでも持ち帰らせることが、子どもの場合はとくに重要」と強調しました。
