岐阜で「第18回若者・ひきこもり協同実践交流会」
第18回「若者・ひきこもり協同実践交流会」が1月6、7日、「出会う・つながる・つくる―場が開かれていくきっかけづくり」をテーマに岐阜市のぎふメディアコスモスなどの会場とオンラインで開催され、290人が参加。若者支援のあり方について活発に議論しました。(協同総研専務理事、 JYCフォーラム理事 利根川 德)
若者も地域も育ち合う実践を
若者の主体的参加、コミュニティづくり重要
交流会は2006年の和歌山大会を皮切りに、ひきこもり支援に携わる人たちを中心に年1回のペースで開催。支援者だけでなく若者当事者、家族、行政関係者、研究者などが集まり、「支援する・される」の関係を超えた協同実践を追求しています。ひきこもり問題だけにとらわれず、教育や就労など多様な視点から若者期の問題をとらえる会に発展してきました。
全体会では、JYCフォーラム(若者協同実践全国フォーラム)共同代表の穴澤義晴さん(NPOコミュニティワーク研究実践センター理事長)が「若者期に着目する意味、支援そして協同への流れをローカルな協同から再考する」と題して基調報告。
「子どもから大人へ移行する『若者期』が問題として浮上した背景には、労働市場の変化と教育・社会保障制度の問題がある。解決するには基礎的な生活基盤を提供する制度の整備と、若者自身が自治的にコミュニティを形成していく協同実践の取り組みが重要」と強調しました。
さらに、若者支援の市場化、事業委託や助成金・寄付などをめぐる若者支援団体同士の競争激化、民間営利企業の参入による非営利組織の周縁化など、さまざまな問題を指摘しました。
続くシンポ企画「若者・ひきこもりを協同で支える~『連携』を超えて『ともにつくる』実践~」では、飛騨市地域生活安心センター「ふらっと」の青木陽子さんと、NPOこおりやま子ども若者ネットワークの鈴木綾さんが実践を報告。
青木さんは「子どもの発達に限定していた庁内の窓口を総合相談窓口に。各課連携を実現した」。鈴木さんは郡山市長が市民参加型地域計画をマニフェストに掲げたことから行政との連携が深まり、子ども・若者がテーマの『公民協働ワークショップ事業』を開始した」と話しました。
古村伸宏ワーカーズコープ連合会理事長(JYCフォーラム共同代表)も進行役として参加。「コミュニティづくりのツールとしての協同労働の可能性」について話し、官民連携や若者の主体的参加について会場を巻き込んで議論しました。

初日午後は、8つの分科会で議論。その一つでは、東京・三鷹で先駆的に若者支援に取り組んできたNPO文化学習協同ネットワークの高橋薫さんと、岐阜で多様な困難を抱えた人の就労支援を行う(一社)サステイナブル・サポートの後藤千絵さんの報告をもとに、「適応主義的・訓練的になりがちな就労支援ではなく、若者も企業も育ち合う協同実践の方向性」が提案されました。
「こども」の中に「若者」包摂されて
若者政策、抜け落ちないか
今回の交流会では、23年4月施行の「こども基本法」の中に「若者」も包摂されたことで、若者政策に後退が生じないか、という疑念が共通の問題意識として出されました。
基調報告の中で穴澤さんは「こども家庭庁が23年に発足。こども基本法が施行され、子ども・若者育成支援推進法関係の政策が同庁の管轄に。『こども』の中に『若者』が包摂され、若者期への注目が低下する。また、4月施行の孤独・孤立対策推進法にひきこもり対策も含まれ、これまで指摘されてきた社会構造の問題が置き去りにされかねない」と指摘。
2日目の分散会の一つでも、宮本みちこ放送大学・千葉大学名誉教授が「こども基本法を受けて、各自治体でこども基本条例がつくられる段階で若者政策が抜け落ちるのではないか」と懸念を表明。
会場からは、「不登校やひきこもり、若者の貧困問題などの社会的背景の分析がない」「自治体シフトで若者政策は本当に大丈夫か」「学校教育が諸悪の根源」「子どもだけでなく大人の権利さえ保障されていない」といったさまざまな意見があがりました。