厚労省「労協周知フォーラム」(東日本) 地域共生社会支える不可欠の基盤に
厚生労働省主催「労働者協同組合周知フォーラム」(東日本ブロック)が1月28日に一般社団法人埼玉県勤労者福祉センター「ときわ会館」で開かれ、会場・オンライン合わせ347人が参加。同省雇用環境・均等局堀井奈津子局長、埼玉県大野元裕知事、茨城県つくば市五十嵐立青(たつお)市長があいさつし、京都大学人文科学研究所の藤原辰史准教授が基調講演。事業所の紹介などを行ったパネルディスカッションでは、ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパンの藤井恵里代表がコーディネーター、株式会社日本総合研究所創発戦略センターの小島明子スペシャリストがコメンテーターを務めました。(本紙 福本)
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身近な課題に主体的に取り組むことが大事
堀井局長は、能登半島地震で避難生活を強いられている人たちへの強力な支援を約束。
労働者協同組合については、「一人ひとりの希望に応じて選べる新しい働き方、生き方の選択肢で、今後一層求められる地域共生社会を支えていく不可欠の基盤になると考える。社会に定着していくことを心から期待している」とあいさつしました。
大野知事は「超少子高齢化の進展に伴い働き手が減少する中、 労協法に基づく制度で地域の人々が身近な課題に主体的に取り組み、活躍することは大変重要」と話し、埼玉県産業労働部多様な働き方推進課の深野成昭課長は、県の設立支援策などを説明。
五十嵐市長は、「25年ほど前、スコットランド・ニューラナークの工場で搾取しない仕組みをいかにつくるかを学んだ。日本で地域の仲間と立ち上げたごきげんファームという農場では、障害のあるスタッフが働いており、『ここに来て生まれた意味がわかった』 と話す方も。行政にできることには限界があり、『ともにつくる』ことが大事。自分たちでまちをつくる人が増えていくアプローチが必要だ」と提案しました。
自然や生き物と調和した労働に
藤原准教授は、「労働と自治『はたらく』から『はたらき』へ」と題して講演。行き過ぎた市場主義経済の下で労働の商品化が進んだことを諌(いさ)めながら、「自然や生き物と調和した労働にシフトを」と強調しました。

「意見反映」に魅力感じ法人設立
パネル討論では、労協法人の代表者ら4人が登壇。

不登校児童に居場所を労協フラヌイスコーレ
フラヌイスコーレ(北海道富良野市)の松下寿美枝さんは、「子どもの不登校に悩むお母さんや環境問題に関心のある若者などと、映画『みんなの学校』上映会をきっかけにフラヌイコロという任意団体をコロナの頃に立ち上げた。ある母親から、『学校に行かなくてもいいから、外に出て家族以外の人と話せる場はないか』と相談を受け、子どもたちの居場所づくりを市に相談。『前例がない』と取り合ってもらえなかったため、市の施設を借りて子どもたとち遊びを通じて交流するボランティアを開始。無償では続かないと、身近で困っている人を助けることができ、『意見反映』もできる労協を立ち上げた。やらされるのではなく、やりたいことができると思った。資金が課題だが、フリーマーケットで手にしたお金を提供してくれる人も現れるなど、いろんな人の力を借りている」。
雑草、害虫と折り合いを労協キフクト
キフクト(神奈川県大和市)の佐藤光宏さんは、「資本主義の行き詰まりに対する処方箋になると感じて設立。不安定な個人事業主として長く造園業を営んできたが、組織で働く自由さとうまくつなげられるとも思った。フラヌイスコーレのような切実な課題はなかったので、仕事をつくることが課題。労協的な取り組みが重要と思い、『中央集権的でない庭づくり』を提案。藤原先生の話にもあったが、人間が生き物の生殺与奪の権利を握って庭や緑地を管理するのではなく、雑草や害虫も、彼らなりのやり方でその場所にいる、と考え、互いに折り合いをつけながらやっていく造園スタイルを提供したい」。
島田史枝さんは「労協とは?から始めたが、物事が進むスピードの速さに驚いている。強みも弱みもさらけ出せる働き方が組織の強みになる可能性を感じる」。
労協うえだ(長野県上田市)の北澤隆雄さんも「高齢者の新たな生き方を提案」と法人設立の理由を説明。
コメンテーターの小島さんが「『社会的課題に挑む』『仲間と楽しく』『雇われず働く』の3つが法人設立のきっかけ。どれか一つに当てはまればチャレンジできることが伝わったのではないか」とまとめ、ワーカーズコープ連合会の古村伸宏理事長が閉会あいさつしました。
藤原辰史さん、伊藤亜紗さん、古村伸宏さんの鼎(てい)談を後日、本紙と「協同の発見」に掲載します。