農協協会・農協研究会「新春の集いと特別講演会」  古村理事長「持続可能な社会へ労協活用を」

本紙 福本

 一般社団法人農協協会と農業協同組合研究会が4年ぶりに開催した「2024年新春の集いと特別講演会」が、2月28日にLEVEL XXI東京會館(東京・大手町)で開かれ、ワーカーズコープ連合会の古村伸宏理事長が、東郷和彦元外務省欧亜局長、立花義裕三重大学教授とともに登壇。農協OBらを中心とする参加者150人に、労働者協同組合が持続可能な社会へ果たす可能性を語りました。(本紙 福本)

労協に学ぶ部分大きい

 特別講演会のテーマは「地球と人類の危機を乗り越えて 踏み出せ! 持続可能な社会へ」。

 司会の農協研究会谷口信和会長が3人の講師を紹介し、「農業を営む人たちは、農協に何かをしてもらうのではなく、農業に従事する当事者として、協同組合の主権者として農業の未来を考えてほしい。労働者協同組合に学ぶ部分は大きい」と期待を込めました。

2回目のIYCの意義 

講演する古村理事長

 古村理事長は、「労働者協同組合の経験から〜協同労働が耕す『働き』の可能性」と題して講演。

 「労働者協同組合は、一人ひとりが当事者性を持って主体的に働き、それを協同化することでよい仕事につなげる仕組み。生み出したサービスの受け手にもよい仕事だと評価されなければ、真のよい仕事にはならない。つまり、『与える・与えられる』の関係を越え、みんなの利益につながることをめざす意味で、公益性を重視する協同組合と言える」と話しました。

「多様性」が今後の鍵

 2025年がこれまで例のない2回目の国際協同組合年(IYC)になったことにも触れ、「その理由に『地域コミュニティとすべての人々の最大限の社会参画の促進』が挙げられたことに注目している。協同組合は通常、組合員のための“共益”組織だが、組合員ではない人も含め、より多くの人たちが協同組合を認識し、その活動に触れることで、より良い社会に向かうことが期待されている、と私は理解している。戦争や気候危機など地球規模の課題を乗り越えていくためにも、協同組合がいかに質的発展を遂げ、それを発信できるか、来年のIYCは極めて重要」と強調しました。

 さらに、戦後の日本社会が画一的な生活や経済のモデルを追い求めてきた結果、閉塞感に満ちた今があるとの見方を示し、「だとしたら、画一的になった部分をほどくことで、多様な社会や一人ひとりのあり方を重視することにつながっていくのではないか。多様な就労機会を創出し、地域の必要に応じた多様な事業を促進することで、持続可能で活力ある地域社会の実現をめざすという目的を掲げた労働者協同組合法のポイントも『多様性』。不登校30万人時代の今、学校が画一的ではない教育に舵を切ろうとしていることとも関わる重要なキーワード。生物の世界では当たり前だが、多様性こそ持続可能性を担保する」と力を込めました。

 東郷氏は、2つの戦争(ウクライナ・ロシアとパレスチナ・イスラエル)の停戦に向け、冷戦後のアメリカがグローバリズムの名で自らの価値観を世界に押し付け、今、翳りがみえていることに学ぶ重要性を説明。

 立花三重大教授は、異常気象を長年研究してきた立場から世界的温暖化について、「昨年から一段危険なステージに移行した」と警鐘を鳴らし、「私たちは地球で起きていることの被害者であり加害者。一人ひとりが関心を高めないと本当に地球が危ない」と訴えました。