埼玉・ふじみ野 断熱セミナー 社会連帯にんじん、市民に呼びかけ

総合企画開発本部 伊藤剛

「私たちだと商売と思われる。市民が呼びかけてくれたらありがたい」

さいたま断熱改修会議と一緒に

 埼玉県ふじみ野市の「社会連帯グループにんじん」(ワーカーズコープ・センター事業団ふじみ野そらまめ地域福祉事業所の母体)は、セミナー「断熱が日本を救う―健康、経済、省エネの切り札」を3月31日、市民交流プラザ・フクトピア展示ルームで開き、50人が参加しました。さいたま断熱改修会議が協賛、国土交通省、経済産業省、ふじみ野市などが後援しました。(総合企画開発本部 伊藤剛)

そらまめ地福、太陽光発電も隙間風で…

 「そらまめ」は、目の前に広い畑がある築60年以上の民家でデイサービスを行っており、太陽光パネルを屋根に乗せ、電気を自給しています。

 ところが、隙間風がすごく、島袋俊子所長(にんじん代表)らは「高齢の利用者さんに快適に過ごしていただきたい。断熱効果の高い窓に替えたい! せっかく太陽光で発電、CO2削減にもなっているのに無駄に電力を使っている」と、リフォームを考えました。

 本部に相談すると、「さいたま断熱改修会議」という組織があることを教えられました。

 島袋さんは早速、改修会議の議長を務める佐藤喜夫さんに電話しましたが、電話だけではにんじんやワーカーズコープのことなどは伝えきれません。建物も見てほしいと思い、「デイのランチも召し上がっていただきたいので一度、来ていただけませんか」とお願いしました。

 1月12日、6人もの方が来られ、サーモカメラで室内を撮影。その結果に「衝撃を受けた」と島袋さん。

 エアコンの吹き出し口は真っ赤ですが、床は濃い青色。エアコンで温めているのは天井ばかりで、床は寒いことがはっきり示されていました。風呂やトイレとデイルームに温度差があり、ヒートショックを引き起こす原因にもなることなどもわかりました。

エアコンの吹き出し口は真っ赤だが、床は濃い青

 古い家だと床や壁、窓、天井などに隙間があり、新聞紙見開き分くらいの面積の穴が開いているという話も聞きました。

 断熱のことはよく知らず、窓さえ替えればいいと思っていた島袋さんは、「地域の方にも知らせたいですね」と口にしました。

 すると改修会議の方は「市民向けにセミナーを開いたが、会議のメンバーは工務店など業者が中心なので商売と思われ、10人くらいしか来なかった。市民の方が呼びかけてくれたらありがたい」と。

 双方の思いが合致して、すぐに会場を予約。社会連帯機構の助成金も要請しました。

 日本でただ一人といわれる「断熱ジャーナリスト」高橋真樹さんへの講演依頼と国土交通省、経済産業省への後援依頼は改修会議が行い、市の後援は島袋さんたちが取ることにしました。

 社会連帯で行ったポールdeウォークの参加者40人以上や太陽光発電の応援者などにチラシを送り、地域の人たちに案内し、当日を迎えました。

断熱が日本救う…高橋真樹さん講演

国、県の補助金活用の説明も

にんじんと断熱改修会議の皆さんら

 島袋さんが開会あいさつでセミナーを開くに至った経緯を報告。

 さいたま断熱改修会議の佐藤議長は、工務店仲間での飲み会で「埼玉って寒いし暑いし、どうにかしたいね~と話題になったことが設立のきっかけ」と話し、断熱を知らせる広報宣伝や小学校の教室の断熱工事などを行っていることなどを紹介。

 『断熱が日本を救う―健康、経済、省エネの切り札』を出版したばかりの高橋真樹さんが講演。

 「WHO(国際保健機関)は住まいと健康に関するガイドラインで住宅における健康上の負担の軽減に向けた勧告をし、居住環境は18度を基準としている。国際社会では『暑さ寒さは人権』という理解になっているが、日本は9割が18度以下の寒い住環境。不快で不健康でエネルギー浪費型でお金もかかる。しかし希望もある。断熱は難しくない。社会は変えることができる」と訴えました。

 そして、「ようやく国も動いて、先進的窓リノベ事業のような補助制度がはじまっている。24年度からは家の省エネ性能がわかる省エネ基準適合住宅の報告表示制度が開始される」と紹介しました。

 地元・ふじみ野市の工務店神木宏晃社長(さいたま断熱改修会議メンバー)は我が家を快適で省エネにする「暑さ・寒さ対策」を紹介。「断熱性が低いアルミサッシはほとんどの国で使われなくなっている。まずは窓を樹脂窓に。次に床や天井を断熱する」と述べ、国や埼玉県の補助金の活用についても説明しました。

 「マンションだけど断熱できるか、内窓はどこでも付けられるか」などの質問もあり、わかりやすい断熱の模型なども展示され、聞くより見る・触ることが大事と実感させられました。

 「我慢が美徳」の時代は終わり、「断熱で省エネにも健康にも優しい快適な家になる」という役立つ話が多く、大変充実したイベントになりました。