ワーカーズコープちば 2つの事業所開設 自前障害者自立訓練「オアシスちば」 県委託児童安全確認「このゆびとまれ」

本紙 本田真智子

フードバンク、困窮者支援のつながり活かす

 労働者協同組合ワーカーズコープちば(WCちば)は、自前事業の障害者自立訓練事業「オアシスちば」と、千葉県では初めてとなる県委託の児童安全確認民間協力員業務を行う「このゆびとまれ」の2つの事業所の合同開所式を、7月30日に千葉市中央区の事業所で開き、県や市の担当者や関係機関など19人が参加しました。2つの事業所は同じ建物内にあり、互いに協力しながら事業を行っていく予定です。(本紙 本田真智子)

同じ建物で相互に関わり持てるように

引きこもっていた人の居場所を

 オアシスちばの行う自立訓練事業は、障害者福祉サービスの一つで、定員20人。2年間利用でき、その間に就労に向けて睡眠リズム、身だしなみ、コミュニケーションなどの改善や、趣味づくりなどをしていきます。

高速道路のインターチェンジや定時制高校などに近いことから選んだ建物の1階を使用。元社員寮で、厨房や浴室、個室もあり、トイレが2つある

 オアシスちばは「自宅以外の居場所」を目標に、特に千葉市委託の生活困窮者自立相談支援事業などを通じて就労が難しいと感じた長期間引きこもっていた人や、退院してこれから活動をしたいという人などをサポートしていきます。

 WCちばのオアシス農場やフードバンクちばでの作業、他の事業所や関係する企業・団体から軽作業を請けて協力費(工賃)が発生する仕組みも設ける予定。

 8月1日から事業開始で、当面は周知と利用者を増やすことに力を注ぎます。

 所長の杉浦達夫さんは、「農場の活用やちばの他の事業所と連携するなど、強みを活かしていく。特に、農業では耕す、雑草取り、種まき、水やりなど多様な作業があり、障害のある人の状況に合わせられる。また、利用者一人ひとりの話をよく聞きながら、本人が望むことができる居場所を目指す。2年間やって、利用者の状況を見ながら、移行支援や就労継続支援B型などの必要な事業を起こして、多機能型事業所にしていきたい」と話し、「引きこもっている人が家から出ることを第一歩に、元気になる支援をしていきたい」と力を込めました。

所長の杉浦さんが自立訓練事業の説明。

子どもや保護者の支援も考えていく

 児童安全確認民間協力員業務このゆびとまれは、7月1日から事業開始。365日11〜21時の稼働で、担当するのは、市川(含船橋支所)、柏(含柏末広支所)、中央児童相談所の3つ。

 児相に子どもの泣き声や1人で公園にずっといる、ケガをしているなど虐待の疑いのある通報があった場合に、48時間以内に確認することになっています。そのうち、虐待ではないと思われる軽微な通報の安全確認を、WCちばが担います。

 現在常勤は2人ですが、船橋本部の仲間などが研修を受け、民間協力員として出動できる体制を準備。

 県から児童安全確認業務の話がWCちばに来たのは2年前。年々増える児童虐待数と関心を持つ市民の通報数に、なんとか対応しようと、すでに安全確認の業務を労協ワーカーズコープ・センター事業団に委託している埼玉県へ視察したとのことでした。

 菊地さんたちは、埼玉や江戸川のワーカーズの現場に視察に行き、現場組合員の「この事業はやった方がいい」という発言に動かされて、公募が出た際に手を上げて獲得しました。

 今は研修も兼ねて、児相の職員と同行での訪問を重ねているところです。

 また、このゆびとまれの佐藤豊さんは前職がIT関係で、事業の立ち上げや困りごとのサポートなどをしていました。

 「福祉は初めてだが、人と人の困りごとに対応するというのは同じ。虐待の話はニュースで聞くぐらいで、研修を受けて驚くことばかりだ。行政の支援の隙間になり、困っている子どもたちが結構いる。そういう子たちのフォローを安全確認の仕事をしながら考えていけたら」と話しています。

 代表理事の菊地謙さんは、「フードバンクちばや生活困窮者支援、県委託中核地域生活支援センターなどを行う中で、さまざまな団体や個人、企業などとつながりをつくってきた。フードバンクも近くにあり、つながりがより活かせると考えて、この場所に2つの事業所を立ち上げた。同じ場所にあることで、家賃を折半でき、このゆびとまれのスタッフがオアシスちばの利用者と関わるなど、相互に協力ができる」と話し、「実践を重ねないとわからないことは多いが、将来的にはこの場所を使って子どもの居場所や保護者への虐待防止研修などができたら」と構想しています。

開所式

「初めての事業。協力いただけありがたい」県

「いいところができた。早速紹介したい」市

 開所式では、代表理事の菊地さんが「このような開所式を開くのは、コロナ禍もあり2018年以来。オアシスちばとこのゆびとまれは違う事業だが、協力し合いながら、また地域の方と連携しながら広げていきたい。皆さんにも力を貸してほしい」とあいさつしました。

 児童安全確認担当の県健康福祉部児童家庭課児童相談所改革室の木村美仁(みさと)さんが「初めての事業で、手探りで始めている。児童虐待の通告数自体が年々増え続け、児相の職員だけではていねいな対応ができない。子どもたちの安全と生活の保障を叶えるために、WCちばに協力いただけたことをありがたいと強く思っている」。

 市中央区基幹相談支援センター管理者の伊藤佳世子さんは、「障害のある人の相談では、社会的に孤立して人とのつながりがない、経済的に困窮しているなどが多い。また、若い人の居場所がない課題も。自立訓練事業所の話を聞いた時、『いいところができた』と喜んだ。早速いろんな人を紹介したい。大変期待をしている」と力を込めて祝辞。

 フードバンクなどで関わる株式会社レプコ代表取締役野本茂雄さん、大家の朝岡勇さんも協力などを約束してくれました。

 続いて、オアシスちば所長の杉浦さん、このゆびとまれの佐藤さんが事業の説明をし、WCちばの組合員や協力関係の就B事業所「じねん」が作ったチキンカレーやサラダ、ローストビーフ、シュウマイなどで昼食交流をしました。

食事しながらの交流会も久しぶり。手前左が代表理事の菊地さん
安全確認の仕組みを説明する佐藤さん