福井 「福井でつながろう‼」 よい仕事交流集会 市民団体、自治体、社協、協同組合が実践発信 「よい仕事」深めようと協同ネットが主催 県内自治体職員も多数参加

本紙 炭谷

 ふくい協同労働推進ネットワーク(ふくい協同ネット)は、自治労福井県本部と共催で「福井でつながろう‼ よい仕事交流集会」(よい仕事交流集会inふくい)を、10月14日、鯖江市民活動交流センターで開催。労協ワーカーズコープ・センター事業団の組合員や福井県内の自治体職員、労働者協同組合の設立を検討している人など、81人が参加しました。福井県、福井市、鯖江市が後援。(本紙 炭谷)

81人が参加。福井県内の基礎自治体からも職員が多数参加した

「わたしたちだからこそ、できることがある」

当事者団体とカフェや働く場づくりも

 福井協同ネット代表の北出順子さん(福井大学准教授)が、「自分一人の力は小さくても、みんなで協同し、得意なことを出し合えば大きな力になる。多様な実践を通じて働くことの意義を考え、新たな出会いと学びの場となれば」と開会あいさつ。

北出さん

 第1部は事例発表、「『地域で暮らす』『地域で育つ』を地域で共に支える」をモットーに活動する、越前市の「みんなの食堂」実行委員会代表の野尻富美さんは、8年前に始めたみんなの食堂から、外国籍の子どもを対象にした学習支援、児童養護施設出身者への「晴れ着で応援プロジェクト」、定時制高校生におにぎりを届ける「おにぎり食堂」などの活動の広がりを紹介。

4人が事例発表。
野尻さん
吉村さん
林さん
上坂さん

 今年、みんなの食堂に来ていた子どもたちの中から逮捕者が出たことにも触れ、「弁護士を通じて『野尻さんに会いたい』という子と留置所で面会。ショックを受けたが、私たちだからこそ、できることがある。私たちが勝手に掴んだその子の手を、相手が握り返してくれるまで活動を続けていく」と話しました。

 福井市で児童クラブ14カ所を受託運営する、労協ワーカーズコープ・センター事業団福井事業所の吉村純恵さんは、自前の学習支援活動「もりっこ」について。

 「卒所後の子どもたちが集える場所をつくり、会話や相談で隠れた問題を見つけていきたいと開始。この場所を居場所として毎回心待ちにしてくれていることが嬉しい。今後も子どもたちが抱えている悩みや苦しみがあれば傾聴し、解決できる環境づくりをしていきたい」

 摂食障害当事者の自助グループ「ゆっくり」代表の林美紀さんは、福井事業所の貸スペースで行っている居場所活動「めぐるカフェ」について、「摂食障害当事者など、生きづらさを抱える人、孤独になりがちな人が安心して過ごせる居場所として運営。ペイフォワード(恩送り。誰かのためにドリンク1杯分を支払う仕組み)を採用し、7月には軽食やお菓子の販売なども開始。生きづらさを抱えた人が、自分のペースで働ける場にできたら」と抱負を語りました。

それぞれの活動紹介するブースや展示も

 第2部は、社会的養育総合支援センター一陽統括所長の橋本達昌さんをコーディネーターに、よい仕事を考えるシンポジウム。

 福井市のコミュニティスペースALLB(オールビー)代表の木田直秀さん、福井県民生協常勤理事の中川政弘さん、福井市役所福祉相談室「よりそい」地域づくりコーディネーターの今坂雄一郎さん、越前市社会福祉協議会地域福祉部課長の大塚陽子さんがそれぞれの実践を紹介し、よい仕事とはを深めました。

 会場には協同ネット加盟団体やつながりのある団体のブースや展示が並べられ、活動をアピール。ワーカーズコープのブースではコーヒー、クッキーの販売や、労協うえだが栽培するソルガム入りのスープが振る舞われ、相談コーナーでは労働者協同組合の立ち上げを考えている人が熱心に質問や相談する姿も見られました。

ふくい協同ネット加盟団体やつながりのある団体がブースや展示を出展
ワーカーズコープのブースでは、ソルガムやいぶりがっこの試食コーナーも
つくろお日さまの杜(就Bなど)の皆さん。労協法人で放課後等デイサービスの設立を検討中


 センター事業団の田中羊子特別相談役が「福井でも、労働者協同組合の立ち上げを検討する人が増えている。協同労働をさらに多くの人たちに知らせていこう」としめくくりました。

「地域に開かれた集会を」と

 ふくい協同ネットは、福井県民生協、JA中央会、越前自立支援協会一陽、福井県地方自治研究センター、ワーカーズコープ・センター事業団福井事業所などで構成。

 2017年に福井で開いた協同集会の実行委員を中心に、翌年11月に準備会を結成。労協法の周知セミナーや学習会を開催してきました。

 今年度から始まる厚生労働省の「労働者協同組合活用促進モデル事業」の実施地域5県に福井県も選ばれたことから、県や県内自治体、県民生協、北陸労金などで構成する「ふくい協同労働促進協議会」に協同ネットも参加することに。今年8月、正式に発足しました。

「来年もぜひ開催したい」

 今回のよい仕事集会は、ふくい協同ネットの立ち上げを支援してきた、ワーカーズコープ連合会の田嶋康利専務理事の提案から。「地域によい仕事を発信したい。協同ネットで地域に開かれたよい仕事集会を開催しよう」。2月のことです。

 福井事業所と福井県地方自治研センターが中心となって準備を進めてきました。

 田嶋専務理事は、「『よい仕事』の価値を地域に発信することで、地域づくりに関わる新たな段階の協同ネットが展望できた」。

 ふくい協同ネットのメンバーで自治労福井県本部執行役員の橋本和久さんは、「『労協』『協同労働』というキーワードが広がることで、地域につながりが生まれると期待している。来年もぜひ開催したい」と話しています。

シンポジウムの発言から

フラットな関係に惹かれ「労協」設立準備中

コミュニティスペースALLB(オールビー)代表・木田直秀さん

 ALLBは、福井市足羽地区にある、生活と人生、学びを結びつけた居場所。私は長年、埼玉県で児童福祉に携わってきたが、4年前に福井市で「二地域居住等促進事業補助金」を受け、仲間と共に改修した古い建物をでオープン。その後、教育や福祉に関する学習会や展示企画、人が集まるイベントなどを開催してきた。

 「何かしたい」と思った人が、フラットな関係のもとで自分のやりたいことが実現できる、そんな法人格を模索していたところ、労働者協同組合法の成立を知り、この法律を活用して協同組合の設立を考えるようになった。

 現在、ワーカーズコープが開催するセミナーや学習会に参加しながら、この仕組みについて学んでいる。

立ち上げ考えている退職者を応援していく

福井県民生協常勤理事・中川政弘さん、

 県民生協は、「組合員の幸せと地域社会のために」を理念とし、福井県内30万世帯中17万世帯が加盟し、組合員のほとんどが女性。

 生協と関係がある労働者協同組合は全国で約20団体以上。生協の店舗運営を担っている事例もある。

 県民生協の組合員も30年前は子育て世代だった人たちが高齢化し、定年で退職する職員が増える中で、生協を卒業しても地域社会に貢献するために何ができるか―「自分がやりたいこと」「みんなで協同してやりたいこと」を実現する方法として、労働者協同組合に期待している。労協の立ち上げを考えている組合員や退職者をしっかり応援していきたい。

「大変だけど楽しい」が大事なキーワード

福井市役所福祉総合相談室「よりそい」地域づくりコーディネーター・今坂雄一郎さん

 福祉総合相談室で包括的相談支援、参加支援、地域づくり(居場所づくり)を行っている。

 福井市内に公民館は48あるが、街も里も山もあり地域課題もさまざま。居場所づくりでは、一つひとつ伴走しながら、そこの住民が必要とすること、自分たちでやりたいことを大切に支援している。

 中には「自分たちで考えると大変だけど楽しい」という人がいるが、非常に大事なキーワードであり、協同労働の本質に近いのでは。やらされるのではなく、大変だけど楽しいという感覚が、地域づくりには必要だと思う。

多様な居場所から、幸せ実感できる地域を

越前市社会福祉協議会地域福祉部課長・大塚陽子さん

 越前市社協では、自閉症・発達障害の子どもを持つ親の会、不登校児を持つ親の会、子どもカフェ、おむすび亭の4つの居場所を運営している。

 おむすび亭のスタートは昨年11月。介護支援センターにあるデイサービス終了後の夕方に、毎月1回開催。社協職員はもちろん、近所に暮らす人や民生委員、他の居場所活動に参加している人も集い、世代や障害の有無に関係なく、誰もが参加できるごちゃ混ぜの居場所になっている。

 開始当初は、自分で結んだおむすびを食べながら自由に過ごせる場をイメージしていたが、8月の会では、皆勤賞で参加している不登校状態の中学3年生の男子がこだわりのカレーを振る舞い大好評。回を重ねるごとに、ホッとできる居場所から、参加者のやってみたいことをできるという自己実現の場に進化していると感じている。

 それぞれの人には置かれた状況や生活の苦しさはあるかもしれないが、社協職員も地域住民の一員として、地域の人たちと一緒に、 幸せを実感できる地域コミュニティを一緒につくっていく。