福井 労協「りたねっと」設立 「利他」の精神で「お互い様」の関係を 傾聴で高齢者の強み引き出し コミュニティの活性化を目指す

ワーカーズコープ連合会常勤顧問 青竹 豊

 10月11日、福井市内のワーカーズコープ・センター事業団福井事業所で、労働者協同組合「りたねっと」の設立総会が開かれました。発起人、組合員予定者、関係者、県労働組合担当課職員、ワーカーズコープ・センター事業団の組合員などが出席しました。福井県で第1号の労働者協同組合です。(ワーカーズコープ連合会常勤顧問 青竹 豊)

りたねっと設立メンバーの皆さん。左から三田村さん、代表理事の下島さん、林やよいさん、西口哲明さん

 「りたねっと」は高齢者の声に耳を傾ける傾聴活動や、地域コミュニティの活性化を目指そうと設立された労働者協同組合です。

 総会では定款や事業計画書、収支予算などの全議案が承認され、総会後の第1回理事会で代表理事に下島礼子さんを選任。監事には福井事業所副所長の杉本美佐子さん他、計2人が就任しました。

地域活性化の企画書に労協設立盛り込む

 りたねっとの名称は、同じ志を持つ住民、専門職、行政職員が協同しながら、「利他」の精神を基盤に、地域でお互い様の関係を育もうという願いを込めたもの。

 組合員は5人。普段は福祉に関わる仕事や地域で認知症カフェ、傾聴ボランティアなどを行っている人たちで、代表理事の下島さんはケアマネジャーです。

 2017年に中心メンバーが出会い、情報交換をしたり一緒に地域活動に参加したりしながら活動を続けてきましたが、一方で、「本当に利用者に寄り添ったケアをしているのだろうか」という問題意識を持っていたそうです。

 そんな中で下島さんたちは今年、「福井県わくわくチャレンジプランコンテスト」に挑戦することを決意します。

 このコンテストは、地域の課題解決や活性化につながる活動を通して、福井を盛り上げるプランを募集するというもの。採択されれば県から支援金が交付されます。

 下島さんたちは、傾聴を柱にした活動や、傾聴によって引き出した高齢者の強みを、地域の活性化につなげる企画案を提案。見事採択されました。8月のことです。

福井事業所の伴走支援も受け

 また、企画案には、労働者協同組合を設立し、活動することも盛り込んでいました。

 採択を受けて、福井事業所の森本紀美子所長や福井エリアマネージャーの清水武徳事務局長らの支援を受けながら、急ピッチで設立準備が始まります。

 実は森本所長と、りたねっと発起人の一人で「NPO法人まちかど保健室you」代表の三田村純枝さんは、以前行った地域の団体訪問で知り合いました。

 「所長になって地域で何をすればよいのか分からずにいた時、三田村さんを訪問。まちづくり講座を開こうとした際、地域との関係づくりに悩んでいた時などずいぶん励まされた」と森本所長。

 メンバーに向けた説明会や県主催の労協セミナーを案内する中で、労働者協同組合について少しずつ理解が進み、これまで任意団体で行っていた活動を、法人として本格的に展開することにしました。

 りたねっとは、来年1月からの事業開始を予定。下島さんは、「一人ひとりの尊厳のために、『一人ひとりの気持ち』『一人ひとりのつながり』を大切にしたい」と、熱い思いを語っています。

周知セミナーが功を奏し、設立機運高まる

 福井事業所は、厚労省「労協活用促進モデル事業」の県協議会事務局を担当し、ふくい協同労働推進ネットワーク(福井協同ネット)と一緒に、県や自治体の活動助成を活用しながら、県内各地で労働者協同組合設立に関する学習会や周知セミナーなども実施。

 福井県では、りたねっと以外にも労協設立の動きがいくつか出てきており、個人や団体への伴走支援も行っています。

 福井での労協設立の動きは、これまでの福井事業所やふくい協同ネットの取り組みが浸透してきた表れといえるでしょう。