鹿児島協同ネット主催 「平和学習会」 戦時下でも司法から声上げた人に学ぶ
鹿児島協同労働推進ネットワーク(鹿児島協同ネット)は、平和学習会「『気骨の判決』と『三淵喜子と家庭裁判所物語』に学ぶ司法の歴史と平和への課題」を、4月5日、鹿児島市・市町村自治会館で開催。10〜80代までの249人が参加しました。戦時下の司法の在り方に光を当て、現代の平和活動とのつながりを考える場となりました。(労協ワーカーズコープ・センター事業団国分地域福祉事業所ほのぼの所長 五十嵐秀久)

軍事基地の建設、整備が進む中で
現在、日本では南西諸島を中心に、軍事基地の建設や整備が急速に進められています。この学習会は、こうした現状を踏まえ、戦時中にも違法な戦争準備に抗い、司法の立場から声を上げた人々の闘いに学び、いま再び私たちが何を問われているのかを考える機会にしようと、企画・準備したものです。
第一部では、「気骨の判決に学ぶ ―平和への取り組み―」と題しNHK解説委員の清永聡(きよながさとし)さん(NHK連続テレビ小説「「虎に翼」のモデルになった「家庭裁判所物語」の著者)が講演。戦時中に信念を貫いた2人の司法関係者に焦点を当てました。

まず、日本初の女性弁護士の一人で、戦後には判事としても活躍した三淵嘉子氏について触れました。
三淵氏は戦後、家庭裁判所や、戦災孤児や保護者を持たない子どもたちを支援する「少年友の会」設立に尽力。女性や子どもたちの人権擁護に生涯をかけた法律家として知られ、「虎に翼」で、再び注目を集めました。
次に紹介されたのは、1942年の衆議院選挙において選挙無効の判決を下した大審院判事・吉田久氏です。
吉田氏は、戦時体制下で行われた翼賛選挙において、政府の圧力に屈することなく鹿児島に入り、200人以上の証人尋問を実施。警察による候補者への組織的妨害を認定し、選挙無効とする判決を下した人物です。
清永さんは「法と良心に従った判断であり、司法の独立を象徴する画期的な事例」と強調しました。
平和を紡ぐリレートークも
第二部は、「平和を紡ぐリレートーク」と題し、6人が発言。
鹿児島県近代民衆史研究会の久米雅章さんは、42年の衆議院選挙に無所属で立候補し、政府の弾圧に直面した冨吉栄二氏の功績を振り返り、「冨吉氏の信念と行動は、戦時下においても市民の声を守ろうとした貴重な記録」と述べ、弁護士の村上耕次郎さんは、馬毛島で進む米軍施設建設に反対する住民訴訟の現状を報告。「南西諸島が軍事拠点化される中で、平和の視点が失われてはならない」と力を込めました。
このほか、グリーンコープかごしまの小薗豪専務、鹿児島労福協の下町和三理事長、労働者協同組合かごしまの米永敦子代表理事、センター事業団九州沖縄事業本部の岡元ルミ子副本部長が、地域に根ざした平和と協同の実践を紹介しました。
実行委員長の山本伸司さん(鹿児島協同ネット運営委員)が、「戦時下においても信念を貫いた人々の姿勢を知り、私たちも地域からできる平和の取り組みを続けていこう」とまとめました。
参加者アンケートには132人が回答。協同ネットに関心がある22人、協同集会に参加したい21人、一度話を聞いてみたい38人と、それぞれ声が寄せられました。
9月には地域版協同集会開催
鹿児島協同ネットは昨年4月に設立。鹿児島県労働者福祉協議会、生協コープかごしま、グリーンコープかごしま生協、社会福祉法人麦の芽福祉会、センター事業団九州沖縄事業本部の団体会員と、神田嘉延鹿児島大学名誉教授や山本伸司パルシステム連合会元理事長、野村和人霧島市議をはじめ、約20人の個人会員で構成。
9月28日に鹿児島で地域版の協同集会を開催する予定です。