第2回記念シンポジウム「協同組合とディーセントワーク」 ILO駐日事務所代表と認定NPO抱樸理事長が期待込めて語る
国際協同組合年(IYC2025)記念として日本協同組合連携機構(JCA)が事務局を務める実行委員会が取り組んでいる連続シンポジウムの第2回「協同組合とディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」が5月15日に家の光会館(東京都新宿区)で開催され、会場60人、オンライン155人が参加しました。(本紙 福本)
2つの価値の両立を
国際労働機関駐日事務所代表
高崎真一さん
ILOの使命は社会正義の実現。ビジネスの世界で、ディーセントワークをツールに、人権尊重の確立を目指しているが、利益を求めるビジネスと人権尊重の相性は悪い。2013年にバングラデシュで起きた大きな労働災害が象徴的だ。
国や自治体、投資家、消費者がそれぞれの立場から圧力をかける取り組みも少しずつ進んでいるが、そうした圧力を理由にするのではない、もっと積極的な姿勢の取り組みが望ましい。
CSV(Creating Shared Value=社会的価値と経済的価値の両立)が重要で、協同組合への期待は大きい。助け合いが旨の協同組合はCSVそのものだからで、ビジネス界に対する“道しるべ”になれる唯一の存在だ。
IYC2025を焦点に、企業に社会的課題の解決を意識させる広報宣伝活動に力を入れてほしい。
「助けて」言える社会に
認定NPO抱樸理事長
奥田知志さん
今日もどこかで子どもが自殺している。「人に迷惑はかけられない」「自己責任」という風潮が強いから、誰にも相談しないで。
ディーセント=人間らしいとは「助けて」と言えること。大きくなれ、強くなれと日本は言ってきたが、人は本来、弱い存在。だから群れて生き延びた。
「社会復帰」という言葉もあるが、本当に復帰したい社会か? それを問うべきだ。
抱樸では、「助けて」と言うこと、言われることを当たり前にしようと、まちを“大きな家族”と見立てたプロジェクトの準備に取り組んでおり、「互助会」(会員270人)はその一つ。月500円で誰でも加入でき、誰かが亡くなった場合、“なんちゃって家族”をつくって看(み)取りや葬儀などを執り行う。本当は赤の他人だが、昨年の「偲ぶ会」には230人が参加。互助会ができて単身高齢者の入居を拒む不動産業者も周辺にいなくなった。
相続の社会化も目指している。「子ども家族まるごとプロジェクト」を通じた訪問型学習支援を行っており、困窮を背景に、子どもが警察沙汰になることが度々だった家庭にスタッフが腰を据えて支援を続けた。8年後に就職が決まったその子がお祝いに求めてきたのは、お金ではなく「炊飯器」。自炊の意識の芽生えに驚いた。子どもは地域で育てられるし、家族でなくても相続できる。
3つの協同組合が取り組みを紹介
一般社団法人市民連帯経済つながるかながわ理事(ワーカーズ・コレクティブ・キャリー前理事長)
落合純子さん
地域に暮らす人が生活者の視点で、地域に必要なものやサービスを非営利で賄うのがワーカーズ・コレクティブ。キャリーは23年に労働者協同組合に組織変更した。
生協の組合員の他に、地域の人たちが有償ボランティアで働いている。きっかけは、子どもの預け場所がないという組合員の声をもとに、9つの配送センターに未就学児の無料託児所を設置したこと。組合員が配送に出ている間、地域の人が子どもの面倒を見てくれている。
労協ワーカーズコープ・センター事業団札幌中央事業所まちなかキッズサロンおおどりんこ
三宅皓(ひかる)さん
子育てサロンは、0歳〜3歳までの未就学児とその保護者が自由に集える場所。おおどりんこでの交流が育児の悩みを軽減し、心にゆとりを持って子育てしてくれればとの思いで運営している。
北海道労働金庫地域共生推進室室長
槙田恵治(のりはる)さん
労働金庫は現在、全国に13ある。今年2月、5年にわたって互いの信頼を深めてきたセンター事業団北海道事業本部と「相互連携協定」を締結した。
雪が降るまでの間に全道16の事業所を回って、今後の取り組みにつなげていきたい。
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