WCながの受託 長野・小谷村 地域活動支援センター開所 「集い 仲間になり お互いを支え合う そんな力育む場所」

本紙 炭谷

 6月から長野県小谷(おたり)村で事業を開始した「小谷村地域活動支援センター」(事業受託:労働者協同組合ワーカーズコープながの(WCながの))の開所式が、6月12日、同センターが入る村の複合拠点施設「おたりつぐら」で開かれ、中村義明村長や竹内浩平副村長をはじめ、利用者や地域の障害福祉関係者など25人が参加。新たな門出を祝いました。(本紙 炭谷)

和やかな雰囲気の中で行われた開所式には25人が参加。前列右から2人目が田中さん

豪雪・過疎の村に障害者の居場所を 

 地域活動支援センター(地活センター)は、創作活動や生産活動、地域交流などを通じて、障害のある人や、生きづらさを抱え支援が必要と認められた人の日中活動をサポートする施設です。

 開所式では、中村村長が、「今日の日を迎えることができ、とても感動している。以前、村でも豪雪や過疎化で生活環境が厳しいこの地域で、障害のある人たちの居場所をつくりたいという思いで取り組んだこともあったが、一度は途切れてしまった。しかし今回、WCながのの協力を得て実現することができた。障害のある人たちが社会とつながり、地域の一員として参加できる、そんな施設に育てていきたい」。

中村村長


 WCながのの鈴木友子代表理事は、「組合員2人が集落支援員として村に入って4年目。おたりつぐらを拠点に、農福連携や地域食堂などを行いながら、地活センター立ち上げの準備を進めてきた。皆さんとともに、この施設を地域に根づかせていきたい」と決意を述べ、今後の協力を呼びかけました。

鈴木代表理事
鈴木代表理事


 村議会の宮澤正廣議長も駆け付け、「地活センターが小谷村に新たな風を吹き込んでくれることを期待している。議会としても、障害のある人たちの声に耳を傾けながら、誰もが暮らしやすい村づくりを進めていきたい」とエールを送りましました。

 利用者を代表して重田寛美さんが「期待のことば」を。

 以前、介護職として働いていた村民の木本圭子さんと原佳代子さんは、地活センターの活動に共感して職員に。それぞれが抱負を語り、村の集落支援員でWCながの小谷村仕事おこし準備室の田中毅(つよし)さんが活動計画を紹介。

 

地活センタースタッフの原さん(上)と木本さん


 最後に利用者による、「連帯・協同」をテーマにしたメッセージソング「一人の手」の合唱が披露され、竹内副村長がまとめました

「一人の手」の合唱も

農福連携、地域食堂… つながり広げながら

 小谷村は新潟との県境にある長野県北西部の村。人口2600人で豪雪地帯としても知られています。

 地活センターが入るおたりつぐらは、村民が安心して暮らせる地域づくりの拠点として、2021年に村がオープンした施設。多目的スペースや一時保育所、公衆浴場などの他に、2階に宿泊設備やコワーキングスペースなども整えられています。

 WCながのは、自治体行動をきっかけに、22年4月から組合員の田中さんと上條稔典さんが村の集落支援員となり、施設運営に携わりながら地域づくりフォーラムの開催や、農福連携、地域食堂「誰でも食堂」などに取り組み、仕事おこしの可能性を模索してきました。

 特に農福連携では、農家や集落営農組織と連携し、なす、小谷こしょう(青唐辛子)、大根など、村の伝統食「小谷漬」の原料野菜を育てながら、地域で障害福祉に関わる人たちや団体、その利用者たちとのつながりを築いてきました。

 こうした活動を通じて田中さんたちは、「生きづらさや障害があっても、安心できる居場所や、楽しさ・やりがいを感じられる活動があれば、人は元気になれる。地活センターならその思いを形にできるし、おたりつぐらを有効に活用できる」と考え、地活センターの設置を村に提案。

地活センターが入る、おたりつぐら

 村も趣旨を理解し、「まずは実証活動で実績を積んでみては」と助言。これを受けて、昨年5月から実証活動を開始し、その実績をふまえ、村は3月の村議会で地活センターの設置とWCながのに事業を委託することを承認しました。

嬉しいこと、大変なこと、すべてにワクワク

 現在、地活センターには、村内で活動する信州共働学舎や精神保健福祉サポーターの会「カモミール」などから紹介を受けた30代以上の利用者8人が通っています。

 運営は、これらの団体や村の住民福祉課などと連携して行われ、利用者は、調理やお菓子づくり、手工芸といった「創作的活動」や農福連携などの「生産的活動」をはじめ、地域との交流活動にも取り組んでいます。

 開所式に参加した、信州共働学舎の宮嶋実佐紀さんは「村の中でバラバラに暮らしていた弱い立場の人たちが、ここに集まり、安心して仲間になりお互いに支え合う。そんな、人と人との力を育む場所になるのでは」と期待しています。

 田中さんは「居場所づくりに熱い思いを抱いてきた小谷村民の2人が、意を決して仲間になってくれたのが何より嬉しかった。利用者やサポーター、応援してくれる人たち、役場・議会の皆さんの思いと力が重なって、今日の開所式を迎えることができた。これから起こるであろう嬉しいことも大変なことも、すべてにワクワクしている」と語っています。

人生やり直し 学び直す場 利用者 重田寛美さん

 私は開所に先立って行われていた、地活センターの実証活動に参加しました。この1年、良いことも苦しいことも山のようにあり、何度も心が折れそうになりながらも、支えられ、立ち直り、また挑戦を繰り返してきました。

 実証活動での読書会では、心の深い傷が少しずつ癒えていくのを実感できたことが、私にとって大きな宝物です。

 私は幼い頃、家庭や学校など、どこにいても素直に喜怒哀楽を表現できず、子どもらしい時間を過ごすことができませんでした。

 だからこそ、この居場所は、私にとって人生をやり直す場であり、失った子ども心を取り戻し、経験できなかったことを学び直す場所だと感じています。

 目に見えない心の苦しさは理解されにくく、見過ごされがちです。その結果、抱え込んでしまい、問題行動や人間関係のトラブルにつながることも少なくありません。

 そんな中、この村には、心の奥深くにある痛みに、一緒に向き合おうとしてくれる人たちがいます。彼らに支えられていることに心から感謝しています。

 これからもこの居場所が、多くの方にとって安心できる場となり、心の重みを少しでも軽くできる場所になるよう、共に歩んでいきたいと思います。