埼玉 センター事業団 北本西部地福「くじら雲」 利用者が作った「まき」、ホームセンター店頭に 売り場で“まき割り実演”、見に来てと声かけも
埼玉県北本市の労協ワーカーズコープ・センター事業団北本西部地域福祉事業所くじら雲(生活介護、就労継続支援B型事業所)の利用者(メンバーさん)が、地元の木材で作った「まき」の販売が、市内のホームセンターで7月中旬から始まりました(4月25日号既報)。8月3日には、まき割りの実演イベントが店内で開かれ、「安い。これからはここで買うことにする」とたくさん購入してくれた人もいました。(本紙 福本)
クラファンで資金を調達
この話のきっかけは、北本市で生まれ育ち、愛着のある地元を何とか元気にしたいと、仲間数人で合同会社「暮らしの編集室」を立ち上げ、北本市観光協会職員でもある岡野高志さんがつくりました。岡野さんは、くじら雲の農園作業の取材で鹿谷英治所長に会い、労働者協同組合の考えに触れて「この人たちとなら何かできるかも」と共感。
地元で顔の広い岡野さんが、くじら雲のメンバーさんたちのやりがいや工賃向上策を考え、以前からつながりのある、市の指定管理者として公園のクヌギやコナラなどの伐木も行っている矢口造園㈱やカインズ北本店とつなぎました。
さらに、北本市による市民や市内事業者を対象にした「ふるさと納税型クラウドファンディング」を鹿谷さんに紹介。鹿谷さんたちはそのプロポーザルに挑んだ結果、合格。目標額200万円を上回る243万1000円が集まり、電動まき割り機や、割ったまきを保管するコンテナ、ウェブサイトのデザイン料などに充てました。
“実演”提案に「やりたい! やりたい!」
6月下旬から7月中旬にかけて行った見積もりなどの最終確認作業を経てようやく本契約にこぎ着け、18日㈮からくじら雲のまきが店頭に並びました。
さらに「せっかくだから、まき割りの実演をしたり、利用者が売り子さんになってみては?」と店から提案を受けるとメンバーさんたちも「やりたい! やりたい!」と目を輝かせてこの日を待っていました。
イベントは、10時から12時までと、13時から15時までの2回。くじら雲の中心的な利用者16人中5人と、その家族や支援員など全部で12人が、背中に「くじら雲」の文字が入ったグリーンのベストを着て店頭に。

ところが、いざ実演を始めても、立ち寄る人は少数。店の端にある「資材コーナー」に売場を置いたためと思われ、鈴木貴志店長は「実演が終わったらキャンプ用品売り場に移そう。その方がよりお客さんの目に触れるはず。地域の資源を地域で循環させる“地産地消”の取り組みの輪に入れてもらえてとてもうれしい」。

また、メンバーさんの中には、多くの人に見てもらいたいと、商品を紹介するプラカードを手に積極的に店内を歩く人も。「向こうで(まき割りの)実演やってまーす。見に来てくださーい」と、買い物中のお客さんに声を掛けたり、レジを終えた人が袋詰めする台のそばで待ち構え、一人ひとりに見学を促したりと一生懸命でした。

子ども連れ家族とメンバーさんが笑顔で会話
くじら雲のまきは、マチの広いMサイズバッグすり切れ一杯詰め込んで980円(約8㎏。先着100人は袋代無料)。ベトナム産(5㎏500~600円)より割安で、材料のクヌギやコナラは落葉広葉樹。針葉樹ものが混じる海外産より火持ちが良く、「分かっている人は必ずこっちを選ぶ」と岡野さんも太鼓判を押します。
そうこうするうち、幼稚園児くらいの子どもを連れた家族が売場に。「キャンプに持って行こう!」と無邪気に声を上げた子どもとお父さんが袋一杯に詰め、メンバーさんともたくさん言葉を交わしました。その様子を見ていたカインズくみまち推進統括部の高市なつみさんは、「ご家族もメンバーさんも笑顔だったのがとても印象的だった」と話していました。

実演を終え、利用者の一人に感想を尋ねると、腕を組み、真剣な眼差しで遠くを見つめながら「完璧だ!」と一言。その後すぐにこっちを向いてニコっと破顔し、「お疲れさまー」と気分良さげに手を振りながら去っていきました。
