旬報社が「協同労働がつくる新しい社会」発刊記念シンポジウム 心に生き続ける永戸さん、もっと話したかった 何を学び 未来拓くのか

本紙 福本


 7月16日に急逝した元日本社会連帯機構代表理事の永戸祐三さんが遺した著書「協同労働がつくる新しい社会」を出版した株式会社旬報社は、この本から何を学び、未来を拓くのかをテーマにしたシンポジウムを、9月12日に東京・神田の連合会館で開催。約100人が参加し、時代ごとに永戸さんと伴走してきた人たちが思いを語りました。(本紙 福本)


会場を埋めた参加者たち


 旬報社の木内洋育(ひろやす)代表取締役社長が書籍発刊の経緯を紹介し、労協ワーカーズコープ・センター事業団理事長 藤田徹さんと労協新聞 前編集長松澤常夫さんが司会を務めました。

“ボローニャ”のこと語り合いたかった

東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長

汐見稔幸さん



 全学連(全日本学生自治会総連合)で永戸に出会い、一番気が合った。

 永戸が弁護士になりたかったことを本で知ったが、彼が弁護士だったら面白い世の中になっていたかもしれない。

 永戸がやりたかったのは、憲法第一条で協同組合の設立を推奨しているイタリアのようなまちづくりではなかったか。第二次世界大戦でファシズムに抗ったレジスタンス運動の拠点「ボローニャ」という町のことについて、永戸とじっくり話したかった。

出会って一晩中酒飲み一緒にやろうとなった

興和ビルメンテ株式会社元社長

池山吉之助さん



 長兄は全日自労。どぶ掃除をしていた。永戸くんと出会い一晩中酒を飲み、一緒にやろうとなった。よくやってきたなと思うが、もっと価値を伝えねば。

請負主義克服をいつも言われた

センター特別相談役

田中羊子さん

 「事務局は請負主義を克服しろ」といつも言われた。仲間に嫌がられるんじゃないか、嫌われるんじゃないかと必要なことを言わずに肩代わりしており、それが組合員の主体性を奪うと。苦しいことも嬉しいことも組合員自身がやるのだと徹底して言われた。その通りやると、組合員は想像を裏切って立ち上がるし、意気に感じてくれる。組合員と自分が何も変わらないとわかり、人を、組合員を信じられるようになった。

本は永戸さんの遺言で、私たちへのエール

日本社会連帯機構代表理事 

山本幸司さん



 労働者協同組合の前史が終わり正史が始まる今、本は永戸さんの遺言で、私たちへのエールだ。

1回会っただけなのに意気投合

評論家

佐高信さん

 私のYoutube番組に登場してくれた縁で今日がある。たった1回しか会っていないのに意気投合した。

 本の中で「経営は怖い」と書かれているが、内なる部分に怖れを潜めているところが、意気投合した理由かもしれない。

 私は「自前」という言葉が好きで、永戸さんとは、この「自前」について話してみたかった。

会場からも数々の発言が

 東京外国語大学名誉教授で社連副理事長の西谷修さんは、「働くことは本来みんなでやるものだが、近代の経済産業社会では、雇われなければ労働じゃない。自分たちで仕事をつくって従事することで、その構造を壊そうとする労働者協同組合、協同労働運動は、社会を根元から変えるほど革命的なこと」。

 同じく社連副理事長で一般社団法人しんきん成年後見サポート理事長の吉原毅さんは、「東日本大震災で福島の原発が爆発して以来の付き合い。たくさんのことを教えてもらった」と振り返りました。

 東京中央事業本部事務局長の神戸川歩さんは、「永戸さんのお姉さんの子どもが障害をもって生まれた時の話が印象に残った。障害を“生きようとした証”と捉える視点が衝撃的で、大きな気づきだった」。 

 専務理事補佐の玉木信博さんは、「初めて会う人なのに20年来の友のように仲間になってしまう永戸さん。本当に仲間づくりの天才だった」と話しました。

 息子の亮さんと妻の百代さんが参加者にお礼の言葉を送った後、ワーカーズコープ連合会理事長の古村伸宏さんが、「人間臭くて万能じゃないけど、その中に宿る魅力をみんなが感じたからこそ今日もこうやって集まってくれたと思う。自由で自発的な生き方をしている人を見るといつもニコニコしている人だった。もう、直接会うことはできないが、自分の中で生き続ける永戸さんといろいろ対話していきたい」と述べて締めくくりました。