日本社会連帯機構 第2回「シニア・コミュニティワーカーズ フォーラム」 地域変える希望、若い世代とシニアの知恵活かして 地域の課題解決、楽しく働き健康寿命延伸

本紙 炭谷


 一般社団法人日本社会連帯機構は、「第2回シニア・コミュニティワーカーズコープ設立に向けたフォーラム」を、9月15日(敬老の日)に東京池袋のワーカーズコープ連合会本部とオンラインで開催。会場43人、オンラインに113アクセスがありました。(本紙 炭谷)

 山本幸司理事長が、「労働者協同組合、協同労働は、社会に連帯を取り戻し、人と人とが支え合う土台となるもの。今日紹介される事例と交流を通じて、その可能性を確かめ合い、誰もが安心して働き続けられる社会に向かおう」と開会あいさつ。

山本理事長


 藤田徹副理事長が基調提起。「労働者協同組合法も施行から3年。この間160を超える法人が立ち上がったが、シニアが中心になって地域課題の解決に取り組む団体も増えている」と強調し、社連機構の方針として、①各地での設立講座の開催、②生活援助従事者研修などを活用した、生活支援ワーカーズの立ち上げ、③既存のワーカーズコープやみんなのおうち運動と連動したシニアによるしごとおこしの推進などを挙げ、「衰退する地域社会を、シニアの力で新しい共同体へとつくり変えていこう」と呼びかけました。

 認定NPO法人コミュニティサポートセンター神戸(CS神戸)の中村順子理事長が「シニア&コミュニティワーカーズコープの可能性と作り方」と題して記念講演。

CS神戸の中村理事長が記念講演

 

 CS神戸設立の背景や、3年前から取り組んでいる講座「協同労働ミニワーカーズ実践塾」を紹介し、シニア・コミュニティワーカーズへの期待を語りました。

設立進め、来年は団体交流の場に

人生100年時代に相応しい新しい働き方

 集会テーマを深めるパネルディスカッションでは、東白川村労働者協同組合(岐阜県)の福田康弘代表理事と労働者協同組合うえだ(長野県)の北澤隆雄代表が実践を紹介。

福田さん
北澤さん


 東白川村労協は、人口2000人、高齢化率45%の村で地域おこし協力隊のメンバーを中心に設立。草刈りや高齢者見守り、有償運送事業など地域の困りごとに寄り添う活動を展開しています。

 福田代表理事は「当初8人だったメンバーは現在24人に。内9人は都市部から土日を利用して参加する『関係人口』。売上も初年度の27万円から今年は120万円を見込むまでに成長し、今秋からは空白地有償運送事業も開始する」と現況を紹介。

 「労働者協同組合は、自治会のような組織運営ができ、みんなで合意形成する点が最大の魅力。本業の傍ら、地域に貢献したいという想いが、この組織を支えている」と実感を語りました。

 労協うえだの北澤代表理事は「組合員は現在26人で、地域包括支援センターと連携した困りごと支援事業は月100万円程度の売り上げを達成。最近30代の若者が仲間になり、移動支援事業にも取り組む。人生100年時代に相応しい新しい働き方を、60代、70代の元気な高齢者とともに創りたい。労働者協同組合は、地域の担い手づくり、楽しく働ける仕事づくり、健康寿命の延伸に貢献できると思う」と話しました。

 また、9月下旬に立ち上がる労働者協同組合「あきは」発起人の一人、齋藤勝也さんもオンラインで参加。

齋藤さん


 「新潟市秋葉区で、日常生活支援や草取り、タイヤ交換などの『おせっかい』活動を通じて、地域の高齢者に寄り添うサービスを提供したい。設立時には約20人が組合員となる予定で、労協うえだの活動も参考にしている。地域の課題解決と助け合いの仕組みづくりを目指している」と抱負を語りました。

「3月までに設立のためのモデル講座を」

 報告を受け、CS神戸の中村理事長は「多くの労働者協同組合の担い手は、年金を受け取っているシニアと副業の若者と二極化。活動が本業化していないことが課題」と指摘し、「労協うえだのように地域包括支援センターと連携したり、高齢者の生活支援を担う“総合事業”と連携したりしながら、継続的に収入を得る仕組みをつくることが重要」とコメント。

 社連機構の田中羊子常務理事は「介護や子育ての現場は深刻な人手不足にある中で、シニア層や地域の仲間が立ち上がる動きをどう支えるかが問われている。私たちもシニアワーカーズ設立のためのモデル講座を3月までに行い、来年のフォーラムでは、全国で立ち上がった団体の交流の場となるよう取り組んでいきたい」と力を込めました。

 会場とオンラインで10の分散会も行い、社連機構の藤井絢子副理事長が、「今日のフォーラムで私たちは地域を変える希望を見出した。若い世代と共に、シニアの知恵と経験を活かした新たな挑戦を、全国の網の目のように紡いでいこう」とフォーラムをしめくくりました。

分散会で開催テーマを深めた

CS神戸理事長 中村さん講演

遊び心と尊厳持って利他のために働くモデルつくりたい

大震災きっかけに市民の主体的活動応援しようと

中村さん

 

 CS神戸は、1995年の阪神淡路大震災をきっかけに立ち上がった民設民営の中間支援組織。「自立と共生」を理念に、市民の主体的な活動を応援し、この30年間で約1000団体の立ち上げや運営を支援してきた。これまでは、NPO法人や一般社団法人、任意団体などを選択肢としてきたが、今はもう一つ労働者協同組合が加わった。

 私はワーカーズコープが掲げる、「雇われるのではなく、主体者として働く」「話し合いによって人が成長する」という「協同労働の協同組合の原則」に強く共感している。

 市民が自ら汗を流しながら、自分たちのまちを自分たちの手でも良くしていく ︱この主体性がどうすれば担保できるのか。こう長らく思ってきたが、この原則は、本当に人間らしい社会を作るための基本の考え方だと思っている。

 労協法施行の翌年(23年)には、労働者協同組合の立ち上げを進めようと、早速、「協同労働ミニワーカーズ実践塾」を開講。

 センター事業団の応援を得ながら広島の先行事例に学び、いきなり法人化するのではなく、小さなグループ(ミニワーカーズ)から始めて成長させていく方式を採り、当初は半年コースだった講座も昨年度からは1年コースに拡充。有料なので参加者も真剣で、立ち上げの際は「後見人」として伴走し、理念や運営面でのサポートも行っている。

人が成長し地域も豊かになる社会を

 この講座から、これまでに、高齢者施設での補助業務(労協ヘルパント)、地域活動(労協甲南げんき村)、植栽管理(労協グリーンクルー)、環境保全・観光資源の活用(摩耶山再生の会労協)を行う4つの労協が立ち上がった。

 一方で、理念の理解が不十分なまま参加した人が離脱したり、高齢者中心の活動が多く、持続性や担い手拡大が課題。また、経営面の安定やチームビルディングにも試練がある。

 神戸市(人口150万人)の高齢化率は29%。まだ働ける26万人のうち、ごく一部しか地域活動に関わっていない。

 今後は、協同労働の魅力をさらに発信しながら、多様な市民が参加できる仕組みをつくりたいと考えている。

 いきなり法人格を取らなくても、協同労働の3原則に沿って働き・活動する「ミニワーカーズ」方式で裾野を広げ、将来的に法人化する団体を増やし、公益性や地域性を明確にした活動を通じて、人が成長し地域も豊かになる社会をめざしている。

 自分らしく遊び心と、尊厳を持って、利他のために働くモデルを、みんなで一緒につくっていけないか —そんなことを日々考えている。