センター・山陰山陽 藤原京大教授講演 島根でフォーラム 労協の魅力、可能性語り合う

山陰山陽事業本部事務局次長 株本俊夫

 労働者協同組合法フォーラムin島根「地域の中に協同をはぐくみ、豊かな地域と仕事をあみだす」を、10月4日に松江市の島根県民会館で開き、議員、行政職員、労協、生協、労福協関係者など59人が参加しました。改めて県内で労働者協同組合法の周知と労協法人設立を促進しようと、労協ワーカーズコープ・センター事業団山陰山陽事業本部が開催。県と県協同組合連絡協議会、県労働者福祉協議会が後援しました。県出身で京都大学の藤原(ふじはら)辰史教授が基調講演し、登壇者らと労働者協同組合の魅力や可能性について考えました。(山陰山陽事業本部事務局次長 株本俊夫)

 冒頭、山陰山陽事業本部の高成田健本部長が開会あいさつ。

 県商工労働部平田聖路次長が、中山間地域対策の担当が長く、労協法について感慨深いものがあると話し、石橋睦郎部長のメッセージを代読。その中で県内の3つの労協(33(さんさん)、うんなん、スキマプレーヤーズ)に触れ、地域の課題解決に精力的に活動し、積極的に情報発信している姿に、労協のモデルとしての期待を寄せました。

活動の根底に「重ねる」「集る」「湧く」

 藤原教授が「地域の自然・歴史・文化から協同の仕事づくりを考える」のテーマで基調講演。

 世界中の若者たちの間で芽生え始めている新たな価値観の「重ねる」「集(たか)る」「湧く」。「重なる」は、個人が複数のアイデンティティを持ち、それぞれがバラバラでありながらも重なり合って存在することの心地よさ。「集る」は与える・集める行為よりも、そこに「自然に人が集まってくる」というように能動的。「湧く」は、発酵で微生物が呼吸し新たな価値が生まれるように、アイデアや仕事、さらにはお金でさえも、面白い場所や活動から「湧いてくる」もの。

 この3つは、労働者協同組合の活動の根底にあるとし、労協が現代の課題を解決するだけでなく、地域の魅力を「湧かせ」、持続可能な未来を創造するための新たな道筋を示すものだと示唆しました。

 続いて、藤原教授とワーカーズコープ連合会理事長古村伸宏さんが「協同と地域づくりをめぐって」哲学対話。「重ねる」「集る」「湧く」といった価値観をさらに深め、労協が課題解決と、地域の魅力開発に向かうための本質的なアプローチについて議論しました。

 古村さんは、労協の「1人1票」という仕組みが形式的な平等を意味する一方で、実際の職場関係には「デコボコ」が存在すると指摘し、「フラット」であることよりも、個々人の「デコボコ」な部分を認め、尊重し、それを補い合う関係性こそが重要だと強調。

 藤原さんからは、労協は画一的な価値観から脱却し、個人の「デコボコ」な部分を愛し、それらを活かすことで、相互にケアし合える関係性を築く社会のモデルとなり得るとの期待が聞かれました。

「壊れていく」現実から目を背けず

 トークセッションでは沖縄の栄町労働者協同組合の藤原玄明さん、竹之下賞子さんが那覇市中心部の栄町市場の一角で運営しているシェア型書店「栄町共同書店」について紹介。労協を「半身で関わる手段」として捉え、自己実現と社会貢献を両立させる新たな働き方として可能性があると述べました。

トークセッション。左から古村さん、藤原教授、竹之下さん、藤原さん

 藤原教授は歴史学研究者の視点から、「歴史をどう引き受けるか」という問いを投げかけ、建物の老朽化や地域の衰退といった「壊れていく」現実から目を背けず、それらを歴史の一部として受け入れ、未来へとつながる新たな物語を紡いでいくことが、労協の重要な役割であると指摘。

 県協同組合連絡協議会の会長代理として県森林組合連合会の佐藤隆専務が閉会あいさつしました。

 参加者からは、「藤原先生の『集る』の意味が印象的だった」「組合を運営していく考え方などの視野が広がった」「『ああなりたい』『こうしたい』の期待や夢を持った人々が自然と集まる組織が、『地域』と『労協』なのだと思った」「労協ができることに楽しみを感じた。楽しんでいるところに人が集まることを大切にしたい」などの感想がありました。

県内の労協の紹介展示も

このフォーラムはYou Tubeで視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=Nv2vN1QdYyU
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