ワーカーズコープ連合会 新しい組合増え、初の会員組織交流会議 互いを知り“横の絆”強める

本紙 福本

 ワーカーズコープ連合会は、初の「会員組織交流会議」を11月7日に連合会本部(東京・池袋)とオンラインで開催し、会場に11組織(33人)、オンラインで5組織(17人)が参加。2022年の労働者協同組合法施行以降、170を超す労協法人が立ち上がり、連合会への加盟も増える中、会員同士の関係を深めようと加盟組織代表者会議を改めました。(本紙 福本)

スクリーンに映るオンライン組と合わせ16組織(50人)が参加

5つの組織の報告ベースに

 冒頭、11月1日に亡くなった労働者協同組合ワーカーズコープちば事務局長(連合会理事)渡邉美保さんを悼み、参加者一同で黙祷を捧げました。

 古村伸宏理事長が「新しい労働者協同組合がどんどん増え、連合会に加盟してくれるのは本当に嬉しいが、会員同士が横につながり、日常的にフランクに連絡を取り合える関係を築いてほしい。そのための契機、出発点の会議になれば。横の交流を起爆剤に、それぞれの取り組みを構想したり、検証したりしていく場に」と、会議の趣旨を紹介しながらあいさつ。

 中野理専務理事補佐は、正会員22、準会員26など組織拡大の進捗状況を話し、連合会の4つの機能(代表・ネットワーク・支援・開発)別に、上半期の活動内容を報告。

 経済産業省が地域協同プラットフォーム構想で協同労働を位置付けたことや、厚生労働省の関連施策も順調に進んでいることを指摘し、6月13日に閣議決定された「地方創生2・0基本構想」も労協に期待を寄せていることなどを伝えました。

 松垣芳伸事務局長が、新しい会議の進め方(会員組織による上半期の取り組みと下半期に向けた課題の報告をもとに、グループごと、質問や意見を書き出す)を説明し、5つの組織からの報告へ。

編集中心に企画・制作事業

 ★労働者協同組合HATO文化編集部(代表理事の吉原美穂さん、米田朋代さん、草刈朋子さんの編集者3人と、監事の木原進さん)…24年11月に設立。「編集」を中心に企画・制作・PRなどが主な仕事。法人化した後、歴史ある船員の労働組合「全日本海員組合」本部(東京 ・六本木)の大改修に伴う展示室と図書室の企画制作や図書の選書を行った。

左から吉原さん、米田さん、草刈さん、木原さん

 「原爆の図」で有名な丸木美術館(埼玉・東松山)の改修プロジェクトに関わるリーフレットやチラシの制作、SNSを使ったPR活動も。

 NPO法人「子育て支援グループamigo」(東京・世田谷)のフリーマガジンの制作や、各種イベントの企画・制作も含め、1期目に請け負った仕事は2期目も続けて受託することができた。

 連合会に加盟したのを機に労協のガイドブックやパンフレットの作成も。「子どものための協同労働の本」を作ることができればと考えている。

 2期目は、自分たちから発信する形の出版物や印刷物の制作など、自主事業の立ち上げが課題。

来年4月に“50周年”式典開催

 ★労働者協同組合無茶々園の森(代表の大津清次さんと高瀬英明さん)…農家が集まる「農事組合法人」、販売を一手に担う「株式会社無茶々園」、若いメンバーが担う「直営農場」、福祉事業所「百笑一輝」、協同労働をグループ内に広め、定年退職者を巻き込みながら地域で必要な仕事をつくっていく「無茶々園の森」(組合員31人)の5つで無茶々園グループ。海外実習生の受入れ機関を合わせ法人格は6つ。

大津さん
高瀬さん

 来年4月16日には「50周年記念」を催す予定。50年経つと当初掲げた集団(地域)の利益という理念が薄れる。今は個人の利益も無視できず、当事者意識を持ちつつ、個人の利益を重視しながら社会の利益も考えることをテーマにしたい。

 資材や人件費の値上がりなど、農業を取り巻く環境が厳しく、このままでは農家の経営が成り立たない。「みかん山」の経営的再生が大きな課題で、持続可能な地域づくりに向け、農村と都市をいかに結ぶか、引き続き検討していく。

就労積立金でインターンシップ

 ★労働者協同組合ワーカーズコープちば(理事長の菊地 謙さん)…中高年事業団時代から加盟。清掃や病院関係の仕事、生協の物流、介護保険制度開始以降の地域福祉事業を行ってきたが、ここ10年くらいは行政からの委託で生活困窮者支援事業も行っている。子ども食堂や制服バンクなどの社会連帯活動にも取り組んでいる。

菊地さん

 上半期は、レンタルスペース事業を開始。個人の方から継業を依頼され、書道や絵画などの教室用に貸し出している。

 病院の委託事業から発展した退院後の生活支援や、自立訓練の「オアシスちば」も昨年設立。児童相談所への「虐待通告」に関する児童の安全確認業務「このゆびとまれ」も昨年から受託。

 労協法の規定にある「就労創出積立金」を、働きにくさを抱える人の支援に充てられないかと考え、就労ではないが少しだけ働きたい人に、ちょっとした仕事を切り出し、1回千円の「謝金」を支払う「インターンシップワーカーズ」も開始。こうした使い方で積立金の位置付けが明確になると思う。

「空き家改修」事業2期目も

 ★労働者協同組合かりまた共働組合(代表理事の根間太一さん)…設立(23年)当初からの「もずく販売」や、国土交通省の空き家対策モデル事業(空き家改修)を上半期も引き続き実施。「空き家フォーラム」も自治会と共催。市議会議員なども参加。

根間さん

 下半期は、2件目の空き家改修事業へ。必要な資金をクラウドファンディングで調達しようと取り組み中。

 企業から研修生の受け入れも予定。狩俣地域は課題が山積で、企業にも協同労働を視野に入れて解決策を考えてもらえるよう実施していく。

「壁紙染色」業務スタート

 ★労働者協同組合はんしんワーカーズコープ(三宅浩大(こうた)さんと代表理事の馬場義竜さん)…今年から生活支援として「壁紙染色」の業務を開始。壁紙は普通、張り替えを行うが、特殊な塗料を使うことで古くなった壁紙を新品同様にすることが可能。コストダウン、環境への配慮に有効で、サービス付き高齢者向け住宅やデイサービスで使用され、喜んでもらっている。

三宅さん
馬場さん

 工務店や家電量販店エディオンとのコラボでリフォーム仲介なども行っており、売上が徐々に増えてきた。

 放課後等デイサービスは加算がかなり取れたので売上げは上々だが、人員不足で加算が厳しくなってきている。

 私たちは「クレド(組織の理念や方針を示すもの)経営」を進めているが、メンバーも変わっているため、一度見直しが必要だろうと話し合っている。

 センターと共同で行っている「但馬地域の仕事おこしサポートセンター」での相談やセミナーもしっかり継続していく。

お互いのこと「もっと知りたい」 Q&Aで深掘り

労協連交流会議でグループワーク

 5つの組織の報告に対する質問や感想を個人で、さらにグループごとに整理して書き出し、壁に張り、松垣事務局長が読み上げ、個々に回答しました。 以下、Q&A(抜粋)

《HATO文化編集部》

—労協になって良かったことは?

 目標や理念を共有することで、安心して議論できることが一番良かった。やろうと思えば、自分たちでいろいろ幅を広げていけることもとても魅力。

—「子どものための協同労働の本」のイメージは?

 子ども専門の編集や出版などを手掛ける「クレヨンハウス」で働いてきた。連合会も子どもに協同労働を伝えたい意向があるらしいので、働くことの本質みたいなことを子どもたちに伝えられれば。

《かりまた共働組合》

—空き家対策事業についてもう少し詳しく

 (根間さんに代わり、以前、事業に関わった協同総研の高橋弘幸専務理事が返答)

 国交省の事業は3本柱。そのうち「新しいライフスタイルや居住ニーズに対応した空き家の活用」部分を獲得した。コンサル、不動産会社と三者でコンソーシアムを組み、改修作業部分を担う。改修後の建物を貸して収入を得るが、入居者がまだ決まっていない。地元の大工さんなどに作業を依頼するため、仕事をつくっていると感謝されている。

《ワーカーズコープちば》

―全組合員経営に向けた取り組みは?

 組織が大きくなり、活動エリアも広がったため、5つのエリアに分けて「エリア会議」を開催。団会議、理事会と合わせ3段階。組織は小さい方が意見反映に向いており、組合員が240人を数えるまでになり、過渡期と感じている。

―レンタルスペースに取り組む意義は?

 収益が上がらない構造なので、そこに集まる地域の人たちが、新しい何かを生み出すような場になればと企画。中心的に担うはずだった渡邉さんが亡くなったため、場合によっては撤退もあり得る。何か「展示」したい時は、安くできるので声をかけてほしい。

《無茶々園の森》

―農家と消費者のつながりから都市と農村をつなぐ具体的な取り組みは?

 「作る人」と「食べる人」︱この枠組みだけではない構想を描く必要性を個人的には感じている。

―気候変動についてどう思うか?

 長期的なスパンで見ると騒ぐ必要はないという見方も。人間は「やれることをやる」が大前提だが、自然に合わせていくしかない。

《はんしんワーカーズコープ》

―クレドの成果は?

 つくって2年。「毎月振り返りを行う」となっており、みんなで確認しながら評価するため、リーダーへの負担が減っている。

―生活支援を選んだ理由は?

 自分たちで“値決め”できる魅力。制度事業を行う中で制度から外れるサービスが多いことを知り、チャンスがあると思った。

壁に張られた質問や意見
報告に対する質問や感想を個人で書き出し、グループワーク形式で集約。交流の一助に