京都 労協センター事業団 綾部地域福祉事業所開設記念集会 9校の放課後学級4月から運営 築150年の古民家 事務所を地域の活動拠点に

関西事業本部 田代 明

 労協ワーカーズコープ・センター事業団は京都府綾部市の市立小学校9校の放課後児童健全育成事業(放課後学級)を今年4月から運営、綾部地域福祉事業所を開設しました。事業開始から半年を経た11月8日、事業所開設記念集会を事務所(江戸時代に豪商「扇屋」が味噌・醤油・油を商っていた古民家)で開き、綾部市議、市職員、地域諸団体、町内会長、放課後学級のスタッフなど約50人が参加しました。綾部には20数年前に立ち上がった綾部事業所(京都協立病院清掃現場)があり、その組合員も多数参加しました。(関西事業本部 田代 明)

記念集会まで

市と緊密に連携して準備
事務所は商工会議所の協力も得て

◆10校すべてに設置

 綾部市は京都府の北部にある人口3万人弱のまちで、10校ある市立小学校すべてに放課後学級が設置されています(定員380人)。

 放課後学級は数年前、数校で民間委託されましたが、スタッフの確保困難などの理由で運営が市に返上される状況になっていました。保育園が運営する1校以外の9校で今年度から改めて民営化されることになり、センター事業団が受託することになりました。

◆開始まで1カ月

 受託決定から業務開始まで約1カ月。時間的余裕がない中で市と緊密な連携を取り、他の事業所の応援を得ながら保護者への説明、支援員など職員のセンター事業団への移籍、新規採用など怒涛のような毎日でした。

 移籍にあたって協同労働の理念や出資金のことなどを説明。支援員らは戸惑いつつも、よりよい保育をしたいという意欲とワーカーズコープへの期待から、約9割の方が移籍の道を選びましたが、高齢などの理由で辞退した方も。

 新規採用は一般的な募集のほか、市職員や市議らの協力、働く仲間からの紹介で人員確保にあたりました。

 事務所は、市商工会議者と市こども健康部の協力を得て、広い敷地を持つ古民家を借りることができました。城下町を偲ばせる街並みの中にある築150年の建物で、商工会議所が「扇屋懐古亭」と名付け、地域のにぎわいづくりの拠点として整備。09年からは煎餅店として親しまれてきましたが、今年3月末で閉店していました。

 ここを地域の皆さんの居場所、まちづくりなどの活動拠点としても活用したいと考えて借用しました。

築150年の事務所は地域の活動拠点に

◆一つひとつ話し合い

 4月1日からも目まぐるしい毎日でした。急場しのぎの運営体制は欠陥も多く、新規採用の支援員・補助員などの学習・研修は十分できず、給料、交通費、休暇の取り扱いにも誤解が生じ、大変な迷惑をかけてしまいました。

 夏休みに入ると、運営時間が延び、約60人の臨時スタッフの確保や夏休み行事で業務量は膨大に。

 その後も、事故報告のあり方や児童指導の方法をめぐる課題などを一つひとつ、話し合いを通して丁寧に解決。支援員等も充分確保できる状態となり、ようやく開所記念集会を開催する気持ちになってきました。

記念集会

蚕都グランツのクッキー製造・販売
ベビーマッサージ実演も

◆「こどもの里」の映画

 記念集会は、放課後学級の立ち上げを支えてくれた皆さまへの感謝と、旧「扇屋」を地域活性化の拠点としてお披露目する、という目的で開くことにしました。

 午前中には大阪・釜ヶ崎の「こどもの里」を描いたドキュメンタリー映画『さとにきたらええやん』も上映(会場・日東精工アリーナ)。子どもの成長を支え見守ることができる地域について考えていくきっかけにと企画したもので、放課後学級の支援員、南部優葵(ゆうき)さんと野田茉琳(まりん)さんの司会で進行。

 上映前には放課後学級の一日の生活を紹介し、上映後は釜ヶ崎の人々の暮らしと仕事を支えてきた内村恵さんが、釜ヶ崎地域と子どもたちについて話し、支援の一環で「ひょんの実」コーヒーも販売しました。

◆地域課題解決に期待

 記念集会は、放課後学級の統括主任・佐藤正さんの軽妙で温かい司会で進行。

 冒頭、センター事業団藤田徹理事長が労働者協同組合とその法律、さらに「協同労働の子育ち指針」について紹介し、一人ひとりの子どもの尊重を呼びかけました。

 市議会を代表して種清(たねきよ)喜之市議(元議長)が、「子どもの育成についての事業がさらに重要になってくる」と述べるとともに、「放課後学級の運営だけでなく、古民家の活用で地域の活性化をはかる取り組みにも期待している」と激励。他の市議からも、高齢者などの移動困難や若者支援などの地域課題解決に「ワーカーズコープや労働者協同組合法に期待する」などの話がされました。

 また市健康こども部長、商工会議所事務局長、地元町内会会長、綾部地方労働組合協議会議長、京都協立病院看護部長などからも温かい激励の言葉がありました。

 市村朋子主任支援員をはじめ放課後学級の仲間は、子どもが書いた絵を紙芝居風にアレンジして、学級での生活や遊びを生きいきと紹介しました。

◆支援員のスキル多様

 記念集会では、事務所を地域に開かれた市民活動拠点とするためのお披露目企画として、二つの「実演コーナー」も。

 一つは、精神障がいのある人たちのピアサポートを行う「一般社団法人蚕都(さんと)グランツ」のクッキー製造と試食。クッキーは養蚕の町・綾部にちなんで「桑パウダー」を練り込み、綾部市のマスコットキャラクター「まゆぴー」の形に仕上げたもの。レシピは、綾部高校農芸化学科の生徒が考案しました。クッキーは「とても美味しい」と好評価でした。

 もう一つは、とても素敵な雰囲気をつくりながら行うベビーマッサージ。その資格をもつハクさんこと小林佳織さんが実演。「ママ・パパが赤ちゃんにマッサージすることで親子の絆を高めるんです」と話し、とても素敵な笑顔で幸せな世界に誘ってくれました。

 じつは、蚕都グランツ代表の久馬憲さんもベビーマッサージの小林さんも放課後学級のスタッフ、センター事業団の組合員でもあります。

 支援員・補助員などスタッフには、音楽や水泳講師などのスキルをもつ仲間もいますが、みんなのやりたいこと、できることを出し合って、みんなの幸せを増やす「ウエルビーイングのまち」を創造していきたいと思っています。

設営、運営などみんなで

◆交流し励まされた

 最後に渡辺健一所長が、地域の絆・協同連携の拠点づくりの努力を紹介し、協同労働の綾部市での発展と仕事おこしについて抱負を語り、記念撮影。参加者には桑パウダーのクッキーを記念品として配りました。

 集会のプログラムは組合員による実行委員会で考え、庭の草刈りや会場の設営、当日の運営もみんなで。

 映画上映会では若手の児童支援員・補助員が司会を務め、清掃現場の組合員も会場誘導などに協力しました。

 組合員は「色々な人と結べてとてもよかった」「市議会議員や他の事業所の仲間も来て交流でき、参考になったし励まされた」と話しており、綾部や中丹地域での協同労働運動の発展に大きな期待が持てる一日となりました。

「色々な人と結べてとてもよかった」と喜び、最後に記念撮影