千葉・浦安 明海小うらっこクラブ モデル校として体験 放課後インストラクター派遣事業 放課後の新しい選択肢

浦安地域福祉事業所 橘髙由美

 千葉県では昨年から「放課後インストラクター派遣事業」が始まり、3校のモデル校のひとつに選ばれた浦安市の明海(あけみ)小うらっこクラブ(学童・放課後子ども教室、ワーカーズコープが運営)も、12月18日に1回目を実施。子どもたちはもちろん、スタッフにとっても大きな学びの場となりました。(浦安地域福祉事業所 橘髙由美)

 1回目は鉄棒、跳び箱などとサッカー 

「がんばれ」の代わりに「できるよ」

子どもを信じて待つプロ

 この事業は、千葉県を中心に、市・学校に加え、放課後NPOアフタースクールと連携しながら進められる取り組みで、放課後の時間に、プロのインストラクターを派遣、子どもたちに本格的な体験の機会を届けることが目的とされています。

 必須の体育体操の他、サッカー、ベースボール5、キッズヨガ、キンボールの中から2つを選び、1回2時間程度、計6回体験することができます。

 明海では体操とサッカー、ベースボール5を選び、1回目はサッカーと体操に子どもたち60人ずつが参加。

 サッカーでは、ドリブルやパスといった基本的な動きを学び、それらを活かしたミニゲームを行いました。ただボールを蹴るのではなく、周りを見ることや仲間との関わりを意識した内容で、自然と声をかけ合いながらプレーする姿が見られました。

周りを見ることや仲間との関わりを意識、自然と声をかけ合いながらプレーする姿が

 体操では、ラダー(写真参照)を使った動きづくりから始まり、鉄棒、側転、跳び箱などに段階的に挑戦。跳び箱の上で体をまっすぐに保ち、倒立の姿勢から降りる動きにも取り組みました。

 これまで明海では、子どもたちの「やりたい」を「できる」に変える放課後を運営の軸としてきました。その積み重ねが、今回の事業の趣旨と重なり、モデル校としての参加につながったのではないかと感じています。

 実際に取り組んでみて、このインストラクター派遣事業は、放課後の過ごし方に新しい選択肢を加えるものだと実感しています。

 遊ぶ放課後も、のんびり過ごす放課後もいい。そして、プロと出会い、体験に挑戦する放課後があってもいい。この取り組みを丁寧に形にし、放課後の新しいスタンダードを発信していきます。


ラダー(上、子どもたちの前の床に敷かれたハシゴ状の用具)を使った動きづくりから始め、跳び箱上で倒立し降りる動きにも挑戦
 

 自分で決め一歩出る

 特に印象的だったのは、インストラクターが「がんばれ」という言葉をほとんど口にしなかったことです。代わりにかけられていたのは、「できるよ」「あきらめなくていいよ」という声でした。

 その言葉に背中を押されるように、子どもたちは失敗を恐れず何度も挑戦。うまくいかなくても、「もう1回やってみる」「次はいけそう」と前を向く姿があちこちで見られました。

 私たちはつい、「がんばれ!」と声をかけてしまいがちです。その言葉は、裏を返すと、「まだ頑張れていないよ」「もっと頑張らなきゃ」という意味として子どもに届いてしまうことがあります。でも子どもたちはすでに十分に頑張っています。

 「できるよ」という言葉は、急(せ)かしたり、追い立てたりはせず、少し距離もある。だからこそ「やる・やらない」「挑戦する・しない」を子ども自身に委(ゆだ)ね、背中をそっと押すのだと感じました。

 実際、「できるよ」と言われた子どもたちは、自分で「やってみよう」と決めて、もう一歩前に出ていく姿を見せてくれました。

 プロの関わり方とは、技術だけでなく、子どもを信じて待つ姿勢なのかもしれない、と感じる機会になりました。

 普段から学童の子どもたちなどの遊びを指導してくれている「ヴェルティ」のリーダーで、SBC医療大学(旧了徳寺大学)4年の町塚 善さんも参加。感想を寄せてもらいました。

町塚さん

指導者の動き一つ一つが学び

 子どもたちの心を引き込む挨拶から始まり、身体の動かし方のコツを簡潔にわかりやすく説明することで、子どもたちは動きのイメージをつかみ、実際の活動の中で意識して取り組んでいきます。

 初めは鉄棒に苦手意識を持って嫌がっていた子が多かったのに、最後の自由時間ではほとんど全員が鉄棒ゾーンで自発的に練習していました。子どもたちの感じた楽しさを表していると思います。

 できなかった子ができるようになり、逆上がりができていた子は、さらにレベルの高い空中逆上がり・空中前回り・グライダーにも挑戦していました。

 先生は逆上がりゾーンを重点的に見守りつつ、常に全体を見ていて、ラダー・側転ゾーンでも様子に応じてコツを伝えるなど、随時声をかけていました。

 私は6月に保健体育科の教育実習を経験していたこともあり、指導者の説明や声かけ、目配せに至るまで注目して見るようになりました。その一つ一つが自分にとって大きな学びとなりました。