栃木 日光叶夢叶夢 市民が実行委員会 映画「医師 中村哲の仕事〜」上映会 きっかけは 「まちづくり講座」

センター事業団北関東事業本部本部長 相良孝雄

 労協ワーカーズコープ・センター事業団と日本社会連帯機構が2023年に日光市民活動支援センターで開いた「まちづくり講座」をきっかけに6人の市民が立ち上げた、日光の明日を考える会「日光叶夢叶夢(かむかむ)」は、映画「医師 中村哲の仕事・働くということ」上映会を日光道の駅「ニコニコ本陣ホール」で1月25日に開催し、85人が参加。市民による実行委員会形式の上映会は北関東では初めて。上映後は「自分たちの暮らしは自分たちで守る『みんなで地域をつくる』」と題するシンポジウムも行いました。(センター事業団北関東事業本部本部長 相良孝雄)

会場には85人が参加

 

 日光叶夢叶夢は、持続可能な日光の実現に向け、課題や展望を月1回話し合うゆるやかな集まり。3年前の講座で鑑賞した映画を広く市民にも見てもらい、みんなで日光のまちづくりへ向かうことが今回の目的です。

 当日は、センター事業団宇都宮地域福祉事業所の吉川未知所長が開会あいさつを行い、瀬髙哲雄市長からお祝いのメッセージが届きました。

地域は住民がつくる

 上映後のシンポジウムでコーディネーターを務めた元日光市議の阿部和子さんは、「市の人口が減っていく中で、“地域社会は住民がつくる”という思いを深め合いたい」とあいさつ。

シンポジウムの壇上


 叶夢叶夢のメンバーで社団医療法人栄仁会の川上浩明さんは映画の感想を話しながら、「医療は手段で目的ではない。人が生きるのに必要なものはもっと根源的な部分で、映画で言えば“水”。日光にとっての水は一人ひとりの当事者意識。それを起点とする“共生の文化”だ。気にかける、声をかける、手を貸す、見守る、つながるなど、人と人との関係力とも言える。制度やサービスは水路のようなもので、流れる水がなければ地域は潤わない。中村さんの水路づくりは文化づくりそのものだ」と述べ、まちづくりに関わる姿勢を明確にしました。

3団体が実践報告

シンポジウムでは3団体が報告。

団体間連携を  

社会福祉法人すかい  理事 清水利枝さん

 山間部の生活を支える目的で買い物支援や惣菜・パンの移動販売などをしている。暮らしを支えるには、社協との連携だけでなく、団体間連携が必要だ。

福祉運送ここでも

栃木県移送サービス協議会 会長 小林泰進(やすのぶ)さん

 日光に必要な水は“助け合いの心”と“足”。移動を通じて人が交流すれば、地域活性化、生きがいづくり、医療・介護費抑制にも。近隣自治体が取り組む「福祉有償運送事業」を日光市でも。

らくサポ事業で成果 労協センター事業団那須塩原地域福祉事業所 所長 廣川泉さん

 10年前、地域懇談会に参加した3人から始まった那須塩原市の「らくらくサポート事業」は、買い物支援や病院付き添い、ゴミ出し、庭の片づけ、除草や犬の散歩、見守りなどの生活支援を展開。仕事を担うサポーターは現在23人、利用者は118人で、9年間で延べ7000件の利用があった。病院の付き添い(2691件)や買い物支援(1576件)の人気が高い。

 月1回「らくサポ会議」を開いて学習会や茶話会、芋煮会、フードバンクの取り組みから派生したチャリティーウォークにも参加しており、無理せず、お互いさまの精神を大切に、ルールを守りながら何事も積極的に楽しむことがポイント。

 サポーターの中原正江さんは、「退職し、身近な人がサポーターだったから仲間になった。自分もいつ世話になるか分からないし、関わることで自分の居場所にもなっている」。

 サポーター第1期生の寺澤信一さんは、「みなさんに喜んでもらえることが私の喜び。動けるうちは働きたい」。

 報告を受け、阿部さんが「らくらくサポートを日光につくりたい。労働者協同組合法を活用すれば3人で立ち上げられる。少子高齢化は見方を変えればチャンス。活躍のど真ん中にいるのは私も含むシニア世代だ。命をつなぐ水として、自分たちができることをすることが日光の未来をつくることにつながる」とまとめました。

 会場からは、「何かできることがあれば仲間としてやっていきたい」、「中村さんが水路を作ったように、まずはできることからやれたら」、「大学の講義でもこの映画を見た。医療・福祉を学んでいるが、中村医師の実践にも学んで、今後の人生に生かしていきたい」などの意見が上がりました。

 日光市で暮らし続けるため、市民・住民が主人公となり、労働者協同組合・協同労働で仕事を起こす大きな一歩になりました。