nappa(東京) 映画「さとにきたらええやん」上映会 舞台の“こどもの里”元館長、荘保さん 「制度の隙間にこそ困った人が」

本紙 福本

 昨年現場を引っ越し、新たに「児童育成支援拠点事業」を始めることになった労協ワーカーズコープ・センター事業団江戸川地域福祉事業所nappa“(地域食堂なども)は、大阪市西成区の宿泊可能な親子の居場所「こどもの里」の日常を描いた「さとにきたらええやん」(2016年、重江良樹監督)の自主上映会(無料)を、江戸川区のタワーホール船堀で2月1日に開催し、およそ40人が参加。上映後のトークショーでは、“里”の元館長、荘保共子さんが登壇し、保護者を含め、真の“こども中心”の対応がいかに大切かなどを語りました。(本紙 福本)

上映会場

 nappaは江戸川区で「子ども第三の居場所事業」に日本財団の助成を受けて取り組んできましたが、昨年5月に終了。同区内で移転し、新たに区の「児童育成支援拠点事業」に取り組むことになりました。より深刻な課題を抱える家庭との関わりが増えるため、知識を深め、nappaの存在を新たな活動エリアで知らせようと上映会を開催しました。

 映画の舞台のこどもの里は、撮影当時はあった日雇い労働者のまちの象徴的存在「寄せ場」という求職場所も解体されるなど、今はすっかり姿を変えた「釜ヶ崎」にあります。複雑な家庭環境の下、さまざまな事情を抱える子どもたちが、献身的なスタッフとふれ合う中で成長していく姿が映画では描かれ、なぜこの場所が40年も続いているのかが伝わってくる内容です。

 トークショーで元館長の荘保さんは、15年も前の古い映画であることと、すでに2人の子どもの親になった子や、いろいろな仕事を経て出身高校で教える仕事をしている子もいることを紹介。当時、ショートステイや児童デイなどない中で“里”ではやっていたことなどを振り返り、「制度になると仕組みができ、“休みは休み”となって、結局、隙間ができる。『困っているが制度を使えない。どうすれば』と相談に来る人たちを受け入れている。この隙間にこそ国がお金を付けてほしいが、なかなかそうはならない」とため息をつく場面も。

「子どもが遊ぶのは権利」だと話す荘保さん

“江戸川のカルカッタ”目指して守る

児童育成支援拠点事業」に取り組む姿勢

加藤所長が明言

 主催したnappaの加藤留美子所長も発言。「『睡眠薬を飲んだ母親が鍵を閉め、家の中に入れない』と言って駆け込んでくる中学3年生はほんの一例。ヤングケアラーも含め、さまざまな困難を抱える人たちと向き合ってきた。今も毎週150個の弁当を作り、ボランティアの協力を得て無料で配っている。nappaは小さな事業所だが、本当にいろんな経験をしてきた」とこれまでの活動について。

 さらに「こどもの里を見習いたい」とも述べ、インドのカルカッタを拠点に活動したマザーテレサが、身の回りの困難に手を差し伸べることの大切さを説いた言葉になぞらえ、「荘保さんは釜ヶ崎のカルカッタ、nappaは江戸川のカルカッタを目指し、みんなで力を合わせて子どもたちを守っていきたい」と、抱負を語りました。