ワーカーズコープ連合会 協同労働・よい仕事研究交流全国集会2026 加盟組織が多様な実践持ち寄り その価値と評価のあり方探求 「意見反映」「新しい価値創造」テーマにトーク 

本紙 炭谷

 ワーカーズコープ連合会は、「協同労働・よい仕事研究交流全国集会2026」を、2月28日、3月1日にオンラインで開催。連合会会員組織の組合員や協同労働に関心のある方、研究者などが参加。初日の全体会には408アクセスがありました。集会テーマは、「実践の生の声が響き合う、新たな協同の創造」。(本紙 炭谷、続報)

プロセスの継続と参加が重要

 古村伸宏理事長が、「よい仕事とは、一人ひとりが主体的に働き、その力を自治的、民主的、協同的に発揮することで、働く人や利用者、地域のウェルビーイング(幸福度)を高めていく営み。マイナスをゼロにする課題解決にとどまらず、ゼロからプラスを生み出す『価値創造』へ。『私』の思いを出発点に、それぞれの実践を持ち寄り、よい仕事の価値と評価のあり方を探求する2日間にしよう」と開会あいさつ。

 2つのトークセッション。

 セッション1のテーマは「意見反映」。労協ワーカーズコープ・センター事業団FUSSA地域福祉事業所(東京、児童館、学童クラブ、放課後等デイサービスなど)の伊藤彰俊所長と、同酒田地福こもれび(山形、就労継続支援B型、放デイ、生活困窮者就労準備支援、次亜塩素酸水製造など)の遠田(えんた)憲子副所長が報告。

 伊藤所長は、事業所での話し合いの仕組みや武蔵野児童館での「クレド(行動規範)」づくり、意見反映の難しさなどを語り、「事業所の主体は働く仲間。全員が完全に納得する結論を出すのは容易ではないが、責任者だけでなく一人ひとりの意見を大切に拾い上げ、ていねいに対話を重ねながらみんなで意思決定していくことがワーカーズコープで働く醍醐味(だいごみ)であり、実感できる価値の1つ。率直な意見交換と意見反映を通じて自分の声が届くという安心感を育みながら、働きやすさと人材定着に結びつけていきたい」。

伊藤さん

 大阪大学大学院遠藤知子(ちかこ)准教授(協同総研常任理事)が、「民主的な意思決定は、労協と他の法人を区別する決定的な要素。意見反映で重要なのは、互いに説得し合うプロセスを重ね、議論に参加し続けること。完全な合意が難しくても、その積み重ねが、『共有された現実』を形づくり、そこから、全ての組合員が関与する『自分たちの物語』が生まれていくのではないか」とコメントしました。

遠藤さん

キーワードは「正しいより楽しい」

 セッション2では、ローカルな交わりを通じた新たな事業、価値の創造をテーマに、センター事業団日田地福虹の家(大分、訪問・通所介護、放デイなど)中島智恵所長、労協ワーカーズコープ山口(土木、公共施設管理、放デイなど)村﨑忍理事、YURAMEKI(ゆらめき)労協(愛知、空き家を活用した宿泊施設運営)白頭卓也理事が実践を紹介。

YURAMEKI労協は、やるべき業務を「クエスト」に見立てて、掲示板から受注する「YURAMEKIクエスト」を導入。組合員が自分の得意を活かし、ゲーム感覚で楽しみながら主体的に働く仕組みを構築している。(白頭さんの発言資料から)

 白頭(はくとう)さんは、愛知県新城(しんしろ)市の職員。地域貢献を目的とした副業許可を得て、仲間たちとこの法人を立ち上げました。

白頭さん

 労協法人を選んだ理由について、「組合員は10人でうち半数が市職員。市が消滅可能性都市に選ばれたことに強い危機感を持ち、地域が自ら稼いで課題を解決する仕組みが必要だと考えた時に、出資・経営・労働が一体となる労協は『住民自治の根幹』の形だと思い、この法人格を選んだ」と説明。

 「業務をゲームの『クエスト(任務)』に見立て、やりたい人・できる人がその業務を請け負う『YURAMEKIクエスト』という仕組みを導入し、組合員がゲーム感覚で楽しみながら無理のない範囲で主体的に働ける体制を構築。地域にお金が循環する仕組みをつくり、次の地域へと事業を広げていきたい」と抱負を語りました。

 コメンテーターの労協やさしいまちづくり総合研究所中西大輔代表理事(センター事業団顧問)が、「まちづくりにおける重要なキーワードは、『正しいより楽しい』。楽しいからこそ継続でき、それが次第に『やらずにはいられない』ものになっていく」と強調。

中西さん

 「イノベーション(新結合)は、同質性の高いところでは起きにくい。多様な背景を持つ人が意見を交わしたり視点を交換したりしながら、AかBかという意見の衝突を超えて、新たにCという視点を見いだすプロセスに、協同労働が新しい価値を生み出しやすい仕組みがあるのではないか」と指摘しました。

 参加者からはチャット機能を通じて、多くの意見や質問が寄せられました。

 藤田徹副理事長(センター事業団理事長)が、「一人ひとりの意見が形になる喜びが主体性を引き出し、自分たちの物語を紡ぐプロセスこそが協同労働の真髄ではないか。AI時代においてはケア労働の価値が高まり、労働者協同組合への注目も一層集まる。不穏な世界情勢が深まる中で、『平和をつくるよい仕事』とは何かにも思いを巡らせたい」と述べ、全体会を締めくくりました。

 翌日は20の分散会が行われ、開催テーマを深めました。

厚労省発行

ろうきょうガイドブック

労働者協同組合の設立、運営をわかりやすく解説 厚生労働省は、労働者協同組合の設立や運営に必要な手続きや実務上の留意点を詳しくまとめた「ろうきょうガイドブック」を発行しました。

 全国で労働者協同組合の設立や活用を検討する個人・団体にとって、基本から実務までを網羅した必携の一冊となっています。

 ※ガイドブックは全体版のほか、各テーマごとの分割版でのダウンロードにも対応。利用者の関心や段階に応じて参照できる構成になっています。

■ 入手方法
 厚労省の公式ウェブサイトから無料でPDFをダウンロードできます。全体版だけでなく、テーマ別に個別のPDFファイルも用意され、必要な部分だけを参照することも可能です。

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