兵庫 尼崎 映画「医師 中村哲の〜」上映会 コープこうべ、尼崎医療生協、はんしん、センター事業団がトーク

本紙 炭谷

 尼崎医療生活協同組合と労協センター事業団関西事業本部、尼崎事業所は、3月28日、「映画『医師 中村哲の仕事・働くということ』上映会+トークセッション」を兵庫県尼崎市の尼崎医療生協組合員ひろばで開催。市内で活動するコープこうべ、はんしんワーカーズコープと主催団地域の困りごと解決へ 「協同組合間協同」

尼崎医療生協とセンター事業団が共催

 上映会は、組織の枠を越えて互いの活動を知り、地域の困りごと解決に「協同組合間協同」を一層進めていこうと開いたもの。

 センター事業団は2000年から尼崎医療生協病院の清掃業務を受託。現在、尼崎事業所には約30人が働いています。

 こうした日常的な関係を背景に、昨年秋、同事業所が尼崎医療生協に上映会の共催を提案。医療生協関係者への試写を行い、関西事業本部を交えて断続的に打ち合わせを重ねながら企画を練りました。

 協同組合関係者を中心に周知活動を行い、当日は主催団体の職員、組合員をはじめ、コープこうべやコープ自然派兵庫の組合員など67人が参加しました。

67人が参加

不平不満言える仕組み、対価、適度の責任が秘訣

 上映会の進行は尼崎医療生協病院の向井章雄事務長、開会あいさつは尼崎事業所の津田益男所長。上映後は、コープこうべや尼崎医療生協、はんしんワーカーズコープ、センター事業団が活動を紹介しました。

向井事務長

多様な課題。単独組織では対応に限界

 コープこうべ第1地区本部の前田裕保(ひろやす)本部長は、「尼崎市内に10万を超える組合員がいるが7割が高齢者。人生100年時代と言われる中、社会的な役割を持ち、誰かに感謝される『貢献寿命』を延ばしていくことが長寿の質を高めるためにも重要。社会課題が細分化・多様化する中で、単独組織での対応には限界がある。さまざまな団体と連携・連帯しながら、課題解決に共に取り組みたい」。

 はんしんワーカーズコープの馬場義竜代表理事は、尼崎市からの委託事業「生きがい就労事業」を紹介。

 「62歳〜最高92歳までの約160人が内職業務に励んでいる。居心地のいい場所にすれば人が集まるわけではない。不平不満も言い合えるような仕組みにすることで、参加者が主体性を持って元気に活動している。ワンコイン程度の対価と適度な責任を持ってもらうことが、無理なく長く活動を続けていける秘訣。コープこうべの店舗で『職業体験(就労体験)』も始める予定」と述べました。

困りごと対応    

年間延べ4505回

 尼崎事業所の津田所長は、人間関係の悩みから引きこもっていた若者や生活困窮者が、清掃現場での実践を通じて自信を取り戻していく状況を報告。

 「最初は対人恐怖を感じていたような人でも、段階的に役割を任され、さらに自分と同じような境遇で新しく入ってきた後輩に教える経験をすることで、飛躍的にステップアップを遂げている。お互いに支え合う協同労働の現場を目指している」

 尼崎医療生協地域連携相談センター管理課長でメディカルソーシャルワーカーの山上育子さんは、尼崎医療生協の成り立ちや無料低額診療事業などの取り組みを説明し、有償ボランティア活動「ご近所さん」について、「ごみ出しや通院介助など、組合員の困りごとに対応している。2024年度は延べ4505回の活動があり、全国の医療生協の有償ボランティアでもトップクラスの実績。制度の狭間にいる人々を救う地域のセーフティネットであり、地域になくてはならない活動になっている。これからもいつまでも暮らし続けられるまちづくりに取り組んでいく」と報告。

 その後のパネルディスカッションで、それぞれの取り組みを深めました。

パネルディスカッションでは、4つの協同組合が意見を交わした。左から、コープこうべ前田さん、はんしんワーカーズコープ馬場さん、センター事業団竹森鉄専務理事(コーディネーター)、センター尼崎津田さん、尼崎医療生協山上さん

 尼崎医療生協の瀬井宏幸専務理事が、「社会では自己責任が強調され、分断が広がっているが、皆さんの発言から地域に寄り添う多様な実践を学ぶことができ、心温まる思いがした。現場レベルでのつながりと取り組みをさらに深め、次の国際協同組合年(2035年)を迎えよう」と締めくくりました。

瀬井専務理事

 上映会を終え、向井事務長は「これまで医療生協の事業と活動の枠で地域を見ていたが、視野やつながりが一気に広がった。平和や人権、医療、介護、生活…… 地域には本当に多くの困難があるが、このつながりを力に草の根での解決につなげていきたい」。

 津田所長は「協同組合間のつながりを生かし、尼崎で引きこもっている若者に向けた清掃講座を開催したい」と抱負を語りました。