役割を持って共に働く ワーカーズの可能性に注目  「包摂的就労促進議連」総会で実践紹介

協同総合研究所 田嶋康利副理事長

 超党派の議員で構成する、「包摂的就労(ワーク・ダイバーシティ)促進議員連盟」の第2回総会が3月25日に開かれ、有識者ヒアリングではワーカーズコープも実践を紹介。「多様な就労機会の創出」の担い手としての協同労働、労働者協同組合への期待が高まっています。協同総合研究所田嶋康利副理事長(ワーカーズコープ連合会理事)の報告です。

すべての就労困難者に働く場を

 包摂的就労(ワーク・ダイバーシティ)促進議員連盟は、ひきこもりや刑期を終えた方、障害があっても手帳を持っていない方など、推計1500万人にのぼる「就労困難者」の就労を創出することを目的に、野田聖子衆院議員(会長)や事務局を担う日本財団らが中心となって昨年11月12日に設立。

 日本財団の「WORK! DIVERSITY」活動(就労困難者の就労と自立を支援するプロジェクト)を基に、働く意欲がありながら就労が困難な人々の支援強化や、新法制定を視野に入れた活動をしています。

 総会には超党派の国会議員のほか、厚生労働、法務、総務、農林水産の4省から、福祉、雇用、矯正、地域政策などを担う関係部局の官僚や日本財団の職員が出席。

 ワーカーズコープからは、田嶋と連合会統合本部事業推進本部の奥平明子さんが参加しました。

支援の対象を線引きしない

 野田会長が、「社会を本気で変えていく、そんな私たちでありたい。若い人であれ、年配者であれ、生きづらさを抱えて生きてきた人をしっかり支え、働き方革命を着実にやっていこう」と開会あいさつ。

 「促進議連、ワーク・ダイバーシティ構想への期待」と題して田嶋が報告。

 富山の病院清掃でのひきこもり経験者の成長や、長野での養護学校卒業生の清掃現場副班長就任、宮城・登米での地域課題解決(SKETCHA)、埼玉・所沢での豆腐屋の継業(conomi)などの事例を紹介しながら、40年以上にわたる「共に生き、共に働く」試行錯誤の歩みと、現在180法人にまで広がった労働者協同組合の現況を紹介。

 包摂的就労構想の実現に向けた3つの柱として、①既存制度の「垣根」を突破する就労支援の再構築、②就労定着のための制度的保障とインセンティブの付与、③「労働統合型」の社会的企業への道筋の重要性を強調しました。

 質疑があり、斉藤里恵衆院議員が次のようにコメント。

 「障害者手帳を持たない人やひきこもり状態の人、不登校経験のある若者など、既存の制度では十分に支援が届かない方々が多くいるが、支援の対象を線引きするのではなく、どうすればその人が地域の中で役割を持って働けるかという視点への転換が必要。ワーカーズコープの実践は、まさにその可能性を示している。これからの就労政策は、制度の枠に人を当てはめるのではなく、一人ひとりの状況に寄り添いながら、『働く』を社会全体で支えていく仕組みへと転換していくことが重要ではないか」

 この他、自治体によるモデル事業の成果報告として、福岡県が進める「福岡モデル」について、福岡県福祉労働部労働局就業支援課障がい者支援係の沖西睦美係長と福岡県就労支援協同組合の中村信二理事長、社会福祉法人北九州手をつなぐ育成会「インクルとばた」の福島健司さんから報告がありました。

4月22日にはワーク・ダイバシティ学習会

 発言機会をいただいたのは、昨年11月に滋賀県で開かれた「生活困窮者自立支援全国研究交流大会」で、日本財団公益事業部シニアオフィサーの竹村利道さんによるワーク・ダイバーシティに関する報告を聞いたことがきっかけ。

 改めて年末に日本財団を訪問し、竹村さんと懇談。労協法制化の経緯や、障害や困難のある人と共に働くワーカーズコープの実践は、ワーク・ダイバーシティの理念を具現化するものとして高く評価され、総会での報告を打診されました。

 連合会「共にはたらくプロジェクト」全国会議では、4月22日に学習会「ワーク・ダイバーシティと法制化の取り組み」を、竹村さんを招いて開催します。

左から包摂的就労(ワーク・ダイバーシティ)促進議連野田代表と、協同総研田嶋副理事長、連合会事業推進本部奥平さん