埼玉・所沢 包摂的就労促進へ 「菓子工房conomi」視察 元厚労省労働局長小野寺さん 日本財団木村さん

協同総合研究所副理事長 田嶋康利

 元厚労省労働局長の小野寺徳子さんと日本財団公益事業部アドバイザーの木村弥生さん(元衆議院議員・前江東区長)が、4月7日、埼玉県所沢市の労働者協同組合労協センター事業団埼玉西部地域福祉事業所が運営する、就労継続支援B型事業所「森のとうふ屋さんの手づくり菓子工房conomi」(コノミ)を視察しました。(協同総合研究所副理事長 田嶋康利)

 小野寺さん、木村さんは3月25日に開催された「包摂的就労(ワーク・ダイバーシティ)促進議員連盟」でワーカーズコープからの報告を受け、視察の運びとなったものです。

利用者も交え、2カ月に一度運営会議

 埼玉西部地福は2012年に廃業予定の豆腐屋の継承から開始。15年に最初の菓子工房を開き、23年に現在の場所にconomiをオープンしました。

conomiの店内を視察

 現在、所沢市内に4現場があり、豆乳やおからを使用した菓子、総菜の製造販売をはじめ、農作業、書類の電子化、施設外就労など多角的に展開。就労者は62人(組合員27人、登録利用者35人)です。

 「conomi」では、所長の藤野海秀さんとサービス管理責任者の関山浩二さんが対応。 藤野さんたちは立ち上げの経緯と現況を説明し、共に働く実践例として運営会議を紹介。

 「利用者も交え、2カ月に1回開催。共通の目標を設定し、達成に向けてみんなで取り組み、経営状況を共有したり、新商品開発やイベント出張販売の企画・運営のアイデアを出したりしながら、事業所の運営に主体的に関わっている」と説明しました。

個人の特性を活かし合う現場

藤野所長(手前)から説明を受ける小野寺さん(奥)と木村さん(右隣)

 意見交換は、地域との関係や仕事拡大の取り組み、障害者の住居問題、労協法と協同労働による障害や困難のある人の就労の場づくりなど多岐にわたりました。

 その中で藤野所長は自身の入団や所長就任の経緯に触れ、「前職は会社員。体育会系な雰囲気や利益重視の経営が合わずに退職。昨年7月から所長に就いたが、話し合いを重視し、個人の特性を活かし合う協同労働の現場だからこそ挑戦できた」と語りました。

 また、小野寺さんから、「ワーカーズコープは制度を使わずに『共に働く』実践に取り組んでいると思っていた。なぜ制度(就B)事業に取り組むのか」との問いに、田嶋が「制約もあるが、働きたくても一般就労で働くことが困難な人たちの働く場を作ろうと、制度の活用に取り組んできた。障害のある人は制度上、『利用者』と位置付けられるが、私たちは共にはたらく仲間として主体的に運営に携わる関係づくりに取り組んでいる。この働き方を全国に広げたい」と返答しました。

協同労働の理念は
ディーセントワークそのもの

 小野寺さんは、埼玉労働局職業安定部長時代から労働者協同組合法の制定を支援してきました。

 また、厚生労働省障害者雇用対策課長時代には、21年1月27日に開いた、労協連主催の「共にはたらく全国プロジェクト会議」にも参加したことがあります。

 この場で、協同労働の実践に対して「協同労働の理念の基本は、『共に働き、共に生きること』と聞いたが、これはディーセントワークそのもの。協同労働が地域に広がり、日本社会全体が幸せになっていくことを願っている」と期待を込めました。