雫穿大生ら研究会 文科省で記者会見 子ども中心の教育制度へ 政策提言
5つの提言
❶ 大学入学試験の廃止と希望大学への全入学制実現+実際的な卒業審査の導入
❷ 初等・中等教育での学びを「試験中心」から「科目の内容に対する理解の構築」重視に変更
❸ 中等教育修了レベルの学力を保証する「全国共通の科目別習熟度資格試験制度」創設
❹ 就職・採用における新卒一括採用方式の撤廃+新しい採用方式「お見合いインターン採用」への移行
❺ 制度を子どもに合わせる教育の実現
既存の大学制度にとらわない、オルタナティブ大学「TDU・雫穿大学」の学生・卒業生らでつくる、「不登校・オルタナティブ教育研究会」は、4月16日に文部科学省で記者会見を行い、同研究会がまとめた「日本の教育制度に関する提言と新構想」を発表。全国紙や教育専門紙、テレビ局など7社の取材が入りました。(本紙 炭谷)


学歴偏重を問い直す
「提言」は、教育制度を見直すきっかけにしようと、1年かけてまとめたもの。
冒頭、教育社会学者で雫穿大学を主宰する朝倉景樹さんが問題意識を語り、「教育の結果が最終学歴で判断される中で、子どもたちは将来を『人質』に取られるようなプレッシャーの中で受験に追われ、長時間学習による『子ども時代の喪失』が生まれている。今現在の興味・関心が抑えつけられている現状を変え、一生にわたって自分とは何かを問い続けられる機会を保障したい」と力を込めました。
研究会を代表して長畑洋さんが、大学入試の廃止や理解重視の学びへの転換、新卒一括採用の見直しなどを盛り込んだ「5つの提言と構想」を説明し、「不登校経験者として『今の教育のあり方でよいのか』という切実な問いを背景にこの提言をまとめた。子どもを既存の枠に押し込めるのではなく、制度を子ども側に合わせる教育への転換を通じて、誰もが生きやすくなる社会を目指したい」と語りました。
雫穿大学の卒業生で、労働者協同組合創造集団440Hz理事の長井岳さんも自身の不登校経験を振り返りながら、「学びとは本来、幸せになるためのもの。この提言は、自分のような一部のレアケースだけでなく、全ての若者に学びが開かれるべきものという思いでつくった」。
朝倉さんも、「教育の『ストライクゾーン』を広げることで、学校に合わないとされる子を生まない仕組みをつくりたい。ホームエデュケーションの制度化や18歳までの経済的支援拡充、不登校を選択した子どもと家庭の学びをサポートする体制の整備など、不登校が起きた際も制度の側が子どもに寄り添うことも重要」と補足しました。
質疑があり、大学全入制に関して、一部の人気校への志願者集中の懸念に対し、オランダの事例を引き合いに、「出口」となる卒業審査を厳格化することで教育の質を担保し、安易な入学を抑制できるとの考えを示しました。
あり方見直す一歩に
会見を終え、長畑さんは、「関心を持って受け止められ、手応えを感じている。日本では学校の問題点は指摘されても、教育制度そのものを見直す議論は広がっていないと感じていた。今日の発表はその議論の第一歩になった」と話しています。
研究会では今後、国際的なフリースクールのネットワークでの発表や、超党派の「多様な学びを支援する議員連盟」への提案、SNS等も活用しながら、多様な立場の人々との対話を通じて、議論を深めていきたいとしています。