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① 森づくりは世代を超えた永い取り組み

連載No. 1 号
辻村百樹
① 森づくりは世代を超えた永い取り組み
連載開始にあたって

 私は悠久という言葉に惹かれる。悠久の時の流れは、たおやかにとうとうと流れるものと想像するけれど、実は振幅の激しい荒立つ時空や、反対に微動だにせぬ平穏な時空、そうした自然が織りなす現象のすべてを包括していく。その狭間で生物は命を育み、物資は築落を繰り返し、人間はそれを進化と捉える。  森づくりは世代を超えた永い取り組みであり、山を守ることは歴史の継承に他ならない。先代から山を引き継ぎ生業とする私が、悠久の時の流れを意識することは必然なのかも知れない。  一地方の林業家の取るに足らぬ視点ではあるが、この連載が環境破壊をもたらした工業化社会や、地に根差すことなく仮想空間を舞台に展開する情報化社会への、何かしらの示唆になれば幸いである。 商家から山林経営へ。戦後の危機も潜り抜け  さて初回にあたり、江戸時代に遡る辻村家の歴史を簡単に記す。  初代は1700年代に近郊の農村より相模の国(現神奈川県)小田原に出て古物商を興す。そこから3代目にかけてが商家としての発展期で、幕末から明治維新へ向かうなかで呉服商、質店と経営を広げ、小田原城下...
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