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研究の世界で認められ始めた「自分研究」(下)
連載No. 86 号
TDU・雫穿大学代表 朝倉景樹
教育社会学者で「TDU・雫穿(てきせん)大学」代表の朝倉景樹さんが、現在の子ども・若者を取り巻く状況や世界のデモクラティック教育に触れながら、これからの社会や労働のあり方に言及します。
誰でも初めから「当事者」ではない
中西正司・上野千鶴子の共著『当事者主権』の影響もあり、ある学会のオート・エスノグラフィー(当事者研究)のセッションでは、「当事者になる」という考え方がキーコンセプトの一つとして議論されていた。
本書は、「誰でも初めから『当事者』であるわけではない」とし、自分の置かれている状況を無前提に自分の側の問題としてのみ捉えるのでもなく、自分の困りごとが社会の中でどのように生じているのかを自覚的に捉える重要性を示している。
「女性」「障害者」「不登校」などの社会的カテゴリーを、自分だけの問題として抱え込む(即自的)のではなく、他者や社会との関係の中で引き受けていく(対他的)という視点の大切さを本書は説いている。
「不登校」というカテゴリーについても、校内暴力、いじめ、自殺、精神疾患を抱える教師の増加などの現状を踏まえると、「自分が不登校なのは、自分の弱さだけが原...
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