児童発達支援・放デイ みらいのおうち もりや 指定管理更新ならず… 「ならば自前で」と開所 「ワーカーズを地域に残して」の声受け

本紙 炭谷

 労協ワーカーズコープ・センター事業団つくばみらい地域福祉事業所は、6月より茨城県守谷市で児童発達支援・放課後等デイサービス事業所「みらいのおうち もりや」を開所しました。5月30日に行われた開所式には、利用者の保護者や協同組合関係者、東関東事業本部の組合員など22人が参加。事業所の新たな出発を祝いました。(本紙 炭谷)

住宅街にある「みんなのおうち もりや」
働く仲間を紹介する石原所長(左端)。左から、神谷さん、阿部さん、髙梨さん。他にも2人のスタッフが就労
石原所長

茨城県守谷市で つくばみらい地福が

地域とつながる実践重ねてきたが

 つくばみらい地域福祉事業所は、2017年に労協ワーカーズコープ・センター事業団が、つくばみらい市小絹児童館の指定管理者に選定されたことを受けて立ち上がりました。

 小絹児童館では、担い手不足で途絶えていた地域の「もちつき」を復活させたり、多世代交流型の子ども食堂「こきぬ食堂」をはじめたり。また、医療的ケア児の家族を支援するボランティア団体「はぴこねくと」とともに、福祉避難訓練や防災を切り口にした地域ネットワークづくりなどにも奔走。自治体担当課とも良好な関係を築いてきました。

 しかし、23年に他の自治体にあった現場で不適正報告事案が発覚。その影響もあり、25年度からの指定管理者更新は叶いませんでした。

本人や保護者に寄り添う放デイを

 この事態を受けて、当時在籍していた9人の組合員のうち、半数は次年度から新たな指定管理者に移り、他の仲間たちもこれを機に仕事を離れるなど、それぞれの道を選択。しかし石原夕起所長はワーカーズコープに残り自前事業の可能性を模索します。

 地域団体からの「ワーカーズを地域に残してほしい」という声、子どもの発達の特性や障害に悩み、「これから先どうすれば…」と不安を抱え孤立する保護者を目の当たりにしてきたからでした。

 近隣ではフランチャイズ型の放課後等デイサービスが増えるなか、「一人ひとりに寄り添い、本人や保護者と話し合いながら支援をつくりたい」と、放デイの立ち上げを決意しました。24年12月のことです。

自前事業の立ち上げで出資の意味実感

 石原さんは、児童発達支援管理責任者の資格取得に向け、25年2月から基礎研修を受講し、埼玉県八潮市にある児童発達支援・放デイ「はっぴぃすまいる」(センター事業団八潮総合事業所が運営)で実地研修。今年1月に資格を取得しました。

 並行して、事業本部や茨城エリアの協力を得ながら、他の地域福祉事業所での研修や物件探し、行政との協議などを進めました。

 また、地域に協力を呼びかけようと茨城ワーカーズ・コレクティブ協議会と合同映画上映会を開催したり、東関東事業本部の組合員や地域の団体、元組合員らに協力を呼びかけたりしながら必要な資金を確保。茨城県への申請が通り、6月に指定が出ました。

 石原さんは、「児童館で働く選択肢もあったが、以前と同じような活動はできないと思いワーカーズにとどまった。自前事業の立ち上げを経験し、初めて出資金の意味を実感。大きな組織基盤と仲間たちの協力があったからこそ、新たな挑戦に踏み出すことができた」と振り返ります。

 事業所名の「みらいのおうち」は、「未来を担う子どもたちが安心して集い、地域と共に育つ場所に」との想いを込めたもの。

 組合員は、以前児童館で働いていた髙梨仁美さんをはじめ計6人。事業開始前に4人の利用者を集めました。

 髙梨さんは、「体調のこともあり一旦ワーカーズを離れたが、石原さんとは地域活動を通じてつながり続けてきた。また一緒に仕事ができてとても嬉しい」と話しています。

開所式
キャンセル待ちで困っている保護者
「みんなのおうち」となるような事業所に

開所式には、同じ茨城エリアや、千葉エリアの仲間も駆けつけた

 開所式では、センター事業団藤田徹理事長が、「守谷市は、若い子育て世帯の流入が多いまち。こうした世帯の困りごとや課題に向き合い、地域の多様な団体や仲間と連携しながら、よい仕事を通じて守谷で事業を広げてほしい」とあいさつ。
 
 来賓からは、ワーカーズ・コレクティブ「杜のぽけっと」の阿部よし子代表が、「児童館の仕事がなくなると聞いた時は心配したが、地域に必要だという声を受けてこの場所が立ち上がったことは素晴らしい。引き続き応援し続けていく」とエール。

 利用者第1号の児童の保護者も、「ずっと子どもを預けられる放デイを探していたが、どこもキャンセル待ちで子どもの行き場所がなく、仕事への影響も出て困り果てていた。車の運転中にここの看板を見かけ、すぐにインターホンを押して石原さんに相談。施設のあたたかな雰囲気やみなさんの人柄に安心できる場所だと感じ利用を決めた。子どもが『今日もまた行きたい』と思える場所であってほしい」と期待を込めました。

 職員の紹介があり、阿部敦子さんは「子育てが一段落したことを機に、新しい分野への挑戦を決めた。放デイは初めてだが、子どもたちと一緒に成長したい」。

 神谷愛さんは、特別支援学級に通う娘を持つ母親です。「娘の障害と向き合ってきた経験を活かし、保護者と同じ目線で共に成長していきたい」と述べました。

駆けつけた茨城エリア、千葉エリアの仲間も祝福の言葉。

 馬場幹夫本部長が、「ここを拠点に、子どもたちを真ん中にしたまちづくりを進めたい。今後は農福連携なども視野に入れ、地域を支える拠点に発展したい」と決意を込めて。

 石原所長が、「特定の療育プログラムを押し付けるのではなく、一人ひとりの子どもに寄り添い、本人や保護者と話し合いながら支援内容を決めていきたい。地域に暮らす家族にとって『みんなのおうち』となるような事業所を目指す」と締めくくりました。

 終了後は、キッチンカーで活動する、神谷さんのお父さんが作ったオードブルを囲んで懇親を深めました。